トマトの特徴
トマトはアンデス生まれ、メキシコ育ちです。太陽のような赤い色は、リコピンという色素のせいです。雨がほとんど降らず、日中は日差しが強く、夜はグッと冷え込む高冷地で生まれたトマトは、雨や湿気にめっぽう弱くて乾燥には強いという特徴があります。
そのため日本の梅雨と夏は苦手です。
気温25℃、湿度75%を超えるとなかなか実が育ちません。トマトは夏野菜と考えられがちですが、トマトが育った自然の植生から適した栽培条件を考えると、雨が少なくアンデスの気候に近くなる2~3月のトマトが最も旬だといえます。
種類としては酸味と香りが強い赤色系と、甘みが強い桃色系などがあり、日本では桃色系が主流です。βカ口テンやビタミンC、リコピンのほか、毛細血管に働くルチン、肌荒れを防ぐビオチン、余分な塩分を排出するカリウムなど、栄養成分が豊富です。
【がん(癌)に作用されると言われている成分】
豊富に含まれるビタミンCは細胞同士をつなぐコラーゲンをつくり、血管を丈夫に保ってくれます。そのほか、ミネラル類では、血液中の塩分を排出して血圧を低下させるカリウムが豊富です。
酸味成分のクエン酸やリンゴ酸などが胃液の分泌を促し消化を助け、疲労回復に役立ちます。
ビタミンB6は肉料理など油っぽいものを食べたときに、脂肪の代謝を円滑にしてくれます。また、毛細血管を強化するルチンも含んでいます。
トマトの赤い色であるリコピンも見逃せません。リコピンはβカロテンと同じカロテノイド系の色素で、βカロテンのようにビタミンAに似た効果は期待できませんが、がん予防に効果があるといわれています。
また、リコピンはβカ口テンの2倍、ビタミンEの100倍もの抗酸化作用があるといわれ、動脈硬化も予防するといわれています。
トマトをよく食べるイタリアでは、世界の他の国と比べて口腔がんや消化器のがん(食道がん、胃がん、大腸がんなど)になる人が低い、などの報告があります。
ハーバード大学の研究ではトマトを多くとるグループはそうでないグループに比べて前立腺がんにかかる率が低いという報告を出しています。
【調理方法のコツ】
リコピンやβカ口テンは加熱しても壊れにくく、油分と一緒にとると体内での吸収率が上がります。生食なら質の良いオイルの入ったドレッシングと組み合わせるのがよいでしょう。完熟のほうが栄養価が高いので、青い場合は常温で追熟するようにしましょう。
また、栄養素や旨味も充分な完熟トマトからつくるトマトジュースには薬効がたっぷりです。ただし、塩分の入ったものは血圧降下作用も半減してしまうので、食塩無添加のもので、濃縮還元されていないものが理想です。
また電子レンジを使えば簡単に湯むきができます。トマトの頭に包丁で浅く十文字に切れ目を入れ、ラップをせずに加熱し(中玉ひとつにつき30秒)、冷水にとればツルリと皮がむけます。
【良いトマトを選ぶポイント】
皮に色むらがなくハリがあり、ヘタがイキイキした緑色でピンとしていれば新鮮です。逆に黒ずんでしおれているものは日が経っています。
スーパーなどで購入するときは手に取ってみて、丸く形がキレイでずっしりと重みがあって全体が締まったものを選びましょう。形がいびつなトマトは実づまりが悪かったり、中に空洞があったりしますので、買うときの目安にしましょう。
・保存法
トマトは収穫してからも成熟が進む、追熟という性質を持っているので、冷蔵庫にしまってはいけません。さらしなどをかぶせて、涼しくて風のあたらないところで保存して追熟させましょう。1週間以上はもちます。冷やすなら熟してからです。
食べきれないときは、生のままフリーザーバックに入れて冷凍保存ができます。解凍時に皮がツルリとむけるので煮てソースを作るときに使いやすいです。
【主な栄養成分】(100gあたり)
エネルギー 19kcal
たんぱく質 0.7g
脂質 0.1g
炭水化物 4.7g
ナトリウム 3㎎
カリウム 210㎎
カルシウム 7㎎
マグネシウム 9mg
リン 26mg
鉄 0.2㎎
亜鉛 0.1mg
銅 0.04mg
マンガン 0.08mg
ビタミンA:α-カロテン 4マイクログラム
ビタミンA:β-カロテン 540マイクログラム
ビタミンE 1.1mg
ビタミンK 4マイクログラム
ビタミンB1 0.05mg
ビタミンB2 0.02mg
ナイアシン 0.7mg
ビタミンB6 0.08mg
葉酸 22マイクログラム
パントテン酸 0.17mg
ビタミンC 15mg
飽和脂肪酸 0.02g
不飽和脂肪酸 0.04g
水溶性食物繊維 0.3g
不溶性食物繊維 0.7g
以上、がん(癌)とトマトについての解説でした。