18.卵巣がん

卵巣がんでは放射線治療はあまり行われず、手術と抗がん剤中心

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卵巣がんでは放射線治療はあまり行われない

卵巣がんの治療では、次のような理由で放射線療法はあまり積極的に行われません。

1.卵巣がんは、放射線に対する感受性が悪く、治療効果が高くない。

2.卵巣は、子宮の奥上部に位置し、子宮頸がんのように膣からの照射ができない。周囲に腸があり、正常組織にも多く照射され、副作用も強くなる。

3.放射線は治療部位が限定されているものに行うものだが、卵巣がんのように播種が多く、腹腔内全体に散らばりやすいがんには使用しにくい。

このため卵巣がんの治療は、手術療法と抗がん剤による化学療法が中心になります。

ただし、脳・リンパ節・骨などへの転移に際して、これに伴う痛みに対する緩和療法として、放射線療法を利用することはあります。

放射線の照射方法は、子宮内や膣内に放射線を照射するアプリケータを挿入する膣内照射と、体の外から放射線をあてる外部照射の二つに分かれます。がんの状態により、膣内照射単独のケーススと、膣内と外部照射を組み合わせるケースがあります。

■卵巣がんは開腹手術→その場で診断→治療方針を決める、という流れ

卵巣がんの手術においては、開腹手術が可能な場合は、腫瘍ができている側の卵巣と卵管を摘出し、"その場で"病理医が患部の細胞・組織を顕微鏡で調べ、悪性・良性・境界悪性などを判定します。

医師は、このような手術中の病理検査に基づき「がん」の確定診断を行い、術式、切除範囲を決定するのが特徴です。

卵巣がんは、がんの種類が多く、それにより進行の具合、抗がん剤の効き方、予後などが変わってきます。また患者さんの年齢、ライフスタィル、全身の状態、妊娠を望んでいるかなど、ひとりひとりの事情により治療法が違ってきます。これらも考盧しながら、摘出手術や化学療法などの治療法を選択します。

つまり卵巣がんでは、開腹による診断が先行し、その結果により、各種の治療法が分かれるということです。

これは子宮体がんなどのほかの婦人科がんと異なり、手術前に細胞・組織診ができないためです。なお、画像診断などで播種や転移が広がっていると推定されるときは、腹水細胞診で「がん」の確定ができれば、開腹手術は実施せずに、抗がん剤などの治療を先行することが一般的です。

進行の程度によっては「がん治療」を行わず、様子を見ながら緩和療法を行うこともあります。また、他の病気や患者さんの体力などの関係で、開腹手術が雌しいときにも、化学療法を先に行うことがあります。

開腹して診断がついた卵巣がんは、その7割がステージ3期に該当し、根治させるのはかなり難しい状態です。

とくに卵巣がんの7割を占める上皮性がんは、ステージ3期とステージ4期の5年生存率は20~40%にとどまり、婦人科のがんでは最も予後がよくありません。

いっぽう、若い女性に多い胚細胞がんは、プラチナ製剤を主体とした化学療法に対する感受性が極めて高く、治癒率も高いことが特長です。

また多くは、妊孕性温存(妊娠する機能を残す)が可能です。ただし、胚細胞がんは卵巣がん全体では、発症頻度が低いといえます。妊孕性温存を希望している場合は、原則ステージ1a期に限って可能です。

■手術が適応とならないケース

以下に該当する人は手術ができません。

1.大きな合併症がある人

心不全や、脳梗塞など重篤な病気を持つ人は、麻酔ができないので手術は無理です。また、糖尿病や、人工透析をしている人では、全身管理を十分に行い慎重に手術を施行する場合もあります。

2.血栓症がある人

卵巣がんの人はがんにより血流が妨げられ、また凝固促進物質が腫瘍から分泌されるので、血栓症が起きやすくなっています。

血栓が遊離し肺に流れていくと、肺塞栓になり呼吸不全や心停止となり、生命にかかわります。血栓症では抗凝固療法を行い、下大静脈フィルターを挿入し(下大静脈という腹部の大きな静脈にフィルターを留置し、下肢の静脈から肺へ移動する血栓をとらえる)、手術を行います。

ちなみに、血栓症の治療中に、卵巣がんが発見されることもあり、卵巣がんと静脈血栓発症は密接な関係があります。

以上、卵巣がんの治療法についての解説でした。

がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

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