
こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。
日常的にスーパーで見かけるピーマンは、実はがん予防効果が期待される野菜として注目されています。緑のピーマンも赤のピーマンも、それぞれに健康維持に役立つ成分を含んでいます。
この記事では、ピーマンに含まれる栄養成分やがん予防に関連する作用について、最新の研究知見を交えて解説します。
ピーマンの基本情報と種類
ピーマンはナス科トウガラシ属の野菜で、トウガラシの仲間から辛味を取り除いた品種です。パプリカやシシトウも同じ仲間になります。
私たちがよく見かける緑色のピーマンは、花が咲いてから20日から30日程度で収穫される若い実です。収穫せずに栽培を続けると、緑色から黄色、オレンジ色、そして赤色へと変化していきます。完熟するにつれて、ビタミン類やカロテノイド系の栄養成分が増えていきます。
日本では明治時代から栽培が始まり、現在ではハウス栽培により一年中入手できますが、露地栽培の旬は6月から8月です。
がん予防効果が期待される成分
ピーマンは1990年にアメリカ国立がん研究所が発表した「デザイナーフーズ・プログラム」において、がん予防効果が期待される約40種類の食品の一つに選定されています。この計画では、植物性食品に含まれるファイトケミカルががん予防に役立つ可能性について、疫学的研究データに基づいて評価されました。
ピーマンは「ナス科」のグループとしてピラミッドの中段に位置づけられており、トマトやナスと共にがん予防効果が期待される食品群として紹介されています。
赤ピーマンに含まれるカプサンチン
赤ピーマンの赤い色素は「カプサンチン」というカロテノイドの一種によるものです。カプサンチンは強力な抗酸化作用を持つことが知られており、その抗酸化力はβ-カロテンの約1.5倍、トマトのリコピンと同程度といわれています。
京都府立医科大学の研究では、マウスを用いた試験で、発がん物質とともにカプサンチンを塗布したグループでは、発がん抑制効果が認められたという報告があります。この研究結果は、カプサンチンにがん予防の可能性があることを示唆しています。
また、カプサンチンには善玉(HDL)コレステロールを上昇させる作用や、活性酸素を除去する働きもあり、動脈硬化やがんなどの生活習慣病予防にも効果が期待されています。
緑ピーマンに含まれるクロロフィル
緑色のピーマンに含まれる葉緑素(クロロフィル)は、ポリフェノールの一種で抗酸化作用を持っています。クロロフィルには染色体異常を抑制する働きがあり、発がん防止効果があるといわれています。
また、血中のコレステロール値を下げることで血栓の発生を抑える作用や、体内の老廃物を排出するデトックス効果も期待されています。旬の夏になると、これらの作用が強まり、血液浄化作用なども加わるといわれます。
ルテオリン
ピーマンには、フラボノイド色素であるルテオリンというポリフェノールが含まれています。ルテオリンには抗炎症作用、抗アレルギー作用があり、免疫系の調整作用を持つ可能性も示唆されています。
ルテオリンは油炒めにした際にも損失が少ないため、調理後も有効的に摂取することができます。
ピラジン
ピーマン特有の青臭い香りの成分がピラジンです。この成分は種とワタの部分に多く含まれています。ピラジンには血液をサラサラにする効果が期待でき、血栓予防や心筋梗塞、脳梗塞の予防に役立つといわれています。
また、脳をリラックスさせる効果も報告されています。
ビタミン類の豊富な含有量
ピーマンは「ビタミンACE(エース)」と呼ばれる抗酸化ビタミンA、C、Eをすべて含んでいます。これらのビタミンは抗酸化作用によって、がんの予防や老化の防止に役立つとされています。
ビタミンC
大きめのピーマンには、レモン1個以上のビタミンCが含まれています。緑ピーマン100gあたり約76mgのビタミンCを含み、赤ピーマンでは緑ピーマンの2倍から3倍の量になります。
通常、ビタミンCは水溶性で熱に弱い性質がありますが、ピーマンに含まれるビタミンCは、ビタミンP(ルチン)によって保護されているため、加熱調理しても壊れにくいという特徴があります。
ビタミンCには、コラーゲンの生成、皮膚や血管を丈夫に保つ働き、免疫力を高める作用、抗酸化作用による活性酸素の除去などの効果があります。これらの働きによって、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などの生活習慣病を予防する効果が期待できます。
β-カロテン(ビタミンA)
β-カロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。ビタミンAは目の機能、皮膚や粘膜の健康を保つために必要な栄養素で、粘膜のダメージを回復する効果や免疫力を高める効果があります。
緑ピーマン100gあたりのβ-カロテン含有量は約400マイクログラムですが、赤ピーマンでは約1000マイクログラムと、約2.4倍に増加します。ビタミンAに変換されなかったβ-カロテンは抗酸化物質として働き、動脈硬化やがんなどの生活習慣病の予防や老化防止に効果が期待できます。
ビタミンE
ビタミンEは抗酸化力の高いビタミンで、細胞膜の酸化を抑制する働きがあります。体内のあらゆる箇所で、細胞や血管の老化、赤血球の破壊を防いでいます。
赤ピーマンでは、緑ピーマンに比べてビタミンEの含有量が約5倍に増加します。動脈硬化の予防や悪玉コレステロールの減少など、加齢によって出やすい症状を抑える効能が特徴です。
ビタミンP(ルチン)
ビタミンPの一種であるルチンは、血管をしなやかにする効果があります。抗酸化力があり、ビタミンCの酸化を防ぎ、毛細血管の強化や血圧を下げる働きがあります。また、動脈硬化や高血圧を予防する効果もあるとされています。
ピーマンの色による栄養の違い
緑ピーマンと赤ピーマンでは、栄養価に差があります。以下の表に主な栄養成分の比較を示します。
| 栄養成分(100gあたり) | 緑ピーマン | 赤ピーマン |
|---|---|---|
| エネルギー | 22kcal | 30kcal |
| β-カロテン | 400μg | 1100μg |
| ビタミンC | 76mg | 170mg |
| ビタミンE | 0.8mg | 4.3mg |
| 食物繊維 | 2.3g | 1.6g |
※日本食品標準成分表(八訂)増補2023年のデータに基づく
完熟した赤ピーマンは、緑ピーマンと比較してβ-カロテンやビタミンCが2倍以上、ビタミンEは5倍以上になります。一方、ピラジンなどの香気成分は緑ピーマンの方が豊富です。
主な栄養成分の詳細
緑ピーマン100gあたりの主な栄養成分は以下のとおりです。
| 成分名 | 含有量 |
|---|---|
| エネルギー | 22kcal |
| たんぱく質 | 0.9g |
| 脂質 | 0.2g |
| 炭水化物 | 5.1g |
| カリウム | 190mg |
| カルシウム | 11mg |
| マグネシウム | 11mg |
| 鉄 | 0.4mg |
| β-カロテン | 400μg |
| ビタミンE | 0.8mg |
| ビタミンK | 20μg |
| ビタミンB6 | 0.19mg |
| 葉酸 | 26μg |
| ビタミンC | 76mg |
| 水溶性食物繊維 | 0.6g |
| 不溶性食物繊維 | 1.7g |
※日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より
効果的な調理方法
ピーマンの栄養成分を効率よく摂取するためには、調理方法にも工夫が必要です。
油を使った調理
β-カロテンやビタミンEは脂溶性のビタミンです。そのため、油と一緒に調理することで体内への吸収率が高くなります。炒め物や揚げ物、ごま油やオリーブ油で和えるなどの調理法がおすすめです。
特にオリーブオイルなど熱に強い油を使用した加熱調理が良い組み合わせです。加熱することで苦みも和らぎます。
生での摂取
ビタミンCは熱に弱い性質がありますが、ピーマンに含まれるビタミンCは加熱しても壊れにくい特徴があります。ただし、より多くのビタミンCを摂取したい場合は、生でサラダなどにして食べることも効果的です。
種とワタも活用
通常は捨ててしまう種とワタの部分には、血液をサラサラにする効果が期待できるピラジンが豊富に含まれています。栄養を無駄なく摂るには、種やワタも一緒に調理するのがおすすめです。
炒め物や煮浸しなどにすると種ごと食べやすくなります。肉詰めにする際も、種とワタを残したままにすると、詰めた肉がはがれにくくなる利点もあります。
切り方の工夫
ピーマンの繊維はヘタからおしりに向かって縦方向に並んでいます。栄養を逃さないようにするなら、繊維に沿って縦に切るのがおすすめです。また、繊維に沿って切ることで苦味を感じにくくする効果も期待できます。
繊維を断ち切るように切ると栄養素は流れでやすくなりますが、やわらかく調理することができます。料理の目的に応じて使い分けましょう。
良いピーマンの選び方と保存方法
選び方のポイント
以下の特徴を持つピーマンを選びましょう。
- 鮮やかな緑色(または赤色)をしているもの
- 表面にハリとツヤがあるもの
- 肉厚なもの
- ヘタが黒ずんでいないもの
- 持ったときに重みを感じるもの
保存方法
ピーマンの鮮度を保つには、表面の水気をしっかりふき取り、ペーパータオルや新聞紙に1個ずつ包んでポリ袋に入れ、野菜室で保存します。この方法なら2週間から3週間程度保存できます。
穴のあいたポリ袋に入れて野菜室で保存するのも適しています。ただし、あまり長期間保存すると種が黒ずむので注意しましょう。
カットしたものは切断面をラップでぴっちり包み、2日から3日で使いきるようにしましょう。冷凍する場合は、食べやすい大きさに切ってから冷凍用の保存袋に入れて冷凍します。
がん予防のための食生活での活用
ピーマンはデザイナーフーズ・プログラムにおいて評価されたように、がん予防効果が期待される食品の一つです。ただし、特定の食品だけを摂取すればよいというわけではありません。
デザイナーフーズ・ピラミッドに示された食品群をバランスよくまんべんなく摂取することが大切です。アメリカでは「1日5皿分以上の野菜と、200gの果物を食べよう」という「5 A DAY(ファイブ・ア・デイ)運動」が展開され、野菜の摂取量が増え、がんによる死亡率も減少したといわれています。
日本の厚生労働省でも1日350gの野菜摂取が目標とされています。毎食小皿1枚から2枚の野菜料理を取り入れていくと野菜が補え、がん予防にも役立ちます。

