10.肝臓がん

肝動注療法(動注化学療法)が受けられる人、受けられない人

肝動注療法(動注化学療法)

肝臓がん治療法の1つ「動注療法」は、がんに栄養を供給している血管に抗がん剤を直接注ぎ込む方法です。「動注化学療法」ともいいます。「経カテーテル動脈注入療法(TAI)」と呼ぶこともあります。

肝細胞がんは、肝動脈から豊富に血液を受けとっています。そこで、肝動脈に抗がん剤を注入すれば、より多くの抗がん剤ががんに流れ込むことになり、効果的にがん細胞を殺すことができます。

また、肝臓で抗がん剤が分解されることによって、肝臓以外の全身を流れる血液中の抗がん剤の濃度が低くなるため、副作用も少なくてすみます。また、正常な肝臓の細胞は、肝動脈からだけでなく門脈からも血液を受けとっているため、抗がん剤の濃度がそれだけ低くなります。

治療には、1回だけ、あるいは必要に応じて抗がん剤を注入する方法と、スケジュールに従ってくり返し注入を行う反復動注療法があります。反復動注療法では通常、リザーバーという装置を体内に埋め込んで治療を行います。

1回だけの方法では、一般に、肝動脈塞栓療法などの他の治療と組み合わせます。肝動脈塞栓療法と組み合わせる場合は、とくに「化学塞栓療法」と呼びます。
反復動注療法は、この方法単独で実施する場合と、他の治療の前や後に補助的に行う場合があります。ここでは、リザーバーを用いる反復動注療法についての詳細を解説します。

■肝動注療法の対象となる人

動注療法は、がんが進行している人や、他の治療法が選択できない患者さんに対して実施されることの多い治療法です。がんが進行しているときは治療法が制限されることが多いのですが、動注療法は、がんの進行状態によって制限されることがあまりないからです。
しかし、動注療法は不確実な治療法で、効果が得られる人は、治療成績の良い薬や投与法を用いても50パーセント前後です。また、抗がん剤の副作用のために肝臓のはたらきが悪化したり、全身状態が悪くなる可能性もあります。そのため、他の治療を選択できる場合は、そちらを優先します。

ただ最近では、抗がん剤の副作用を小さくするさまざまな方法があるので、他の治療法を行う前や後に、補助療法として動注療法を行うことが少なくありません。

【動注療法に適したケース】

肝細胞がんに対しては、まず、外科治療(肝切除)やエタノール注入療法、マイクロ波凝固法などの、局所的で完治の可能性が比較的高い手法による治療を考えます。ついで、肝動脈塞栓療法による治療を検討します。それでも治療が難しいときには、動注療法(おもに反復動注療法)を実施することになります。

動注療法が優先的に用いられないのは、いまのところ、肝細胞がんに対して治療効果の高い抗がん剤が存在しないからです。現在用いられている抗がん剤は、高濃度で肝臓の腫瘍に送り込んでも、がんの進行が止まらないこともあります。しかし、以下のような場合には、動注療法が選択されます。

①肝臓内部に4個以上の腫瘍(がん)がある

腫瘍が4個以上発生しているときに、局所的治療法を行うことはまれです。その1つの理由は、すべての腫瘍に局所的治療をほどこすには時間がかかり、体に大きな負担がかかるからです。

もう1つの理由は、4個以上の腫瘍が存在するときには、画像診断などで確認できるもの以外にも、小さな腫瘍が存在する可能性があるからです。そこで、このような場合には、肝臓全体を治療対象とする肝動脈塞栓療法、または動注療法で治療を行います。腫瘍に被膜がないなどの理由で、肝動脈塞栓療法の効果が低いと予測されるときには、動注療法を選択します。

②腫瘍が門脈をふさいでいる/門脈に浸潤している

腫瘍が成長して、おもな門脈をふさいでいるときには、肝動脈塞栓療法では治療できないことがあります。門脈の血流が肝臓の広範囲に行きわたらないときに肝動脈もふさげば、肝臓が大きな損傷を受けるからです。

また、腫瘍が門脈をふさいでいるときには、門脈を通してがんが肝臓内部に転移していることが少なくありません。そのため、たとえエタノール注入療法やマイクロ波凝固法などの局所的治療法で治療を行ったとしても、転移した微小ながんから再発する可能性が高くなります。

そこで、腫瘍が門脈に浸潤している、あるいは門脈をふさいでいるときには、しばしば動注療法が選択されます。また、動注療法と局所的手法を組み合わせて治療を行うこともあります。

③がんの悪性度が高い

肝細胞がんでも、中分化がんあるいは低分化がんと呼ばれるものは、悪性度が高いといわれます。これらのがんは、腫瘍の被膜の外側にがん細胞が浸潤したり、肝臓の内部に転移しやすい性質をもちます。

そのため、肝切除やマイクロ波凝固療法などの局所的治療法だけでは、十分な治療効果を期待できないことが少なくありません。

そこで、悪性度の高いがんに対しては、補助療法として、局所的治療法の前や後に動注療法を行う病院もあります。ただし、その有効性については、いまのところ議論が分かれているようです。肝臓によけいな障害を与えるだけだという見方もあります。

【動注療法に適さないケース】

動注療法は多くの場合、がんが進行した人に対して行う最終的な治療法だともいえます。しかし、大きな副作用が生じる危険もあるため、動注療法を行うかどうかは慎重に検討すべきとされます。以下は、動注療法による治療が禁じられる場合です。

①肝臓の障害度が高い(肝機能が低下している)

動注療法は、肝臓に損傷を与える可能性があるため、肝臓の障害度が高い人は治療を受けることができません。具体的には、黄疸が強い(総ビリルビンが血液100ミリリットルあたり3ミリグラム以上)、治療をしても腹水が治らない、肝性脳症(意識障害)を起こしている、などの場合は、動注療法は禁じられます。

また、検査結果は治療可能とされた場合でも、肝硬変を起こしている人に対しては、注意深く病状を見て、動注療法を行うかどうかを決めます。動注療法で使用される薬には、肝臓に障害を起こしやすいものもあるので、肝硬変の人は選択できる薬が限られることもあります。

②造血能力が低下している

ほとんどの抗がん剤は、がん細胞だけでなく活発に増殖する正常な細胞をも攻撃します。たとえば、血球をつくる骨髄や、胃や口の中の粘膜などの細胞です。

そのため、血球をつくる能力が落ちているときに抗がん剤を使用すると、骨髄のはたらきがさらに下がり、赤血球や白血球、血小板の数が減って著しい貧血に陥ったり、深刻な感染症にかかる、出血が止まらないなどのおそれが高くなります。これを「骨髄抑制」と呼びます。

具体的には、血液1マイクロリットルあたり白血球が2000個以下、血小板が5万個以下の場合は、この治療は行いません(病院によって多少異なる)。血小板輸血や血球の生産を促す薬の投与によってこれらの値が回復すれば、治療を始めます。

③その他

心臓や腎臓に異常がある場合、薬によってはこれらの臓器を悪化させる可能性があります。そのため、使用できる薬の種類が限られたり、動注療法を受けることができなくなったりすることがあります。

以上、肝臓がんの動注療法についての解説でした。

ステージ3、4と進行してくると、病院でできる治療法の選択肢は少なくなります。しかし、病院で受ける治療法は、がんと闘うための手段の一部にすぎません。

肝臓がんを克服するためには、病院での治療より重要なことがあります。詳しくはこちらのガイドブックにまとめました。
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