フルオロウラシル(5-FU)の特徴や効果について
・一般名:フルオロウラシル
・商品名:5-FU
・投与経路:点滴静注、静注、動注
・血管外漏出による皮膚障害のリスク:中
・催吐リスク:軽
<特徴>
作用機序:主としてDNAの合成障害、RNAの機能障害を引き起こすことで、がん細胞をアポトーシス(細胞の死)へ導き、抗腫傷効果を発揮する。
※DNAの合成障害は比較的低濃度で生じるが、時間依存性で長時間の曝露を要する。
※RNAの機能障害は、高濃度投与が必要である。
代謝経路:肝代謝。呼気中に57%、尿中に18%排泄される。
<代表的なレジメン>
結腸・直腸がん:FOLFOX療法、FOLFIRI療法
乳がん:FEC(CEF)療法
食道がん:FP療法
※単剤で用いられることは少なく、他の抗がん薬、もしくはフルオロウラシルの効果を増強する還元型葉酸製剤と併用されることが多い。
・使用時の注意点
投与方法:点滴静注、静注、動注
投与量:
FOLFOX療法①400mg/m2急速静注
②その後、2,400~3,000mg/m2を持続静注
FEC療法 500mg/m2
FP療法 700~1,000mg/m2持続静注(24時間)
投与量の調整が必要になる場合↓
高齢者:生理機能が低下していることが多く、特に骨髄抑制、消化器障害(下痢、口腔粘膜障害など)が現れやすいので、用量や投与間隔に注意
肝機能障害:血清ビリルビン≦5.0mg/dLでは減量の必要はなし。血清ビリルビン>5.Omg/dLで投与中止
腎機能障害:クレアチニン3.0mg/dLまで比較的安全に投与可能
慎重投与:骨髄抑制、肝・腎機能障害
併用禁忌:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(ティーエスワン)
※テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウムの投与中~投与中止後少なくとも7日以内はフルオロウラシルを投与しないこと。
併用注意:ワルファリン(ワーファリン)、トリフルリジン・チビラシル(ロンサーフ)など
・重大な副作用:減量・休薬が必要となるもの
激しい下痢
骨髄抑制
うっ血性心不全
・その他注意が必要な副作用
口腔粘膜障害
手足症候群
・ポイント
投与中の血管外漏出のリスクや、過敏症のリスクがある。骨髄抑制時に伴う感染のリスクもある。
フルオロウラシルの投与方法には、①急速静注、②24時間以上かけて持続静注、③動注の3種類がある。一般的に急速静注では骨髄抑制が強く、持続静注では下痢や口腔粘膜障害が多く出現する。
フルオロウラシルは、亜鉛キレート能をもつことから、亜鉛の吸収を悪くし、味覚障害が生じることがある。
フルオロウラシルは、肝臓にあるジヒドロピリミジンジヒドロゲナーゼ(DPD)により代謝される。そのため、DPD酵素欠損症の患者では、抗がん薬の代謝が遅延し、副作用が遷延・重篤化する危険性がある。