
こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。
前立腺がんと診断され、治療法を検討している方の中には、密封小線源療法(ブラキセラピー)という選択肢について耳にされた方もいらっしゃるでしょう。
この治療法は、体への負担が比較的少なく、男性機能の温存も期待できることから、条件が合えば有力な選択肢となります。一方で、すべての前立腺がん患者さんに適しているわけではなく、がんのリスク分類によって効果が大きく異なることも事実です。
本記事では、密封小線源療法がどのような治療なのか、どのような人が対象となるのか、メリットとデメリット、実際の治療の流れ、副作用、費用などについて、2026年時点の最新情報を交えながら詳しく解説します。
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「プロのがん治療専門アドバイザー」本村ユウジです。
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密封小線源療法(ブラキセラピー)とはどのような治療か
前立腺がんに対する放射線療法は、大きく分けて2種類あります。1つは体の外から放射線を照射する外部照射療法、もう1つが前立腺の内部から照射する組織内照射療法です。
密封小線源療法(みっぷうしょうせんげんりょうほう)は、この組織内照射療法の一種で、ブラキセラピーとも呼ばれます。放射性同位元素であるヨード-125を密封した小さな線源を、前立腺内に直接埋め込むことで、がん組織に集中的に放射線を照射する治療法です。
この治療法の大きな特徴は、前立腺がん特有の治療法であり、他のがん種ではあまり行われない点にあります。線源を体内に埋め込むことで、前立腺という限られた範囲に効率的に放射線を届けることができます。
治療の具体的な流れ
密封小線源療法は、全身麻酔下で行われます。治療時間は約2時間程度で、開腹手術のように体を大きく切開する必要はありません。
具体的な手順は以下のとおりです。
まず、直腸に超音波探子(プローブ)を挿入し、前立腺の位置や形状を確認します。超音波画像を見ながら、会陰部(陰嚢と肛門の間の部分)から直径1mm弱の細い針を刺し入れ、放射性物質を密封した線源を前立腺内に配置していきます。
線源の埋め込みが完了した後は、CT検査で線源が適切な位置に配置されているかを確認します。体表に傷が残ることはほとんどなく、侵襲性の低い治療といえます。
密封小線源療法の適応と対象になる人
密封小線源療法は、すべての前立腺がん患者さんに適用できる治療法ではありません。この治療法が最も効果を発揮するのは、低リスクの前立腺がんに分類される患者さんです。
低リスク前立腺がんの基準
一般的に、密封小線源療法の適応となる低リスク前立腺がんの基準は以下のとおりです。
| 検査項目 | 適応基準 |
|---|---|
| グリソンスコア | 6以下 |
| PSA値 | 10ng/ml未満 |
| TNM分類 | T2以下(できればT1) |
| 触診所見 | ほとんど触知できない程度 |
これらの基準を満たす低リスクがんの場合、密封小線源療法は手術による前立腺全摘出術と同程度の治療効果が得られるとされています。また、外部照射療法と比較しても同等の治療成績が報告されています。
中リスク・高リスクの場合の考え方
中リスクや高リスクに分類される前立腺がんの場合、密封小線源療法単独では、手術や外部照射療法と比べて治療効果が劣ることが知られています。
ただし、中リスクの患者さんでも、生活の質(QOL)を重視して密封小線源療法を希望される場合があります。そのような場合には、線源の埋め込みに加えて外部照射療法を併用することで、治療効果を高める試みが行われることもあります。
しかし、併用療法の効果については、現時点では明確な結論が出ていないのが実情です。治療を選択する際には、担当医とよく相談し、リスクと効果のバランスを十分に理解することが重要です。
治療ができない場合
以下のような条件に該当する場合、密封小線源療法が実施できないことがあります。
| 条件 | 理由 |
|---|---|
| 前立腺が著しく肥大している | 線源を適切に配置できない |
| 前立腺内に結石が多い | 針の刺入が困難になる |
| 過去に前立腺肥大症の手術歴がある | 前立腺の構造が変化している |
前立腺肥大がある場合には、事前にホルモン療法を行い、前立腺のサイズを縮小させてから密封小線源療法を実施することもあります。これにより、治療の精度を高め、必要な線源の本数を減らすことができます。
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密封小線源療法のメリット
密封小線源療法を選択する患者さんの多くが重視するメリットについて解説します。
体への負担が少ない
開腹手術や腹腔鏡手術と比較して、体への侵襲が少ないことが大きな特徴です。全身麻酔は必要ですが、体表に大きな傷が残らず、治療時間も2時間程度と比較的短時間で済みます。
男性機能の温存が期待できる
前立腺全摘出術では、勃起機能に関わる神経束が損傷されるリスクがありますが、密封小線源療法ではこの神経への影響を抑えることができます。
ただし、治療後の男性機能維持率は40~80%とされており、すべての患者さんで維持されるわけではありません。年齢や治療前の機能状態によっても結果は異なります。
入院期間が短い
一般的な入院期間は3~5日程度です。手術による前立腺全摘出術の場合、入院期間が1~2週間程度必要になることと比較すると、社会復帰までの期間が短いといえます。
前立腺に集中的に照射できる
線源を前立腺内に直接配置するため、がん組織に高線量の放射線を集中的に照射できます。外部照射療法と比べて、周囲の正常組織への影響を抑えながら、効率的な治療が可能です。
密封小線源療法のデメリットと副作用
メリットがある一方で、知っておくべきデメリットや副作用も存在します。
排尿障害
密封小線源療法で最も頻度が高い副作用は排尿障害です。線源を埋め込んだ後、約半年間にわたって強い排尿障害が現れることがあります。
具体的には、頻尿、残尿感、排尿時の痛み、尿の勢いが弱くなるなどの症状です。これらの症状は、特別な治療を行わなくても、治療後1年ほどで自然に改善することが多いとされています。
症状が強く日常生活に支障をきたす場合には、症状を軽減するための薬物療法が行われることもあります。
膀胱や直腸への影響
前立腺の近くにある膀胱や直腸にも、放射線の影響が及ぶ可能性があります。治療後数カ月経ってから、血尿、血便、直腸炎などの症状が現れることがあります。
このような症状が見られた場合には、早めに担当医に相談することが大切です。
適応が限定的
前述のとおり、密封小線源療法が最も効果を発揮するのは低リスクの前立腺がんです。中リスク以上のがんでは、単独療法としての効果が限定的であることは、治療選択における重要な判断材料となります。
放射線源が体内に残る
治療後、約1年間は体内に放射性物質が存在します。この点について不安を感じる患者さんもいらっしゃいますが、実際の安全性については後述します。
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線源の配置と治療計画
密封小線源療法では、前立腺全体に均等に放射線が照射されるように、線源を計画的に配置します。
必要な線源の本数
使用されるヨード-125線源は、周囲約3mmの範囲に放射線を照射します。前立腺全体をカバーするためには、通常100本程度の線源が必要になります。
ただし、前立腺のサイズには個人差があり、肥大している場合にはより多くの線源が必要になります。線源の本数が増えると、治療費用にも影響が出ることがあります。
前立腺肥大への対応
前立腺が肥大している患者さんの場合、事前にホルモン療法を行うことがあります。これは前立腺全摘出術前に行うホルモン療法と同じ薬剤を使用し、前立腺のサイズを縮小させる目的で実施されます。
この前処置により、必要な線源の本数を減らし、治療の精度を高めることができます。また、結果的に治療費用の節約にもつながります。
放射線の安全性について
体内に放射性物質が存在することに不安を感じる方も多いでしょう。しかし、密封小線源療法で使用されるヨード-125のエネルギーは非常に小さく、安全性は高いとされています。
放射線の影響範囲
ヨード-125から放出される放射線は、線源から約3mmの範囲にしか届きません。したがって、患者さん自身の体内で前立腺以外の臓器に影響を与えることはほとんどなく、体外への影響もありません。
放射線量の減衰
線源から放出される放射線量は時間とともに徐々に弱まり、約1年でほぼゼロになります。この期間を過ぎれば、体内に線源が残っていても放射線は出ていない状態になります。
治療直後の注意事項
安全のため、治療を受けた当日は患者さんの病室への面会が制限されることがあります。また、退院後も以下のような注意が必要です。
| 対象 | 注意期間 | 注意内容 |
|---|---|---|
| 赤ちゃん・妊婦 | 約2カ月 | 長時間の密接な接触を避ける |
| 性交渉 | 約4週間 | 性交渉を控える |
| 性交渉再開後 | 1年間 | コンドームを使用する |
退院時には、担当医から具体的な注意事項について説明がありますので、よく確認し、不明な点は遠慮なく質問することが大切です。
線源の排出について
ごくまれに、尿とともに線源が体外に排出されることがあります。もし線源を発見した場合には、直接手で触れず、箸やピンセットなどを使って回収してください。
退院時に専用の梱包容器が渡されることもありますが、特別な容器がなくても、空きビンなどに密封して保管し、速やかに病院に連絡しましょう。
密封小線源療法の効果
密封小線源療法の治療効果は、前立腺がんのリスク分類によって大きく異なります。
低リスク前立腺がんでの効果
低リスクの前立腺がんに対しては、密封小線源療法は優れた治療成績を示しています。長期的な生存率や再発率において、前立腺全摘出術や外部照射療法と同等の効果が報告されています。
10年生存率は90%以上とする報告もあり、低リスクがんにおいては標準的な治療選択肢の1つとして確立されています。
中リスク・高リスクでの効果
中リスク以上の前立腺がんでは、密封小線源療法単独での治療効果は、手術や外部照射療法と比較して劣るとされています。
そのため、中リスクの患者さんに対しては、外部照射療法との併用が検討されることもあります。ただし、併用療法の有効性については、現在も研究が進められている段階です。
入院期間と治療スケジュール
密封小線源療法の一般的な入院期間は3~5日程度です。治療スケジュールの概要は以下のとおりです。
| 日程 | 内容 |
|---|---|
| 入院1日目 | 入院手続き、術前検査、麻酔科診察 |
| 入院2日目 | 線源埋め込み治療(全身麻酔) |
| 入院3日目 | CT検査で線源配置の確認、安静 |
| 入院4~5日目 | 経過観察、退院指導、退院 |
ただし、患者さんの状態や病院の方針によって入院期間は変動します。また、前立腺肥大があり事前にホルモン療法を行う場合には、治療開始までに数カ月の準備期間が必要になることもあります。
密封小線源療法の費用
密封小線源療法は公的医療保険の適用対象となっています。
治療費の目安
3割負担の場合、自己負担額は約40~50万円程度が目安となります。ただし、使用する線源の本数や入院期間、併用する検査内容によって費用は変動します。
また、高額療養費制度を利用することで、実際の自己負担額はさらに軽減されます。所得に応じて自己負担限度額が設定されており、多くの場合、月額8~9万円程度に抑えられます。
前処置が必要な場合
前立腺肥大があり、事前にホルモン療法を行う場合には、その分の費用も発生します。ホルモン療法の期間は通常3~6カ月程度で、月額の薬剤費は数千円から1万円程度です。
治療後の生活と経過観察
密封小線源療法後は、定期的な経過観察が必要です。
経過観察のスケジュール
治療後は3~6カ月ごとにPSA検査を行い、がんの再発や進行がないかを確認します。PSA値が上昇傾向にある場合には、追加の検査や治療が検討されます。
また、排尿障害などの副作用についても、定期的に症状を確認し、必要に応じて対症療法を行います。
社会復帰のタイミング
多くの患者さんは退院後1~2週間程度で通常の生活に戻ることができます。ただし、排尿障害が続いている場合には、トイレに頻繁に行く必要があるため、仕事や日常生活に影響が出ることもあります。
職場復帰のタイミングについては、仕事内容や症状の程度を考慮して、担当医と相談しながら決めることをお勧めします。
密封小線源療法を実施できる医療機関
密封小線源療法は、放射性物質を扱う特別な設備と認可が必要なため、すべての医療機関で実施できるわけではありません。
日本では、大学病院やがん専門病院など、限られた施設でのみ実施されています。治療を検討する際には、実施可能な医療機関を事前に確認することが重要です。
また、施設によって治療実績や成績が異なる場合もあります。可能であれば、年間の治療件数や治療成績についても情報を収集し、比較検討することをお勧めします。
治療選択における考え方
前立腺がんの治療法は、密封小線源療法以外にも、前立腺全摘出術、外部照射療法、ホルモン療法、監視療法など、複数の選択肢があります。
どの治療法を選択するかは、がんのリスク分類、年齢、全身状態、患者さん自身の希望や価値観によって決まります。
リスク分類の重要性
密封小線源療法を検討する際に最も重要なのは、リスク分類です。低リスクがんであれば、手術と同等の効果が期待でき、かつ体への負担が少ない選択肢となります。
一方、中リスク以上のがんでは、単独療法としての効果が限定的であることを理解したうえで、他の治療法との比較検討が必要です。
QOLと治療効果のバランス
治療選択においては、がんの治癒率だけでなく、治療後の生活の質も重要な判断材料となります。密封小線源療法は、男性機能の温存や体への負担軽減という点でメリットがありますが、排尿障害などの副作用もあります。
自分にとって何を優先するか、どのような生活を送りたいかを考え、よく話し合いながら決めることが大切です。

