
子宮体がんの原因とは?なりやすい人の特徴と年齢別リスク
こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。
子宮体がんは、子宮の内側を覆う子宮内膜から発生するがんです。近年、日本国内での罹患率が上昇傾向にあり、女性特有のがんとして注目されています。
この記事では、子宮体がんの原因とリスク要因について、医学的な根拠に基づいて詳しく解説します。
どのような人がなりやすいのか、年齢別のデータ、そして特徴的な出血症状についても触れていきます。
子宮体がんのタイプとホルモンの関係
子宮体がんは、大きく2つのタイプに分類されます。タイプ1はホルモン依存性のがん、タイプ2はホルモン非依存性のがんです。このうち、タイプ1が子宮体がん全体の約80%を占めています。
タイプ1の子宮体がんでは、エストロゲンという女性ホルモンの曝露量(体内で作用する量)が高いことが、発症リスクの主要な原因となります。エストロゲンは子宮内膜を厚くする働きがあり、この状態が長期間続くと、細胞が異常増殖しやすくなるのです。
通常、エストロゲンの作用は、プロゲステロンという別のホルモンによってバランスが保たれています。しかし、このバランスが崩れてエストロゲンが優位な状態が続くと、子宮内膜が過度に刺激され、がん化のリスクが高まります。
エストロゲン曝露が増える主な要因
エストロゲンの曝露量が多くなる背景には、いくつかの要因があります。
| 要因 | 詳細 |
|---|---|
| 妊娠・出産経験 | 妊娠・出産の経験がない、または少ない場合、排卵回数が多くなりエストロゲンの影響を受ける期間が長くなります |
| 生理に関する要因 | 初経が早い、閉経が遅い、生理不順がある場合、エストロゲンに曝露される期間が長くなります |
| 排卵障害 | 不妊症や無排卵周期症などでは、プロゲステロンの分泌が少なくエストロゲンが優位になります |
| 閉経後の要因 | 閉経後も脂肪組織でエストロゲンが産生されるため、肥満がある場合はリスクが高まります |
子宮体がんになりやすい人の特徴
生活習慣病と肥満
メタボリック症候群や肥満は、子宮体がんの重要なリスク要因です。これは、脂肪組織がエストロゲンを産生する働きを持つためです。
肥満の程度が高いほど、脂肪組織から産生されるエストロゲンの量も増加します。特に閉経後の女性では、卵巣からのホルモン分泌が低下するため、脂肪組織でつくられるエストロゲンの影響が相対的に大きくなります。
また、糖尿病や高血圧などの生活習慣病も、子宮体がんのリスクを高めることが知られています。これらの病気は肥満と関連していることが多く、間接的にエストロゲンの産生を増やす要因となります。
食生活の影響
動物性脂肪やコレステロールの多い食事は、体内でのエストロゲン産生を促進します。特に、脂肪分の多い肉類、バターやチーズなどの乳製品を過剰に摂取する食生活は注意が必要です。
こうした食生活は肥満の原因にもなり、二重の意味で子宮体がんのリスクを高めることになります。閉経後の女性では、動物性脂肪の摂取に特に気をつける必要があります。
運動不足
運動不足は肥満につながるだけでなく、ホルモンバランスにも影響を与えます。適度な運動習慣がある人は、そうでない人と比べて子宮体がんのリスクが低いことが、複数の研究で示されています。
年齢別にみる子宮体がんのリスク
子宮体がんの罹患率は、年齢によって大きく異なります。国内のデータによると、40歳代から増加し始め、50歳代から60歳代でピークを迎えます。
| 年齢層 | 特徴 |
|---|---|
| 40歳未満 | 罹患率は低いですが、近年は若年層での発症も増加傾向にあります |
| 40歳代 | 閉経前後の時期にあたり、ホルモンバランスが変化することで発症リスクが高まり始めます |
| 50歳代 | 罹患率が急増する年代で、閉経後のエストロゲン優位な状態が影響します |
| 60歳代 | 最も罹患率が高い年代です。タイプ1のがんが多く見られます |
| 70歳以上 | タイプ2のホルモン非依存性がんの割合が増えてきます |
閉経を迎える平均年齢は50歳前後とされていますが、閉経後もエストロゲンの影響は続きます。そのため、50歳代以降の女性は、特に注意が必要な年代といえます。
特定の病気との関連
子宮内膜増殖症と子宮内膜異型増殖症
子宮内膜増殖症は、子宮内膜が過度に増殖する病気です。この中でも、細胞に異型(正常な細胞とは異なる形や性質)が見られる子宮内膜異型増殖症は、子宮体がんの前がん病変とされています。
子宮内膜増殖症の一部は自然に消退することもありますが、異型増殖症の場合は、放置すると数年から十数年の経過でがんに進行する可能性があります。定期的な検査と適切な治療が重要です。
エストロゲン産生腫瘍
卵巣にできる粒膜細胞腫などの腫瘍は、エストロゲンを産生します。このような腫瘍がある場合、体内のエストロゲン濃度が高くなり、子宮体がんのリスクが上昇します。
多嚢胞性卵巣症候群
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、卵巣に多数の小さな嚢胞ができ、排卵が起きにくくなる病気です。排卵が起こらないと、プロゲステロンの分泌が少なくなり、エストロゲンが優位な状態が続きます。これにより、子宮体がんのリスクが高まります。
家族歴と遺伝的要因
子宮体がんには、家族性の発症リスクが認められています。特に注目されているのが、リンチ症候群という遺伝性疾患です。
リンチ症候群
リンチ症候群は、DNAミスマッチ修復遺伝子の異常が原因で発症します。この症候群を持つ人は、複数のがんにかかるリスクが高くなります。
| がんの種類 | 生涯発症リスク |
|---|---|
| 大腸がん | 女性で30~52% |
| 子宮体がん | 28~60% |
| 卵巣がん | 6~7% |
| 胃がん | リスクの上昇が認められています |
家族や近親者に大腸がん、子宮体がん、乳がんの人がいる場合、リンチ症候群の可能性を考える必要があります。該当する方は、専門の遺伝子診療科で検査を受けることができます。ただし、遺伝子検査は保険適用外となるため、自費での検査となります。
乳がんとの関連
乳がんと子宮体がんは、どちらもエストロゲンの影響を受けやすいがんです。家族や近親者に乳がんの既往者がいる場合、子宮体がんのリスクも高くなることが統計的に示されています。
乳がんの治療歴がある方、または家族に乳がん患者がいる方は、定期的に子宮体がんの検査を受けることが推奨されます。
服用している薬剤による影響
エストロゲン製剤
更年期障害の治療などで使用されるエストロゲン製剤を、プロゲステロンを併用せずに長期間服用すると、子宮体がんのリスクが高まります。現在では、エストロゲンとプロゲステロンを併用するホルモン補充療法が一般的になっていますが、それでも多少のリスク上昇は認められています。
乳がん治療薬タモキシフェン
タモキシフェンは、乳がんの治療や再発予防に広く使用される薬です。乳房ではエストロゲンの作用を抑えますが、子宮では逆にエストロゲンと同じような作用を示すことがあります。
タモキシフェンを服用している患者さんでは、子宮体がんのリスクが上昇することが知られています。そのため、服用中は定期的な婦人科検診が重要です。
胎盤エキス製品
美容や健康目的で販売されている胎盤エキス(プラセンタ)製品の中には、エストロゲンを豊富に含むものがあります。こうした製品を長期間摂取すると、体内のエストロゲン濃度が上昇し、子宮体がんのリスクを高める可能性があります。
サプリメントや健康食品を利用する際は、成分をよく確認し、心配な場合は医師に相談することが大切です。
子宮体がんに特徴的な出血
子宮体がんの最も重要な症状は、不正性器出血です。特に閉経後の出血は、子宮体がんの可能性を考える必要があります。
閉経前の出血
閉経前の女性では、月経周期とは関係のない出血や、月経期間が長くなる、出血量が増えるといった変化が見られることがあります。ただし、これらの症状は子宮筋腫や子宮内膜症など、他の病気でも起こるため、判断が難しい面があります。
閉経後の出血
閉経後の出血は、子宮体がんの重要なサインです。閉経後1年以上経過してからの出血は、子宮萎縮など良性の原因もありますが、子宮体がんの可能性も考えて、必ず婦人科を受診する必要があります。
出血の特徴としては、少量の出血が続く、おりものに血液が混じる、茶褐色や赤褐色の分泌物が出るなど、さまざまなパターンがあります。痛みを伴わないことが多いため、少量でも出血があれば、速やかに医療機関を受診することが大切です。
タイプ2(ホルモン非依存性)のがんについて
タイプ2の子宮体がんは、エストロゲンとの関連が明確でないタイプのがんです。このタイプは比較的高齢者に多く見られ、老化に伴う何らかの要因が関与していると考えられています。
タイプ2のがんは、タイプ1と比べて進行が早く、予後も良くない傾向があります。しかし、その発症メカニズムやリスク要因については、まだ十分に解明されていません。今後の研究で、より詳しい情報が明らかになることが期待されています。
リスクを減らすためにできること
子宮体がんのリスクを完全になくすことはできませんが、日常生活の中で注意できることがいくつかあります。
まず、適正体重を維持することです。肥満はエストロゲン産生を増やす大きな要因ですから、バランスの取れた食事と適度な運動で、健康的な体重を保つことが大切です。
食生活では、動物性脂肪を控えめにし、野菜や果物を多く摂取することが推奨されます。また、定期的な運動習慣を持つことも、リスク低減につながります。
薬剤を服用している場合は、主治医と相談しながら、適切な検査スケジュールを立てることが重要です。特にタモキシフェンやホルモン製剤を使用している方は、定期的な婦人科検診を受けるようにしましょう。
家族歴がある方は、より注意深く経過を観察する必要があります。遺伝的なリスクが気になる場合は、遺伝カウンセリングを受けることも選択肢の一つです。
検査と早期発見の重要性
子宮体がんは、早期に発見できれば治療の選択肢が広がり、予後も良好です。不正出血などの症状がある場合は、放置せずに婦人科を受診することが何より大切です。
子宮体がんの検査は、子宮頸がん検診とは別に行われます。子宮頸がん検診を受けていても、子宮体がんのチェックは別に必要です。リスク要因を持つ方は、症状がなくても定期的な検査を検討することが推奨されます。
検査方法には、子宮内膜細胞診、経腟超音波検査、子宮内膜組織診などがあります。これらの検査を組み合わせることで、子宮体がんの早期発見が可能になります。

