リンパ浮腫の対策として「弾性ストッキング」の利用があります。日常生活の中で弾性ストッキングなどを着用してむくみの悪化を緩和することができます。
皮下の弾性組織は、皮下にたまった組織液やリンパ液をリンパ管内に押し戻してむくみを防ぎます。リンパ浮腫になると弾性組織の機能が低下するため、皮下にたまった体液を押し戻す力が弱まり、むくみが増します。
そこで、弾性組織の役割をする弾性ストッキングを使った「圧迫療法」で、組織液やリンパ液を心臓に戻します。これらを着けて運動したり日常動作を行うと、リンパドレナージに似た効果が期待できます。
むくみが改善しても着用を続ける
着用によってむくみがひいたからといって、浮腫によって破壊された皮下の弾性組織は正常に戻ったわけではありません。
立ち仕事を続けたり、忙しい日が続いたりするとむくみが戻ってしまいます。さまざまな種類を使い分けて、負担を少なくしながら弾性ストッキングの着用を続けましょう。
専門医に相談して適切な「圧」を選ぶ
浮腫が起きた腕や脚にかける圧が強すぎると、動脈・静脈、神経・筋肉などに影響を与える危険があります。基本的に脚には40~50mmHgの弾性ストッキングを着用しますが、メーカーごとに圧が異なるため適正なものを選びます。
初めての着用では、専門医や医療関係社に相談し、試着して圧・サイズを確認しましょう。むくみが軽減したら、かかる圧を段階的に弱めます。
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弾性ストッキングの使い方
・朝:起床したらすぐに着用する
起きたらベッドなどですぐに着用するのが望ましい。洗顔などのために立つと遅くなる
・昼:仕事でも家庭でも着用する
立っているときは極力着用する。横になっているときは外すか、圧の弱めのものを着用する。圧が強すぎると痛みやしびれがでることがある
・夜:入浴前または就寝前には外す
就寝中は外すか、一段弱めのものを着用するとよい
弾性ストッキングのくい込みに注意
①装着したらくい込みに注意
脚のつけ根のくい込みはリンパの流れを妨げる
②くい込みによって合併症も
くい込みなどによる強い圧力は血行障害や蜂窩織炎などの炎症を引き起こす原因になることがある
着用は少しずつ均等に、十分に引き上げるのがコツ
一般のストッキングに比べて弾力が強い「弾性ストッキング」は、着るのも脱ぐのも大変です。着用のコツは少しずつ均等に引き上げることです。急いであげようとせず、時間をかける習慣をつけることが大切です。朝の忙しい時間でも少し余裕をもって装着しましょう。
ゆっくり時間をかけて引き上げたら、最後に要チェック。十分に引き上げないと、途中でシワやたるみが出ているか、出やすい状態になっているので気をつけましょう。さらに部分的な注意点としては、
①鼠径部でリンパ液の流れを遮らないようにする。
②太もものつけ根に繊維がたまって食い込みがあれば、その繊維を太もも部分へずらす。
③ひざ裏に繊維が食い込む場合は、ふくらはぎ方向へ繊維をずり下ろす。
④かかとが膨らむ場合は下方へずり下ろし、弾性ストッキングの布地がかかとにかかるようにする。
といった点に注意しましょう。弾性が強く装着しにくい場合は、弱い圧の弾性ストッキングを2枚重ねる方法もあります。
劣化したストッキングは使わない
劣化した弾性ストッキングは、効果が薄くなるので使わないようにしましょう。
①着衣に破損がある
小さな穴が開いただけでも、圧迫圧が変わって治療効果に影響します。
②古くなっている
弾性着衣の繊維の寿命は6カ月とされています。4カ月が過ぎたころからケアを続けていても、皮膚が硬くなる、太くなるなどの変化があれば買い替えましょう。
以上、リンパ浮腫についての解説でした。