
こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。
膵臓がんの手術は、がん治療の中でも最も難易度が高く複雑な手術の一つとされています。
この記事では、膵臓がん手術の詳細について、切除範囲、手術時間、合併症、死亡率、そして後遺症まで、最新の医療情報をもとに詳しく解説します。
膵臓がん手術の適応判断における国際的な違い
膵臓がんの手術適応については、日本と海外で大きな考え方の違いがあります。
かつてイギリスでは膵臓がんの切除率が数パーセントにとどまる一方、日本では約60パーセントにも達した時期がありました。これだけ大きな差がありながら、膵臓がん全体の治療成績にはあまり差が見られませんでした。
この事実は、日本では切除しても予後改善の見込みが低い患者さんにまで手術を行っていた可能性を示しています。
しかし、画像検査の技術が進歩した現在では、状況が変わってきています。CT検査やMRI検査の精度向上により、門脈への浸潤の有無や後腹膜への浸潤範囲を正確に評価できるようになりました。
現在の手術適応基準
2026年現在、膵臓がんの手術適応は「切除可能性分類」に基づいて判断されます。この分類は、膵臓周囲の主要な血管への浸潤の程度によって決定されます。
| 分類 | 特徴 | 治療方針 |
|---|---|---|
| 切除可能 | 主要血管への浸潤がほとんどない | 術前化学療法後に手術、術後も化学療法を実施 |
| 切除可能境界 | 上腸間膜動脈・腹腔動脈への接触が180度未満、または再建可能な門脈浸潤 | 化学療法や化学放射線療法後、切除可能性を再評価 |
| 切除不能 | 遠隔転移あり、または主要血管に広範囲に浸潤 | 薬物療法、化学放射線療法が中心 |
門脈に浸潤している場合、予後が悪いため手術を見送るケースが多くなっています。後腹膜に広く浸潤している場合や、リンパ節に広範に転移している場合、肝転移がある場合も手術は行いません。
局所進行例でも、大動脈周囲のリンパ節に広範な転移がある患者さんの場合、大規模な手術を行っても1~2年以内に再発することが多く、患者さんの負担を考慮して手術を見送る判断がなされます。
このような適応基準の明確化により、日本の膵臓がん切除率は以前と比べて減少傾向にあります。これは、本当に手術の効果が期待できる患者さんを選別できるようになったことを意味しています。
膵臓がんの手術方式と切除範囲
膵臓がんの手術は、がんの発生部位によって術式が決まります。手術は膵臓がん治療において根治を目指せる唯一の方法とされており、最初に検討される治療手段です。
膵頭十二指腸切除術
膵頭部(膵臓の右側、十二指腸に近い部分)にがんがある場合に行われる手術です。
この手術では、膵頭部だけでなく、十二指腸、胆管、胆のうを同時に切除します。がんが胃の近くにある場合は胃の一部も、血管を巻き込んでいる疑いがある場合は血管の一部も切除します。
近年では、胃の機能をできるだけ温存するため、胃の一部だけを切除するSSPPD(亜全胃温存膵頭十二指腸切除術)や、胃のすべてを残すPPPD(幽門輪温存膵頭十二指腸切除術)が実施されるようになってきました。
切除後は、膵臓と小腸、胆管と小腸、胃と小腸の順につなぎ直し、膵液、胆汁、食べ物の通る経路を再建します。
膵臓の周囲には門脈という肝臓へ流れる太い血管が接して走っています。がんがこの血管まで広がっている場合には、門脈も一緒に切除してつなぎ直す(門脈合併切除・再建)操作が必要になることがあります。
膵体尾部切除術
膵臓の体部・尾部(膵臓の左側、脾臓に近い部分)にがんがある場合に行われる手術です。
通常は、膵体尾部とともに脾臓も摘出します。脾臓を一緒に切除する理由は、膵尾部と脾臓が解剖学的に近接しており、また脾動脈・脾静脈が膵体尾部の背側を走行しているため、がん周囲のリンパ節郭清を確実に行うには脾臓を含めた切除が必要になるためです。
ただし、2024年以降の最新の取り組みとして、脾臓温存手術の試みも始まっています。北海道大学病院などの研究では、膵体尾部切除術を受けた患者さんで脾臓近くのリンパ節への転移がほとんど認められなかったことが報告されています。
脾臓は免疫機能において重要な役割を果たしており、将来的なmRNAがんワクチン療法などの新しい治療法を見据えて、可能な場合は脾臓を温存する試みが一部の施設で行われています。
消化管の切除を伴わないため、切除後の消化管再建手術は必要ありません。膵臓の切離面はステープラー(医療用ホチキス)で閉鎖するか、直接縫合して閉じます。
膵全摘術
がんが膵臓内を広範囲に占拠している場合や、膵臓全体に及ぶ場合に行われます。
膵臓をすべて摘出することにより、外分泌機能(消化酵素の分泌)と内分泌機能(インスリンなどのホルモン分泌)が完全に失われます。
以前は膵全摘後の生活の質(QOL)が低下することが問題視されていましたが、高力価膵酵素剤(パンクレアリパーゼなど)や持続型インスリン製剤の開発により、術後の生活の質が改善されてきています。
そのため、局所進行がんでも術前治療がよく効いた患者さんでは、根治切除を目指して積極的に膵全摘を行う傾向が強まっています。
リンパ節郭清の範囲
膵臓がん手術では、転移の可能性のあるリンパ節を同時に切除します。通常は第二群リンパ節まで切除しますが、悪性度の低い腫瘍の場合は第一群リンパ節までの切除にとどめることもあります。
| 郭清範囲 | 対象リンパ節 | 適応 |
|---|---|---|
| 第一群 | 膵臓に接するリンパ節 | 低悪性度腫瘍 |
| 第二群 | 膵臓周囲および主要血管周囲のリンパ節 | 標準的な膵臓がん |
| 拡大郭清 | 大動脈周囲リンパ節を含む | 現在はほとんど行われない(効果が証明されていない) |
かつて行われていた拡大手術(周囲の血管や臓器を大きく切除する手術)は、標準治療と治療成績が変わらないことがわかり、最近ではほとんど行われなくなっています。
膵臓がん手術にかかる時間
膵臓がんの手術時間は、術式や切除範囲によって大きく異なります。
術式別の手術時間
| 術式 | 標準的な手術時間 | 備考 |
|---|---|---|
| 膵体尾部切除術 | 3~4時間 | 消化管再建が不要なため比較的短時間 |
| 膵頭十二指腸切除術(単純) | 6~8時間 | 複数の消化管再建が必要 |
| 膵頭十二指腸切除術(血管合併切除) | 8~10時間以上 | 門脈再建などが加わる場合 |
| 術中照射併用手術 | 9~10時間 | 放射線照射の時間が加わる |
膵頭十二指腸切除術は、腹部の手術の中でも最大級の手術とされています。全身麻酔下に20センチメートルほど開腹し、膵頭部、遠位胆管、胆のう、十二指腸を周囲のリンパ節、神経、脂肪組織とともに切除します。
複数の臓器を同時に切除し、かつ膵臓から腸への吻合、胆管から腸への吻合、胃から腸への吻合という3つの複雑な消化管再建が必要なため、手術時間が長くなります。
術中照射について
一部の専門施設では、手術中に放射線を照射する術中照射が行われることがあります。
術中照射は、肉眼的には見えないががん細胞が残っている可能性のある部分に、直径6~8cmの筒を当て、その内側に一度に大量の放射線を照射する方法です。
手術中に行うため、放射線に弱い胃や腸を照射野から避けることができ、血管やその周囲の神経組織に安全に大量の放射線(通常の体外照射の10倍以上の線量)を照射できます。
ただし、術中照射の治療効果については臨床試験で十分に評価されておらず、この治療ができるのは特殊な設備を備えた限られた専門施設のみです。
膵臓がん手術における合併症
膵臓がんの手術は複雑で侵襲が大きいため、合併症のリスクがあります。2025年現在の最新データでは、専門施設における合併症管理は改善傾向にありますが、依然として注意が必要です。
主な合併症とその頻度
| 合併症 | 発生頻度 | 重症度 |
|---|---|---|
| 膵液漏(膵頭十二指腸切除) | 10~15% | 最も注意が必要な合併症 |
| 膵液漏(膵体尾部切除) | 15~30% | ドレーン管理で対応可能なことが多い |
| 術後出血 | 2~5% | 生命に関わる重篤な状態になりうる |
| 縫合不全 | 5~10% | 治癒まで1.5~2か月を要する |
| 胃内容排泄遅延 | 10~20% | 栄養管理で対応 |
| 腹腔内膿瘍 | 5~10% | ドレナージで対応 |
膵液漏とその管理
最も頻度が高く、注意が必要な合併症が膵液漏です。
膵液は消化酵素を含む強力な消化液であり、膵臓と腸のつなぎ目から漏れると、この膵液が周囲の組織を溶かす危険があります。
漏れた膵液は消化液や胆汁と混じることで活性化され、周囲の組織を溶かしたり膿を作ったりして炎症を引き起こします。まれですが、近くの動脈を溶かして大出血を引き起こし、生命に関わる深刻な状態になることがあります。
多くの場合、手術時に留置したドレーン(管)から漏れた膵液を回収することで深刻な状況を回避できますが、膵液漏が収まるまで、ドレーン腔を洗浄しながら慎重に経過を観察する必要があります。
かつては100人手術すると10人程度に膵液漏が発生し、そのうち1人が大出血で死亡する可能性がありました。しかし、近年は手術手技の改善により、膵液漏の頻度は減少傾向にあります。
膵液漏を予防するため、Blumgart変法などの安全な膵腸吻合法が開発され、従来の方法よりも膵液漏れが減少したことが報告されています。
胃内容排泄遅延
胃の動きが悪くなるために、食事を食べてもすぐに満腹感が生じたり、吐き気がしたりして、食事が思うように進まない状態です。
この場合、消化管からの栄養がきちんと取れるように、手術中に腸管内に栄養チューブを留置し、術後早期から経腸栄養剤を注入することで、栄養状態低下の早期改善を図ります。
また、栄養改善とともに、術後早期から理学療法士によるリハビリテーションを行い、早期離床を促すことで、合併症の予防に努めます。
縫合不全
胆管と腸をつないだ部分や胃と腸をつないだ部分が完全に治癒せず、一部にほころびが生じた状態です。
消化液が腹腔内に漏れて周囲に炎症を引き起こします。手術時に留置したドレーンや新たに入れた管を通して、漏れた消化液を体外に導き出すようにします。
縫合不全が治癒するまでには通常1.5か月から2か月かかります。
膵臓がん手術の死亡率
膵臓がん手術における死亡率は、施設の経験や症例数によって異なります。
周術期死亡率の現状
在院死(ホスピタル・デス)とは、入院して手術を受けた後、退院できずに亡くなることを指します。手術中に亡くなる患者さんは限りなくゼロに近く、「手術死」という場合には在院死のことを指します。
| 施設タイプ | 周術期死亡率 | 備考 |
|---|---|---|
| 一般的な施設 | 2%程度 | 全国平均 |
| High volume center(年間20例以上) | 1%以下 | 専門施設として推奨される |
| トップレベルの専門施設 | 0.1~0.5% | 過去5年間の実績が優れた施設 |
2025年の最新データでは、一般的な施設での周術期死亡率は約2%とされていますが、年間20例以上の膵頭十二指腸切除術を行っている専門施設(High volume center)では1%以下、さらに経験豊富な施設では0.1~0.5%という極めて低い数字が報告されています。
「膵癌診療ガイドライン」では、膵頭十二指腸切除術など膵臓がんに対する外科的切除術では、手術症例数が一定以上ある専門医のいる施設で合併症が少ない傾向があり、合併症発生後の管理も優れていると推察されるとして、High volume centerでの治療を推奨しています。
実際には、手術後30日以内に亡くなることは専門施設では少なくなっています。
施設選択の重要性
膵臓がん手術は高度な技術を要するため、施設選択が治療成績に影響します。
年間の膵臓手術件数が100件を超える施設では、合併症の管理体制が整っており、万が一重篤な合併症が発生した場合でも適切な対応が可能です。
患者さんが手術を受ける施設を選ぶ際には、以下の点を確認することが推奨されます。
・年間の膵臓がん手術件数(特に膵頭十二指腸切除術の件数)
・周術期死亡率と合併症発生率
・集学的治療(手術、化学療法、放射線療法を組み合わせた治療)の体制
・術後補助化学療法の実施率
膵臓がん手術後の後遺症
膵臓がんの手術後には、膵臓の機能が低下することによるさまざまな後遺症が生じる可能性があります。
糖尿病の発症
膵臓は血糖値を下げるホルモンであるインスリンを分泌しています。手術で膵臓を半分程度切除すると、インスリンの分泌量も減少します。
多くの患者さんはこの量でも糖尿病にはなりませんが、もともと糖尿病の素因がある患者さんは、術後に糖尿病を発症したり、既存の糖尿病が悪化したりすることがあります。
| 切除範囲 | 糖尿病発症リスク | 対応 |
|---|---|---|
| 膵頭十二指腸切除 | 中等度 | 糖尿病専門医との連携 |
| 膵体尾部切除 | 中等度~高度 | インスリン分泌機能が大きく低下 |
| 膵全摘 | 100%(必発) | 生涯にわたるインスリン療法が必須 |
膵全摘術を行った場合には、インスリンが全く分泌されなくなるため、生涯にわたって自己注射でインスリンを補う必要があります。
注射の方法などは、退院前に担当医、看護師、薬剤師から指導を受けます。退院後に自己注射に不安を感じる場合には、訪問看護によるサポートや訪問介護による見守りなどのサービスも利用できます。
消化吸収障害
膵臓は消化酵素を含む膵液を分泌しており、この膵液が食物の消化に重要な役割を果たしています。
膵臓を切除すると膵液の分泌が減少するため、消化吸収障害が起こります。これにより、下痢をしやすくなったり、脂肪肝になったりすることがあります。
消化吸収障害が明らかな場合は、膵液の代わりになる消化剤(膵消化酵素剤)を服用します。近年開発された高力価膵酵素剤(パンクレアリパーゼなど)により、消化吸収障害の管理が改善しています。
食事と栄養管理
膵臓手術後の食事では、以下の点に注意が必要です。
・少量ずつ何回かに分けて食べる:一度にたくさん食べると消化吸収が追いつかないため、3食以外にも間食を取り栄養を補います。
・脂肪分を控える:動物性脂肪を控え、植物性脂肪を適度に取ります。
・良質なタンパク質を摂取する:大豆製品や魚などを積極的に取ります。
十二指腸を切除することで、胃で消化された食べ物をさらに消化する働きが失われます。このため、手術後は食物の消化や吸収に影響が出て、下痢をしやすくなったり、消化不良で栄養不足となり、体が弱りやすくなったりします。
栄養不良で体重が減少し入れ歯が合わなくなると、さらに食べることが困難になり、低栄養状態が進むという悪循環が起こることもあります。また、低栄養状態になると、術後の抗がん剤治療を行うことができなくなる可能性もあります。
これらのことを可能な限り防ぐため、手術前から食生活を整えたり、適度な運動を行ったり、虫歯の治療や入れ歯の調節を行うなど、日常生活を整えておくことが重要です。
下痢
がんの位置によっては、腸の動きを調整する神経も一緒に切除するため、手術後に下痢を起こしやすくなります。
特に膵頭十二指腸切除術では、腸とつなぎ合わせる部位が多く、神経も切除されるため、下痢の症状が出やすい傾向があります。
脾臓摘出後の免疫機能低下
膵体尾部切除術で脾臓も摘出した場合には、肺炎球菌などの細菌に対する抵抗力が低下します。
そのため、術後に肺炎球菌ワクチンの予防接種が推奨されています。脾臓は免疫機能において重要な役割を果たしているため、感染症予防に十分な注意が必要です。
膵臓がん手術後の経過と入院期間
標準的な術後の経過は以下の通りです。
・手術翌朝:体を動かす練習を開始
・術後3日目:食事を開始
・術後3~5日目:腹腔内ドレーンを抜去
・術後2週間前後:合併症がなければ退院
合併症がある場合は、治癒するまで入院期間を延長します。膵液漏などの合併症が発生した場合には、1か月以上の入院が必要になることもあります。
術後の定期フォローアップ
手術後も、回復の度合いや再発の有無を確認するために、定期的に通院して検査を受けます。
通院の頻度は個別の状況により異なりますが、少なくとも手術後5年間は必要で、その後も継続して検査を受けることが推奨されています。
・術後2年間:3~6か月おきに受診
・術後2年以降:6~12か月おきに受診
診察では、黄疸の有無や血糖、肝機能、腫瘍マーカー(CA19-9など)を調べるための血液検査と、腹部の超音波(エコー)、CT、MRIなどの画像検査を行います。
最新の技術的進歩
2025年現在、膵臓がん手術においていくつかの技術的進歩が見られます。
ロボット支援手術の普及
手術支援ロボットを用いた低侵襲手術が広がっています。2020年から膵体尾部切除術、2023年以降は膵頭十二指腸切除術にもロボット手術が導入されています。
ロボット支援手術により、より精密な操作が可能になり、出血量の減少や術後の回復促進が期待されています。現在、国産の手術支援ロボットを含む複数のシステムが使用されています。
脾臓温存手術の試み
従来、膵体尾部切除術では脾臓も一緒に切除することが標準でしたが、一部の施設では脾臓を温存する試みが始まっています。
これは、将来的なmRNAがんワクチンなどの免疫療法において、脾臓が重要な役割を果たす可能性があるためです。臨床研究では、脾臓を残しても近くのリンパ節への転移がほとんど認められなかったことが報告されています。
術前術後の補助療法の進化
手術単独よりも、術前術後に化学療法や放射線療法を組み合わせた集学的治療が標準となっています。
近年の新規抗がん剤の開発により、従来は切除不能とされていた患者さんでも、術前化学療法でがんを縮小させてから手術が可能になるケースが増えています。
術前化学療法として、FOLFIRINOX療法やゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法などが用いられ、術後も6か月程度の補助化学療法が実施されます。
手術ができない膵臓がんへの対応
手術の適応とならない局所進行がんや遠隔転移のある膵臓がんに対しては、以下の治療が検討されます。
化学放射線療法
局所進行がんには、放射線治療と抗がん剤(5-FUなど)を組み合わせた化学放射線療法が行われることがあります。
がん細胞を死滅させる作用を持つ放射線と、がん細胞を殺傷する作用のある抗がん薬を組み合わせて治療します。
ただし、近年は薬物療法の開発が進んでおり、放射線療法の使用頻度は少しずつ減ってきています。
薬物療法
切除不能の膵臓がんに対しては、薬物療法が治療の中心となります。
ゲムシタビン、FOLFIRINOX、ゲムシタビン+ナブパクリタキセルなどの薬物療法により、生存期間の延長が期待できるようになっています。
症状緩和のための処置
進行・切除不能のがんには、生活の質(QOL)改善を目的にバイパス手術を行うことがあります。
十二指腸の狭窄で食事がとれない患者さんに対して胃と腸をつないだり、黄疸が出ないように胆管と腸をつないだりします。
また、がんによって胆管が狭くなった場合は胆道ドレナージ(ステント留置)が、消化管が狭窄した場合にはステントを入れる治療が行われることもあります。
痛みの制御にも放射線療法が有効な場合があります。
まとめ
膵臓がんの手術は、がん治療の中でも最も複雑で侵襲の大きな手術の一つですが、根治を目指せる唯一の治療法です。
2026年現在、画像診断技術の進歩により、手術の適応判断がより正確になり、本当に手術の効果が期待できる患者さんを選別できるようになりました。
手術時間は術式によって3~10時間以上と幅があり、合併症のリスクも存在しますが、専門施設では合併症管理が改善し、周術期死亡率は1%以下にまで低下しています。
術後の後遺症として糖尿病や消化吸収障害が生じることがありますが、適切な管理により日常生活を送ることが可能です。
また、ロボット支援手術や脾臓温存手術などの新しい技術的進歩、術前術後の補助療法の発展により、治療成績の向上が期待されています。
膵臓がんの手術を受ける際には、年間症例数の多い専門施設を選択し、集学的治療の体制が整った環境で治療を受けることが重要です。

