がん細胞も、通常細胞と同じく分裂をしながら成長していきます。
がん細胞の性質の悪いところは、1個から2個、2個から4個と分裂して数を増やすにつれ、その力(もちろん悪い力)が強くなることです。
がん細胞を殺す薬=抗がん剤を使ったとき、分裂するときに抗がん剤に対して抵抗力を持つ細胞が生まれ、抵抗力を持ったがん細胞が増えていきます。放射線に対しても同じで、放射線を浴びれば、放射線に対して抵抗力を持つがん細胞が生まれるのです。
このような現象が起きるのは、がん細胞の増殖速度が速いことと、がん細胞の遺伝子が変異しやすい性質を持っているためです。このように、がん細胞がタフになっていくことを「がん細胞が悪質化する」といいます。
がん細胞は増えるたびに悪質化し、人間の体内でさまざまな臓器や器官を浸食し、正常な働きを阻害するのです。また、よく知られているように、がん細胞は「自ら死なない(自殺しない)細胞」です。
正常細胞は自殺するシステム(アポトーシス)を兼ね備えていますが、がん細胞にはそれがありません。人間の体が活動している限り、栄養と酸素を奪い、不足してきたら新しい血管を引き込んででも、生き延びるための養分を得るのです。
現在、がんの標準治療である手術・抗がん剤・放射線は、「今あるがんを殺すための治療」ですが、本来のがん治療は、がん細胞が増えることや転移する流れを断ち切ることにあるといえます。
新しいタイプの薬剤である「分子標的薬」はそのような効果を薬によって発揮しようとするものですが、まだ発展途上だといえます。
以上、がん細胞の特徴についての解説でした。