肝臓がんの手術はがんが発生した場所、がんの個数、肝機能の状態によって切除範囲が異なってきます。肝臓をより小さく切除する場合は「肝核出術」を行います。これはできるだけ「腫瘍のみ」を切除する方法です。
そして、肝臓の中を通っている門脈という血管の支配領域と関係なしに、腫瘍部分から1センチは間隔をとって切除する方法は「肝部分切除」とよばれます。
基本的には、門脈という血管の支配領域を考えて肝臓を広く切除する、標準的な手術を行うべき、とされています。この理由は、肝臓には肝動脈と門脈の2本の血管と胆管が伴走していますが、肝臓がんはそのうちの門脈に乗って転移するとされているからです。
そのため、肝臓がんができた門脈に支配されている部分をきっちり切除しなければならない、とされているのです。
ただ、標準的に行うべきとされているいっぽうで、実は部分切除と区域切除に再発リスクの違いがあるかどうかは分かっていません。肝臓がんは再発リスクが高く、標準的手術をしたから再発が抑えられるとは、必ずしもいえないところがあります。
確実に腫瘍を取り除く手術を行ってもなお、なぜ再発リスクが高いのかというと、次のような理由が挙げられます。
①肝臓がんは門脈に乗って転移する。
②がんが全身をめぐっている
⇒肝臓がんで肝移植をした後、新しい肝臓にまたがんが発生することがあります。門脈を介して転移する以外に、血液に乗って肝臓がんが全身をめぐっていると考えられているのです。
③がん発生の素地ができている
⇒すでに肝臓がんの発生した肝臓は肝炎、肝硬変になっており、いつがんが発生しても不思議ではない状態になっている、ということです。
他のがんもそうですが、肝臓がんは特に「手術をしたので大丈夫」とは考えてはいけないがんだといえます。
以上、肝臓がんの再発についての解説でした。