25.抗がん剤・分子標的薬・免疫チェックポイント

【2026年更新】イマチニブ(グリベック)の効果と副作用、費用を分かりやすく解説。慢性骨髄性白血病の治療薬

イマチニブ(グリベック)の主な副作用と特徴


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イマチニブ(グリベック)とは

こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。

イマチニブ(一般名:イマチニブメシル酸塩、商品名:グリベック)は、慢性骨髄性白血病や消化管間質腫瘍などの治療に用いられる分子標的薬です。錠剤として内服する経口薬で、血管外漏出による皮膚障害のリスクはありません。

2001年に登場したこの薬剤は、慢性骨髄性白血病の治療成績を大きく改善し、現在では治療の第一選択薬として位置づけられています。従来は骨髄移植以外に治癒が期待できなかった疾患に対して、イマチニブの登場により長期生存率が90%以上に達するようになりました。

基本情報

項目 内容
一般名 イマチニブメシル酸塩
商品名 グリベック
製薬会社 ノバルティスファーマ
投与経路 経口(内服)
薬効分類 分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬)
催吐リスク 中等度

イマチニブの作用機序と特徴

イマチニブは、がん細胞の増殖に関わる特定のタンパク質の働きを阻害する分子標的薬です。正常な細胞にはあまり影響を与えず、異常な細胞を選択的に攻撃することが特徴です。

作用のメカニズム

慢性骨髄性白血病の患者さんの約95%には、フィラデルフィア染色体という異常な染色体が見られます。この異常な染色体から作られるBcr-Ablタンパクは、細胞増殖のスイッチを常にオンの状態にしてしまい、がん細胞が無秩序に増殖する原因となっています。

イマチニブは、このBcr-AblタンパクやKitタンパクと結合し、本来結合すべきATP(エネルギー物質)の代わりに結合することで、細胞増殖の指令を遮断します。これにより、がん細胞の増殖を抑制する効果を発揮します。

また、消化管間質腫瘍においては、変異したKITチロシンキナーゼの働きを阻害することで治療効果を示します。

代謝と排泄

イマチニブは主に肝臓で代謝されます。代謝に関わる酵素はCYP3A4などで、代謝された後は約6割が糞便中に、約1割が尿中に排泄されます。この代謝経路は、他の薬剤との相互作用を考える上で重要です。


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対象となるがんと適応疾患

イマチニブは、以下の疾患に対して保険適応があります。

主な適応疾患

疾患名 条件
慢性骨髄性白血病 染色体検査または遺伝子検査により診断された患者さん
消化管間質腫瘍(GIST) KIT(CD117)陽性と診断された患者さん
フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病 染色体検査または遺伝子検査により診断された患者さん
好酸球増多症候群または慢性好酸球性白血病 FIP1L1-PDGFRα陽性と確認された患者さん

それぞれの疾患において、確定診断のために染色体検査や遺伝子検査、免疫組織学的検査などが必要です。これらの検査は、十分な経験を有する病理医または検査施設において実施されます。

投与方法と投与スケジュール

疾患別の標準投与量

イマチニブの投与量は、疾患の種類や病期によって異なります。必ず食後に内服することが重要です。

疾患・病期 標準投与量 増量の可否
慢性骨髄性白血病(慢性期) 1日1回400mg 最大600mgまで可
慢性骨髄性白血病(移行期・急性期) 1日1回600mg 最大800mg(400mg×2回)まで可
消化管間質腫瘍(GIST) 1日1回400mg 減量のみ
フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病 1日1回600mg 減量のみ
好酸球増多症候群・慢性好酸球性白血病 1日1回100mg 最大400mgまで可

正しい服用方法

イマチニブは消化管への刺激作用があるため、以下の点に注意して服用します。

服用のタイミングは必ず食後です。コップ1杯(約200mL)の水またはぬるま湯と一緒に内服してください。これにより、消化管刺激作用を最低限に抑えることができます。

また、飲み忘れには特に注意が必要です。慢性骨髄性白血病の治療においては、服用率が90%以下(30日のうち3日以上の飲み忘れ)になると、治療効果に差が出ることが報告されています。飲み忘れを防ぐため、服用時間を決めておく、カレンダーにチェックを入れるなどの工夫をお勧めします。


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治療効果と奏効率

慢性骨髄性白血病での治療成績

イマチニブは慢性骨髄性白血病に対して高い治療効果を示します。日本の臨床研究では、観察期間7年の長期成績として以下の結果が報告されています。

細胞遺伝学的完全奏効の累積率は98%、分子遺伝学的大奏効の累積率は87%、7年生存率は93%という成績です。これは欧米の大規模試験と同等以上の結果でした。

また、国際的な臨床試験では、追跡期間中央値10.9年において、10年全生存率は83.3%と推定されています。イマチニブ群に割り付けられた患者さんの82.8%で細胞遺伝学的完全寛解が得られました。

初回治療時にイマチニブを使用した場合、長期生存率は90%以上に達し、慢性骨髄性白血病が原因で亡くなった患者さんは5%程度に留まっています。

治療効果の判定と薬剤変更の考え方

現在の治療方針では、治療開始後の早期段階での効果を重視しています。

治療開始から3か月の時点でBCR-ABL遺伝子が10%以下、6か月の時点で1%以下になることが、早期分子遺伝学的効果(EMR)の達成目標です。この目標を達成し、副作用にも対処できていれば、イマチニブの継続が推奨されます。

一方、目標を達成できていない場合は、第二世代のチロシンキナーゼ阻害薬(ニロチニブやダサチニブ)への変更が検討されます。これらの薬剤は、イマチニブと比較してより強力な阻害作用を持ち、早い段階でより深い効果が期待できます。

治療中止の可能性

近年の研究により、一定の条件を満たした患者さんでは、イマチニブの投与を中止できる可能性が示されています。

2010年のSTIM試験では、分子遺伝学的完全寛解を達成した後に投薬を中止したところ、2年後でも約40%の患者さんが寛解を維持していました。また、中止後に再発した場合でも、イマチニブの投与を再開すると以前と同様の効果が得られることが確認されています。

ただし、安全に治療を中止できる基準はまだ確立されていないため、中止を検討する場合は必ず主治医とよく相談することが重要です。

副作用とその対策

重大な副作用

イマチニブで特に注意が必要な重大な副作用には以下のものがあります。

副作用 症状・注意点
骨髄抑制 好中球減少、血小板減少、貧血など。定期的な血液検査で確認
消化管穿孔・腫瘍出血 腹痛、吐血、下血などの症状に注意
肝機能障害 投与開始前と投与後は月1回、肝機能検査を実施
重篤な体液貯留 体重増加、むくみ、呼吸困難などに注意。定期的な体重測定が重要
重篤な皮膚症状 中毒性表皮壊死、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑など

肝機能については、投与開始前と投与後は1か月ごと、または患者さんの状態に応じて肝機能検査(ビリルビン、AST、ALT、ALPなど)を行います。異常値が認められた場合は、減量・休薬基準に沿って用量調整が行われます。

比較的頻度の高い副作用

日常的に注意が必要な副作用として、以下のようなものがあります。

慢性骨髄性白血病の治療でイマチニブを使用した患者さんの調査では、筋肉のつり(こむらがえり)が約69%、皮膚が白くなる症状が約36%、浮腫(むくみ)が約33%、結膜下出血(白目からの出血)が約30%の患者さんに見られました。

その他、悪心(吐き気)、下痢、発疹、顔面浮腫なども報告されています。これらの副作用の多くは治療開始後6か月未満に発現することが多く、特に開始後1年間は注意深い観察が必要です。

副作用への対処方法

副作用の多くは適切な対症療法により管理可能です。

むくみに対しては利尿薬を使用したり、吐き気に対しては制吐剤を併用するなどの対処を行うことで、副作用を軽減できます。こうした対処により、ほとんどの患者さんはイマチニブを使った治療を継続できています。

体液貯留や感染症などの早期発見・対応のため、体重や体温、体調の変化を記録することをお勧めします。急激な体重増加や呼吸困難などの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

投与時の注意点と禁忌事項

投与が禁忌となる場合

以下の患者さんには投与できません。

イマチニブまたはその成分に過敏症の既往歴がある方、妊娠中または妊娠の可能性がある女性、ロミタピド(ジャクスタピッド)を投与中の方です。

イマチニブは、着床後死亡率の増加や催奇形性が報告されており、また乳汁への移行も確認されています。そのため、妊娠の可能性がある女性は避妊が必要で、授乳中の方は授乳を中止する必要があります。

慎重投与が必要な場合

肝機能障害のある患者さん、高齢者、心疾患(既往歴を含む)のある患者さんでは、特に注意して投与する必要があります。

高齢者では一般的に生理機能が低下しているため、減量などの配慮が必要な場合があります。外国の臨床試験では、65歳以上の高齢者で軽度から中等度の表在性浮腫の発現頻度が若年者より高いという報告があります。

また、B型肝炎ウイルスキャリアの患者さんや既往感染者では、ウイルスの再活性化が起こる可能性があるため、定期的な検査が必要です。

薬剤相互作用と併用注意

イマチニブは代謝酵素CYP3A4で代謝されるため、この酵素の活性に影響を及ぼす薬剤や食品との併用には注意が必要です。

グレープフルーツジュースは、CYP3A4の活性を阻害し、イマチニブの血中濃度を上昇させる可能性があるため、服用中は避けてください。

また、セント・ジョーンズ・ワート(サプリメント)は、CYP3A4の活性を誘導し、イマチニブの血中濃度を低下させる可能性があります。

その他、健康食品や他の薬剤を併用する場合は、必ず主治医に確認してください。相互作用を受けやすい薬剤であるため、自己判断での併用は避けるべきです。

費用と保険適応

薬価と治療費の目安

2025年10月時点での薬価は以下の通りです。

製品 規格 薬価(1錠あたり)
グリベック錠(先発品) 100mg 1,413.7円
イマチニブ錠(後発品) 100mg 199.6〜609.9円
イマチニブ錠(後発品) 200mg 約1,163.2円

慢性骨髄性白血病の慢性期で標準的な1日400mg(100mg錠×4錠)を服用した場合、先発品のグリベックでは1日の薬価が約5,655円、1か月(30日)では約16万9,650円となります。

後発品を使用した場合、薬価は製品により異なりますが、先発品と比較して約3分の1から5分の1程度に抑えることができます。

保険適応と高額療養費制度

イマチニブは保険適応の医薬品であり、健康保険が適用されます。自己負担額は年齢や所得によって異なりますが、通常は1〜3割の負担となります。

ただし、長期間の継続投与が必要となるため、医療費の負担は大きくなります。このような場合に活用できるのが高額療養費制度です。

高額療養費制度では、1か月の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、超えた分が払い戻される仕組みになっています。自己負担限度額は年齢や所得区分によって異なり、一般的な所得の方(70歳未満)では、月額約8万円程度が上限となります。

また、慢性骨髄性白血病は指定難病に該当する場合もあり、難病医療費助成制度の対象となる可能性があります。詳しくは医療機関のソーシャルワーカーや医療費相談窓口に相談することをお勧めします。

日常生活での注意点

服薬管理と記録

イマチニブの治療効果を最大限に引き出すためには、処方された通りに継続して服用することが重要です。

飲み忘れを防ぐために、毎日同じ時間に服用する習慣をつける、お薬カレンダーを使用する、スマートフォンのアラーム機能を活用するなどの工夫が有効です。

また、副作用の早期発見のために、毎日の体重、体温、体調の変化などを記録しておくことをお勧めします。異常を感じた場合は、記録を持って医師に相談してください。

定期検査の重要性

イマチニブによる治療中は、定期的な検査が欠かせません。

血液検査により骨髄抑制の状態を確認し、肝機能検査により肝障害の有無をチェックします。また、治療効果を判定するために、染色体検査や遺伝子検査も定期的に実施されます。

これらの検査結果に基づいて、投与量の調整や治療方針の見直しが行われますので、必ず医師の指示通りに受診してください。

生活上の工夫

体液貯留(むくみ)が起こりやすいため、塩分の摂りすぎには注意が必要です。また、感染症のリスクを下げるため、手洗いやうがいなどの基本的な感染予防対策を心がけてください。

妊娠を希望する場合や授乳中の場合は、必ず事前に主治医に相談してください。男女ともに避妊が必要となる場合があります。

治療における判断のポイント

医師との相談事項

イマチニブによる治療を始める前に、主治医と十分に話し合うことが大切です。

現在服用している他の薬剤やサプリメント、健康食品などを全て伝えてください。また、過去のアレルギー歴、肝機能や腎機能の状態、心疾患の有無なども重要な情報です。

治療中に気になる症状が現れた場合は、些細なことでも相談することをお勧めします。副作用の多くは早期に対処することで管理可能です。

セカンドオピニオンの活用

慢性骨髄性白血病の治療では、イマチニブ以外にも第二世代、第三世代のチロシンキナーゼ阻害薬など、複数の治療選択肢があります。

治療方針に迷った場合や、より詳しい説明を聞きたい場合は、セカンドオピニオンを受けることも一つの方法です。別の医療機関の専門医の意見を聞くことで、治療への理解を深め、納得して治療を受けることができます。

長期的な視点での治療計画

イマチニブによる治療は長期間にわたることが多いため、治療開始時から長期的な視点を持つことが重要です。

定期的な効果判定に基づいて、治療の継続、増量、薬剤変更などの判断が行われます。また、将来的には治療中止の可能性も視野に入れながら、最適な治療強度を見極めていきます。

経済的な負担についても、高額療養費制度や各種助成制度の活用を含めて、早めに医療機関のソーシャルワーカーなどに相談することをお勧めします。

まとめにかえて

イマチニブは、慢性骨髄性白血病をはじめとする特定のがんに対して高い治療効果を示す分子標的薬です。2001年の登場以来、多くの患者さんの予後を改善し、長期生存を可能にしてきました。

適切な服用方法を守り、定期的な検査を受け、副作用への対処を行うことで、多くの患者さんが日常生活を送りながら治療を継続できています。

治療に関する疑問や不安がある場合は、遠慮なく主治医や医療チームに相談してください。

参考文献・出典情報

  1. 医療用医薬品:グリベック - KEGG MEDICUS
  2. グリベック(イマチニブ) - がん情報サイト「オンコロ」
  3. グリベック錠100mgの基本情報 - 日経メディカル処方薬事典
  4. 慢性骨髄性白血病 - 日本成人白血病治療共同研究機構(JALSG)
  5. 慢性骨髄性白血病に対するイマチニブ投与の長期転帰 - The New England Journal of Medicine日本版
  6. 慢性骨髄性白血病(CML)早期に寛解導入で治癒を目指す最新治療 - QLife
  7. グリベック(イマチニブ)の効果と副作用 - 上野御徒町こころみクリニック
  8. 慢性骨髄性白血病 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター
  9. イマチニブ - Wikipedia
  10. イマチニブ(グリベック)の特徴と副作用

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本村ユウジ
がん治療専門のアドバイザー・本村です。

私の仕事は【がん患者さんに正しい選択を伝えること】です。

「本村さん、おかげで元気になりました」

そんな報告が届くのが嬉しくて、患者さんをサポートしています。

→200通以上の感謝の声(これまでいただいた実際のメールを掲載しています)

しかし毎日届く相談メールは、

「医師に提案された抗がん剤が怖くて、手の震えが止まらない」

「腰がすこし痛むだけで、再発か?転移か?と不安で一睡もできなくなる」

「職場の人も家族さえも、ちゃんと理解してくれない。しょせんは他人事なのかと孤独を感じる」

こんな苦しみに溢れています。

年齢を重ねると、たとえ健康であっても、つらいことはたくさんありますよね。

それに加えて「がん」は私たちから、家族との時間や、積み重ねたキャリア、将来の夢や希望を奪おうとするのです。

なんと理不尽で、容赦のないことでしょうか。

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