・一般名:S-1
・商品名:ティーエスワン、エスワンメイジ、テノックス、エスワンケーケ-、エスワンエヌビー、エスエーワン、EEエスワン
・投与経路:経口
・血管外漏出による皮膚障害のリスク:なし
・催吐リスク:軽
<特徴>
作用機序:テガフール(フルオロウラシルのプロドラッグ)が、徐々にフルオロウラシルに変換されることで抗腫瘍効果を発揮する。ギメラシルは、ジヒドロピリミジンジヒドロケナーゼ(DPD:フルオロウラシルの分解酵素)活性を強く阻害し、フルオロウラシルの血中濃度を維持する。オテラシルカリウムは、消化管粘膜細胞に高濃度に分布し、消化管粘膜障害を軽減する。
代謝経路:肝代謝、腎排泄
<代表的なレジメン>
胃がん:S-1療法、S-1+CDDP療法
膵がん、非小細胞肺がん:S-1療法
大腸がん:IRIS療法
・使用時の注意点
投与方法:経口(カプセル、OD錠、顆粒)
投与量:80mg/m2(体表面積)/日を、1日2回(朝食後と夕食後)、28日間連日経口投与し、その後14日間休薬する。これを1コースとして服用を繰り返す。投与量の上限は75mg/回、最低服用量は40mg/回。
<腎機能障害>
ギメラシルの腎排泄が低下し、フルオロウラシル濃度が上昇して骨髄抑制などの副作用が強く現れる恐れがある。
<下痢>
継続投与により出血性腸炎や虚血性腸炎などが出現し、水様便・脱水症状が重篤化する可能性があるため、減量や休薬が必要
容量制限毒性(DLT):骨髄抑制
慎重投与:骨髄抑制、腎・肝機能障害など
併用禁忌:ピリミジン拮抗薬(カペシタビン、テガフール・ウラシルなど)
・重大な副作用
骨髄抑制
下痢
肝機能障害
・その他注意が必要な副作用
口内炎
悪心・嘔吐
・投与に関するポイント
空腹時に服用すると抗腫瘍効果が減弱することがあるため、食後に内服する。内服を忘れた場合、2回分を1度に内服しないように。カプセルの服用が困難な場合は、顆粒剤やOD錠に変更可能。
TS-1の内服を継続すると、涙管が狭窄あるいは閉塞し、流涙が誘発されることがある。自己判断で内服を中断したり、副作用症状が重症化したりすることを予防するために、休薬や医療機関に連絡が必要な症状を、できるだけ具体的に理解しておく。
色素沈着(皮膚や爪、指先などが黒くなる)も比較的多く見られる。フルオロウラシルは光感作物質であるため、直射日光を避ける。