
こんにちは。がん専門のアドバイザー、本村ユウジです。
ほうれん草は緑黄色野菜の代表として知られていますが、がん予防との関係についてはどのように考えられているのでしょうか。
この記事では、ほうれん草に含まれる栄養成分とがんとの関係について、最新の研究データを基に解説します。
ほうれん草の基本的な特徴と栄養価
ほうれん草は西アジア原産の野菜で、日本には東洋種と西洋種があり、現在は両者を交配した品種が主流となっています。旬は冬で、寒さに耐えるほど甘みが増し、栄養価も高まる特徴があります。
冬に収穫されるほうれん草は、夏に収穫されたものと比較してビタミンCの含有量が約3倍になることが知られています。これは寒さから身を守るために植物が自ら栄養成分を蓄える仕組みによるものです。
ほうれん草の根元が赤いのは、ベタシアニンという色素成分です。この色素も抗酸化作用を持つ成分のひとつです。
ほうれん草に含まれる主要な栄養成分
ほうれん草100gあたりの主要な栄養成分を表にまとめました。
| 栄養成分 | 含有量(100gあたり) |
|---|---|
| エネルギー | 18kcal |
| たんぱく質 | 2.2g |
| 脂質 | 0.4g |
| 炭水化物 | 3.1g |
| 食物繊維 | 2.8g |
| βカロテン | 4,200μg |
| ビタミンK | 270μg |
| 葉酸 | 210μg |
| ビタミンC | 35mg |
| ビタミンE | 2.3mg |
| 鉄 | 2.0mg |
| カリウム | 690mg |
| カルシウム | 49mg |
| マグネシウム | 69mg |
特に注目すべきは、βカロテン、ビタミンK、葉酸の含有量が野菜の中でも上位に位置することです。
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がん専門アドバイザー 本村ユウジ
がん予防に関連する抗酸化成分
βカロテン(ベータカロテン)の作用
ほうれん草には100gあたり4,200μgのβカロテンが含まれています。βカロテンは体内でビタミンAに変換される栄養素で、強い抗酸化作用を持つことが知られています。
抗酸化作用とは、体内で発生する活性酸素を抑制する働きのことです。活性酸素は正常な代謝の過程で生成されますが、過剰に発生すると細胞を傷つけ、老化やがんの発症リスクを高める可能性があります。
国立がん研究センターの研究では、血中のβカロテン濃度が高いグループでは胃がんのリスクが低い傾向が認められました。この関連は喫煙の有無にかかわらず観察されています。
ただし、サプリメントでの高用量摂取は推奨されていません。食品から適切な量を摂取することが大切です。
ルテインとゼアキサンチンの働き
ほうれん草にはルテインとゼアキサンチンというカロテノイドも含まれています。これらは主に目の健康に関わる成分として知られてきましたが、近年の研究では新たな作用が注目されています。
2025年に発表された米国シカゴ大学の研究では、ゼアキサンチンががん細胞を攻撃するCD8+ T細胞という免疫細胞の働きを強化することが明らかになりました。この研究では、ゼアキサンチンを多く含む食事を与えたマウスでがんの腫瘍成長が抑制されたことが確認されています。
ルテインについても、京都府立医科大学の研究で皮膚がんに対する抑制作用が報告されています。マウスにルテインを塗布したところ、塗布しないマウスと比較して皮膚がんの発生が少なかったという結果が得られました。
ビタミンCとビタミンEの相乗効果
ほうれん草にはビタミンC(35mg/100g)とビタミンE(2.3mg/100g)も含まれています。これらのビタミンも抗酸化作用を持つ成分です。
ビタミンCは水溶性、ビタミンEは脂溶性という特性があり、体内の異なる場所で抗酸化作用を発揮します。両方を含むほうれん草は、多面的な抗酸化効果が期待できる食材と言えます。
野菜・果物とがんリスクに関する最新の知見
野菜や果物の摂取とがん予防の関係については、多くの研究が行われてきました。
2007年の世界がん研究基金と米国がん研究財団の評価報告書では、果物が口腔・咽頭・喉頭・食道・胃・肺のがんに対して、非デンプン野菜が口腔・喉頭・咽頭・食道・胃・大腸などのがんに対して、予防効果がある可能性が高いと判定されました。
また、カロテノイドと口腔・咽頭喉頭がん、肺がん、βカロテン・ビタミンCと食道がんについても予防効果がある可能性が示されています。
一方で、国立がん研究センターが実施した約20万人を対象とした日本人でのプール解析では、野菜や果物の摂取量によって全がんの罹患リスクに有意な差は認められませんでした。
これらの研究結果は、野菜や果物の摂取ががん予防に一定の役割を果たす可能性はあるものの、それだけで大きくリスクを下げることは難しいことを示しています。がん予防には、禁煙、適度な運動、適切な体重維持、バランスの取れた食事など、総合的な生活習慣の改善が重要です。
ほうれん草のその他の健康効果
貧血予防と造血作用
ほうれん草には100gあたり2.0mgの鉄分が含まれており、野菜の中ではトップクラスの含有量です。また、葉酸(210μg/100g)も豊富に含まれています。
葉酸は赤血球の生成に必要な栄養素で、ほうれん草は葉酸が最初に発見された野菜としても知られています。鉄分と葉酸を同時に摂取できることから、貧血予防に適した食材と言えます。
ただし、植物性の鉄分(非ヘム鉄)は吸収率が動物性の鉄分(ヘム鉄)より低いため、ビタミンCや動物性たんぱく質と一緒に摂取することで吸収率を高めることができます。
骨の健康維持
ほうれん草にはビタミンKが豊富に含まれています(270μg/100g)。ビタミンKは血液凝固や骨の形成に関与する重要な栄養素です。
カルシウム(49mg/100g)やマグネシウム(69mg/100g)も含まれており、骨の健康維持に役立ちます。
生活習慣病予防
ほうれん草に含まれるカリウム(690mg/100g)は、体内の余分なナトリウムを排出する働きがあり、血圧を正常に保つ効果が期待できます。
食物繊維(2.8g/100g)も含まれており、腸内環境の改善や血糖値の上昇抑制、コレステロール値の低下に役立ちます。
効果的な調理方法と摂取のポイント
栄養を逃さない調理のコツ
| 調理方法 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 油を使った炒め物 | βカロテンなど脂溶性ビタミンの吸収率が向上 水溶性ビタミンの損失が少ない |
オリーブオイルなど良質な油を使用する |
| 短時間の茹で | アク(シュウ酸)を除去できる | 1分程度で素早く茹でる 長時間茹でるとビタミンCが流出 |
| 動物性たんぱく質との組み合わせ | 鉄分の吸収率が向上 | 卵、肉、魚などと調理する |
| 酸味のある調味料の使用 | ビタミンCやクエン酸で鉄分の吸収促進 | レモン、酢などを活用 |
シュウ酸について
ほうれん草にはシュウ酸という成分が含まれています。シュウ酸は過剰に摂取すると結石のリスクを高める可能性があると言われていますが、通常の食事量であれば心配ありません。
シュウ酸は水に溶けやすい性質があるため、短時間茹でて水にさらすことで大部分を除去できます。ただし、結石の既往がある方は摂取量に注意が必要です。
保存方法と栄養価の変化
ほうれん草は収穫後、時間の経過とともに栄養価が低下します。10℃で保存した場合、ビタミンCは翌日で約90%、5日後で約70%に減少すると報告されています。
保存する際は、濡らした紙で包み、ポリ袋に入れて野菜室で冷蔵しましょう。なるべく新鮮なうちに調理することが栄養価を保つポイントです。
良質なほうれん草の選び方
栄養価の高いほうれん草を選ぶポイントは次のとおりです。
葉先がピンとして株が密で小さく、葉は短めで根元の赤みがきれいなものが新鮮で質の良いほうれん草です。葉の色が濃い緑色で、茎が太くしっかりしているものを選びましょう。
葉の形は品種によって異なります。葉がギザギザなのは東洋種で、やわらかく甘みがあります。丸葉は西洋種で、葉肉が厚く炒め物などに適しています。現在流通しているものの多くは、両者を掛け合わせた交配種です。
1日にどのくらい食べればよいのか
厚生労働省が推進する「健康日本21(第二次)」では、生活習慣病予防のために1日に野菜を350g以上摂取することが推奨されています。
ほうれん草だけで350gを摂取する必要はありませんが、緑黄色野菜として1日に100〜150g程度(約1/2〜1束)を目安に、他の野菜と組み合わせて摂取するとよいでしょう。
多様な野菜を組み合わせることで、さまざまな栄養素をバランスよく摂取できます。
がん予防のための総合的なアプローチ
ほうれん草には抗酸化作用を持つ成分が含まれており、がん予防に一定の役割を果たす可能性があります。しかし、特定の食品だけでがんを予防することは困難です。
がん予防のためには、次のような総合的なアプローチが重要です。
禁煙:喫煙はがんの最大のリスク要因です。
適度な運動:定期的な身体活動を心がけましょう。
適正体重の維持:肥満はさまざまながんのリスクを高めます。
バランスの取れた食事:野菜や果物を含む多様な食品を摂取しましょう。
節度ある飲酒:過度な飲酒は避けましょう。
定期的な検診:早期発見のために検診を受けましょう。
ほうれん草は、このようなバランスの取れた食生活の一部として、積極的に取り入れたい野菜のひとつです。
ほうれん草の栄養成分データ一覧(生・100gあたり)
| 成分名 | 含有量 |
|---|---|
| 水分 | 92.4g |
| たんぱく質 | 2.2g |
| 脂質 | 0.4g |
| 炭水化物 | 3.1g |
| 灰分 | 1.9g |
| ナトリウム | 16mg |
| カリウム | 690mg |
| カルシウム | 49mg |
| マグネシウム | 69mg |
| リン | 47mg |
| 鉄 | 2.0mg |
| 亜鉛 | 0.7mg |
| 銅 | 0.11mg |
| マンガン | 0.32mg |
| βカロテン | 4,200μg |
| ビタミンE | 2.3mg |
| ビタミンK | 270μg |
| ビタミンB1 | 0.11mg |
| ビタミンB2 | 0.20mg |
| ナイアシン | 0.6mg |
| ビタミンB6 | 0.14mg |
| 葉酸 | 210μg |
| パントテン酸 | 0.20mg |
| ビタミンC | 35mg |
| 水溶性食物繊維 | 0.7g |
| 不溶性食物繊維 | 2.1g |
参考文献・出典情報
1. 国立がん研究センター「血中のカロテノイドと胃がん罹患との関係について」
2. 国立がん研究センター「日本人における野菜・果物摂取と全がん罹患リスク」
3. ヨガジャーナルオンライン「最新研究|実は"ガンと戦う栄養素"だった!ほうれん草や卵黄に含まれるゼアキサンチンの驚きの力」2025年10月
4. Oregon State University Linus Pauling Institute「カロテノイド」
6. よしの内科クリニック「目と肌の若さを保つルテインの効果」
7. くにちか内科クリニック「がんを防ぐ - 野菜・果物とがん」
8. MediBalance「ほうれん草に含まれる栄養素とその効果とは?」