がん専門のアドバイザー、本村です。
この記事では前立腺がんに関する治療費用について解説します。
治療費は、前立腺がんの進行度、どのような治療を受けるかで大きく違ってきます。
治療費の内訳として、初診料、指導管理料、注射料、検査料、処置料、画像診断料、投薬料などがあります。
入院費のうち、健康保険適用の対象となるのは、治療費および入院基本料です。入院基本料には、医師の診察料や看護料が含まれます。保険が適用されない費用の代表的なものが差額ベッド代です。個室にすると、負担する額が増えます。
このほか、パジャマや下着、入院生活に必要な日用品ほか、入退院時の交通費、家族が見舞いに訪れる際の交通費など、こまごました出費がかさみます。
支払うことばかりでなく、出費を抑えることも念頭に置き、医療費控除や高額療養費制度など、公的な助成制度も忘れずに手続きすることが重要です。
金銭面の相談はソーシャルワーカーへ
患者さんの中には、高額で治療費をなかなか工面できない、金銭面で頼れる人もいないという場合があります。治療費については、病院にいるソーシャルワーカー(社会福祉士)に相談してみましょう。
がん診療連携拠点病院には、「がん相談支援センター」などの窓口が設置されており、ソーシャルワーカーが常駐しています。その病院にかかっていない人でも相談を受け付けており、電話でも対応しています。
前立腺がんの治療費用の目安
治療費の一般的な目安は以下のとおりです。治療内容や入院日数によって金額は違うので、必ず病院に確認しましょう。
・前立腺全摘除術(入院20日間の入院費用を含む)
約100万円:健康保険適用あり
・放射線療法:外部照射療法(外来で通院しながら2カ月間照射した場合)
約100万円:健康保険適用あり
・小線源
約120万円:健康保険適用あり
・ホルモン療法:外科的去勢術(入院費用は含まず)
約3~6万円:健康保険適用あり
・LH-RHアゴニスト・アンタゴニスト3カ月分
約10万円:健康保険適用あり
LH-RHアゴニスト・アンタゴニストは飲み続けることが原則なので、毎月払い続けると大きな経済的負担となる。一方で、外科的去勢術ならば1回の手術ですみ、その後継続した大きな出費はなく、治療費は比較的安く抑えられる。
・化学療法(3週間1コースの場合)
約10万円:健康保険適用あり
・HIFU(ハイフ)
約80万円:健康保険適用はないので、全額自己負担
医療費に関する助成制度
・医療費控除
1月1日から12月31日までの間に支払った医療費(保険による補填金や高額療養費制度による給付金を差し引いた金額)が10万円(所得が200万円未満なら所得の5%)を超える場合、確定申告をすると、超えた分が所得から差し引かれます。
それにより、税金が少なくなったり、源泉徴収された税金の一部が戻ってくる制度です。
・高額療養費制度
長期入院や治療が長引く場合などで、1カ月の医療費の自己負担額が高額になったとき、一定の金額(自己負担限度額)を超える部分が払い戻される制度です。
自己負担額は、年齢や収入によって異なり、制度を受けるには、自分の入っている健康保険に申請する必要があります。また、事前に申請すれば、病院窓口での支払いを、自己負担限度額までにとどめることもできる「限度額適用認定」という制度があります。
以上、前立腺がんの治療費についての解説でした。