「がん対策基本法」という法律が施行されて、2015年で8年目を迎えます。がんによる死亡を減らし、がん患者が十分な医療を受けられるように、日々対策が進められています。
その1つとして、「地域医療連携手帳(がん地域連携クリティカルパス)」があります。
これは、がんが発症した時期から、リハビリなどをする回復期まで、一連の流れでスムーズな治療を受けるための診療計画表です。
病状や障害の内容、日常生活評価などを主治医やリハビリスタッフ、看護師などが書き込み、治療が終わったあとに転医先に渡します。
定期検診などで近所のかかりつけ医や医療機関などでみてもらうとき、がん地域連携クリティカルパスを提示すれば、患者さんの今までの状況がわかるという仕組みです。
このような、がんの治療をする主要な病院と地域のかかりつけ医療施設による「がんの診療連携」は、5大がん(肺がん、胃がん、肝臓がん、大腸がん、乳がん)に対して整備することが、法律で義務づけられています。
そのシステムを、前立腺がんにも利用しようという試みが進められています(2014年時点で東京都のみ)。前立腺がんは、血液検査でPSA値をはかれば再発が早期に発見できること、診療の経過が長期にわたること、治療法が多いことなどから、地域の医療機関で診療情報が共有できることは非常に大切です。
交付には、自己負担金が300~900円程度かかる
前立腺がんも対象にした東京都のクリティカルパスは、「東京都医療連携手帳」といいます。
交付される前立腺がん患者は、前立腺全摘除術を受けた人と、ホルモン療法を受けている最中で、経過が落ち着いている人です。
連携している病院は、東京都内のがん診療連携拠点病院、東京都認定がん診療病院、東京都がん診療連携協力病院、国立がん研究センター中央病院および、地域のかかりつけ医療機関(内科、泌尿器科など)です。
前立腺がんの治療を受けた病院で、「がん地域連携クリティカルパスの連携をしていて、自宅から通いやすい病院はどこですか?」と、聞いてみるとよいでしょう。
病院から、がん地域連携クリティカルパスの交付には健康保険が適用され、自己負担額は300~900円程度です。
東京都医療連携手帳(がん地域連携クリティカルパス)
定期検診のたびに、かかりつけ医に提示。PSA値を医師に書いてもらい、ほてり、排尿困難など、副作用は自分で書き込みます。
3カ月ごとにかかりつけ医で検診を受け、1年たったら前立腺がんの治療を行った専門病院で検診を受けるというスタンスを毎年続けます。途中、かかりつけ医が異常を発見した場合、すぐに専門病院への受診を促すこともできます。