子宮体がんの治療では、9割ほどに切除手術が適用されています手術の方法(術式)には何種類かあり、進行期によって適用が分かれます。
細胞診や組織診で子宮内膜異型増殖症やがんと診断されれば、病変が子宮内膜に限局していても、妊娠を希望しなければ、原則、子宮全体を切除します。これを「単純子宮全摘出術」といい、リンパ節郭清(摘出)は実施しません。
類内膜腺がんは、がん細胞の形態が子宮の内膜細胞に似ています。このがんは、子宮体がんの8割を占め、2割にあたるほかの漿液性腺がん、明細胞腺がん、粘液性腺がんなどに比べると、浸潤や転移する確率の低いがんです。
とくに分化度が、正常細胞に近いG1では、がんとしての悪性の度合いも低くなります。
したがって、臨床進行期がステージ1A期・G1の類内膜腺がんでは、近隣のリンパ節へ、がん細胞が広がっていることも稀になります。
この手術法の利点は手術後の合併症が少ないこと、輸血が必要となるような出血が少ないということが挙げられます。腹腔鏡下手術も可能です。
単純子宮全摘出術を含めてすべての子宮摘出手術では、両側付属器(左右の卵巣と卵管)も切除します。これは統計上、全子宮体がんの15%もが、卵巣に転移するからです。
ステージ1A期・G1の類内膜腺がんでは、転移の確率はもっと低くなりますが、万全を期しての処置として行われます。また子宮体がんとは別に、卵巣がんができていることもあるため切除が原則とされています。
両側付属器の切除はこのように、子宮体がん手術では同時に実施されます。ただし、妊娠を希望する人には、がんの有無を画像検査などで十分に検討したのち、転移している確率が0に近いときは、これらを温存(妊孕性温存)することも可能です。
手術時間は1~2二時間くらいで、入院日数は7~10日くらいです。
なお、手術終了後に切除したがんの細胞・組織の診断を行います。これは臨床病期を最終決定する準拠になります。ときには第三次検査の結果と異なるときがありますが、手術後の細胞・組織診が優先します。
以上、子宮体がんの手術についての解説でした。