人間ドックや地域の集団検診を受ける人も増え、小さな首の腫れが見つかり、軽症の状態で甲状腺の病気が発見されるケースが増えています。
しかし、甲状腺疾患は、症状がわかりにくく、見のがされてしまう場合も多い病気です。
どことなく疲れやすい、もの忘れをする、うつぎみ、といった症状で、心療内科や精神科を受診するケースや、一般の内科を受診し、糖尿病や心臓病、肝臓病、婦人病などと間違われ、原因が甲状腺にあることに長い間気づかないまま、間違った治療を受けてしまうようなケースなどが多い病気なのです。
甲状腺の病気が疑われ、病院に行く場合は、経験のある甲状腺専門の医師を受診するようにしましょう。人間ドックや集団検診で甲状腺の異常が発見された場合は、専門医への紹介状を書いてもらえます。
また、甲状腺疾患だけを対象にするクリニックや病院もあります。甲状腺専門の医療機関ですので、ベテランの専門医の診断・治療が受けられます。
甲状腺の専門医は、全国的に見てもけっして多くなく、近くに適当な医師がいない場合は、インターネットの病院情報なども活用し、通いやすいところを探しましょう。信頼できる「かかりつけ医」がいる人は、相談して専門医を紹介してもらうのも手段の1つです。
甲状腺専門医や専門医がいる医療施設をみつけるには
甲状腺の病気が疑われ、医療機関に行く場合には、経験豊富な甲状腺専門医のいる病院を受診することが大切です。しかし、通院が大変なほど遠く離れた病院では通いきれません。通院可能な距離で、信頼のおける医師、医療機関を探したい、そんなときには、日本甲状腺学会のホームページを活用しましょう。
日本甲状腺学会のホームページには、会員や医師、医療関係者へのさまざまな情報提供だけでなく、一般の人のためのぺージも用意されていて、そこには、全国の認定専門医施設と認定専門医の名簿が、都道府県ごとに閲覧できるようになっています。
甲状腺の病気への対処は専門性が必要
甲状腺の病気は、肉体面だけでなく精神面にも影響があらわれてくることが多く、診断・治療にあたる医師には、専門的な知識や経験が求められます。
また治療には、内科と外科の両面から考えていく必要があります。診察の場合でも、甲状腺疾患の患者さんを専門医がみると、診察室に入ってきたときの顔色や、歩き方、声の調子などで、かなりの部分が判断できます。
また、経験を積んだ医師は、首の腫れをさわる(触診)だけでも、さらに多くの情報を得ることができます。検査の数値結果を読む場合も、専門家としての技量や熟練度が必要となります。
甲状腺の専門医は、さまざまな臨床経験を重ねることで、確かな診断や治療ができるようになります。
内分泌系の病気は慢性疾患ですので、ときには10年、20年と長い経緯をたどる場合が少なくありません。1人の医師が長期間にわたって経過を観察し、患者さんと話し合い、一緒に考えながら治療にあたることが大切です。患者さんも信頼できる医師のもとで、安心して気長に治療を受けるのが最良の方法だとえいます。
以上、甲状腺がんの治療についての解説でした。