膵臓がんは早期発見が難しく、進行が早いがんです。
また再発率も高く、長期成績も決してよくありません。膵臓がんを発見したときはすでに肝転移や肺転移などの他臓器転移やリンパ節転移、周囲への浸潤があることも少なくありません。
しかし、現在、膵臓がんを根治(目に見える腫瘍をなくすこと)できる治療は手術治療がただ1つであるため、すべて取りきれるのであれば、原則として手術が最優先となります。
いっぽう、ほかの臓器へ転移したり、肝動脈や上腸間膜動脈などの動脈浸潤や大動脈周囲リンパ節転移などがあれば、手術は適応となりません。
手術方法はがんの存在部位によって異なりますが、切除範囲は腫瘍を含む膵臓と所属リンパ節を含めて、広範囲に切除します。
リンパ節郭清(かくせい)とは
膵臓がんは約20%と高い確率でリンパ節転移が起こります。そのため、手術では腫瘍の切除だけでなく、周囲のリンパ節も同時に切除することが一般的です。
人の体内には、動脈や静脈などの血管と同様に、リンパ管が全身に張り巡らされています。リンパ管の中にはリンパ液が流れます。リンパ液は、血管の外に染み出した血液中の血漿が再吸収されたもので、体内に侵入したウイルスや変性した細胞などを処理するリンパ球を含みます。
このリンパ管の所々には球状のリンパ節があります。がんの転移の1つとしてリンパ管を経由してリンパ節に転移する経路があります。リンパ管に侵入したがん細胞がリンパ節に定着して増殖するのがリンパ節転移となります。
臓器別に転移しやすいリンパ節を所属リンパ節と呼んでいますが、病巣切除と同時に所属リンパ節を切除するリンパ節郭清を行います。
以上、膵臓がんの手術とリンパ節の郭清についての解説でした。