17.膵臓がん

【2026年更新】膵臓がんの手術方式と術式を詳しく解説。リンパ節郭清の範囲と影響も含めて

膵臓がんの切除手術とリンパ節の切除

こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。

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膵臓がんの手術治療の位置づけと重要性

膵臓がんは早期発見が難しく、進行が早いという特徴を持つがんです。発見された時点で、すでに肝転移や肺転移などの他臓器転移、リンパ節転移、周囲組織への浸潤が認められるケースも少なくありません。

また、手術後の再発率も高く、長期成績も決して良好とはいえない状況が続いています。しかし現時点では、膵臓がんを根治できる可能性がある唯一の治療法が手術治療です。根治とは、画像検査で確認できる腫瘍をすべて切除することを意味します。

このため、医学的に完全切除が可能と判断された場合は、原則として手術が最優先の治療選択肢となります。ただし、すべての患者さんに手術が適応されるわけではありません。

膵臓がん手術の適応基準と不適応となるケース

膵臓がんの手術適応を判断する際には、がんの進行度や広がりが重要な判断材料となります。CT検査やMRI検査、超音波内視鏡検査などの画像診断を総合的に評価して、手術可能性を慎重に検討します。

手術が適応とならない主なケース

以下のような状況では、手術による根治が困難と判断されます。

第一に、肝臓や肺などの遠隔臓器への転移が確認された場合です。膵臓以外の臓器にがんが転移している状態では、膵臓を切除しても根治は望めません。

第二に、重要な血管への浸潤が認められる場合です。具体的には、肝動脈や上腸間膜動脈などの主要動脈にがんが広がっている場合、これらの血管を切除すると生命維持に重大な影響が出るため、手術適応外となります。

第三に、大動脈周囲リンパ節への転移が確認された場合です。大動脈周囲のリンパ節転移は、がんが広範囲に広がっていることを示す指標となり、手術による完全切除が困難と判断されます。

これらの条件に該当する場合は、化学療法や放射線治療など、手術以外の治療法が選択されることになります。

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膵臓がんの主な手術術式の種類

膵臓がんの手術方法は、腫瘍が膵臓のどの部位に存在するかによって異なります。膵臓は解剖学的に頭部、体部、尾部の3つの領域に区分されており、がんの発生部位に応じて適切な術式が選択されます。

膵頭十二指腸切除術

膵頭部にがんが発生した場合に行われる術式です。膵臓の頭部だけでなく、十二指腸、胆管の一部、胃の出口部分(幽門側)、胆嚢なども同時に切除します。膵臓がん手術の中でも最も複雑で高度な技術を要する術式とされています。

切除後は、残った膵臓と小腸、胆管と小腸、胃と小腸をそれぞれつなぎ合わせる再建手術が必要になります。手術時間は通常6時間から10時間程度かかります。

膵体尾部切除術

膵臓の体部や尾部にがんが発生した場合に選択される術式です。膵臓の体部と尾部を切除し、多くの場合、脾臓も同時に摘出します。膵頭十二指腸切除術と比較すると、消化管の再建が不要なため、手術の負担は比較的軽いとされています。

手術時間は3時間から6時間程度が一般的です。ただし、脾臓を摘出することで、感染症に対する抵抗力がやや低下する可能性があります。

膵全摘術

膵臓全体にがんが広がっている場合や、膵臓の複数箇所にがんが認められる場合に行われる術式です。膵臓をすべて切除するため、術後はインスリンや消化酵素を生涯にわたって補充する必要があります。

膵全摘術は患者さんの身体への負担が大きく、術後の生活管理も複雑になるため、慎重に適応を判断します。

術式名 切除範囲 手術時間の目安 特徴
膵頭十二指腸切除術 膵頭部、十二指腸、胆管一部、胃出口部、胆嚢 6-10時間 最も複雑な術式、消化管再建が必要
膵体尾部切除術 膵体部・尾部、脾臓 3-6時間 消化管再建不要、負担は比較的軽い
膵全摘術 膵臓全体、十二指腸、脾臓など 8-12時間 術後の管理が複雑、インスリン補充必須

リンパ節郭清とは何か

膵臓がん手術では、腫瘍の切除だけでなく、周囲のリンパ節も同時に切除することが標準的な治療法となっています。このリンパ節を切除する処置を「リンパ節郭清(かくせい)」と呼びます。

リンパ節とリンパ系の仕組み

人体には、動脈や静脈などの血管と同様に、リンパ管が全身に張り巡らされています。リンパ管の中を流れるリンパ液は、血管から染み出した血漿が再吸収されたもので、体内に侵入したウイルスや変性した細胞を処理するリンパ球を含んでいます。

リンパ管の途中には、球状のリンパ節が配置されており、免疫機能において重要な役割を果たしています。がん細胞がリンパ管に侵入すると、リンパ液の流れに乗ってリンパ節に到達し、そこで定着して増殖することがあります。これがリンパ節転移です。

膵臓がんのリンパ節転移の頻度

膵臓がんでは、約20%の患者さんにリンパ節転移が認められます。この比率は決して低くないため、画像検査でリンパ節転移が確認されていない場合でも、予防的にリンパ節郭清を実施することが一般的です。

リンパ節郭清には、顕微鏡レベルでしか確認できない微小転移を取り除く効果も期待されています。

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膵臓がん手術におけるリンパ節郭清の範囲

膵臓がん手術では、腫瘍を含む膵臓組織とともに、所属リンパ節を広範囲に切除します。所属リンパ節とは、特定の臓器から最初にリンパ液が流れ込むリンパ節群のことを指します。

郭清されるリンパ節の具体的な範囲

膵頭部がんの場合、膵頭部周囲のリンパ節、総肝動脈周囲のリンパ節、腹腔動脈周囲のリンパ節、上腸間膜動脈周囲のリンパ節などが郭清の対象となります。

膵体尾部がんの場合は、膵体尾部周囲のリンパ節、脾動脈周囲のリンパ節、脾門部のリンパ節などが切除されます。

リンパ節はそれぞれが脂肪組織の中に埋もれているため、手術ではリンパ節を含む脂肪組織をひとかたまりとして切除します。切除されたリンパ節は病理検査で詳しく調べられ、がん転移の有無や転移の程度が確認されます。

リンパ節郭清の目的

リンパ節郭清には2つの重要な目的があります。

1つ目は診断的な目的です。切除したリンパ節を顕微鏡で詳しく調べることで、がん転移の有無を正確に判断できます。この情報は、がんの進行度(ステージ)を決定し、術後の追加治療の必要性を判断する際に不可欠です。

2つ目は治療的な目的です。リンパ節に転移が存在した場合、郭清によってがん細胞を取り除くことができます。これにより再発のリスクを低減する効果が期待されます。

リンパ節郭清の範囲に関する考え方の変化

かつては、できるだけ広範囲のリンパ節を郭清する「拡大郭清」が推奨された時期もありました。しかし、複数の臨床研究により、極端に広い範囲の郭清は、生存率の改善につながらない一方で、手術時間の延長や合併症のリスク増加を招くことが明らかになってきました。

現在では、標準的な郭清範囲(D2郭清)が推奨されています。これは腫瘍に近いリンパ節群を確実に切除しつつ、必要以上に広範囲な郭清は避けるという考え方に基づいています。

ただし、術中の所見によって、予定よりも郭清範囲を拡大したり、逆に縮小したりすることもあります。最終的な郭清範囲は、執刀医が個々の患者さんの状況を総合的に判断して決定します。

リンパ節郭清が術後に与える影響

リンパ節郭清を行うことで、いくつかの影響が生じる可能性があります。

手術時間と出血量の増加

リンパ節郭清を伴う手術は、腫瘍のみを切除する場合と比較して、手術時間が長くなる傾向があります。また、郭清範囲が広いほど、術中の出血量も増加する可能性があります。

術後合併症のリスク

膵臓がん手術では、膵液漏出、腹腔内感染、胃内容排出遅延などの合併症が起こることがあります。リンパ節郭清を行うことで、これらの合併症のリスクがやや高まる可能性が指摘されています。

特に膵液漏出は、膵臓手術特有の合併症で、切除した膵臓の断端から膵液が漏れ出す状態です。軽度であれば保存的治療で改善しますが、重症化すると追加の処置が必要になることもあります。

消化吸収機能への影響

リンパ節郭清に伴って周囲の神経や血管が影響を受けると、術後の消化機能に変化が生じることがあります。特に膵頭十二指腸切除術後は、食事の消化吸収に時間がかかったり、下痢が続いたりすることがあります。

多くの場合、時間の経過とともに徐々に改善していきますが、食事内容の調整や消化酵素剤の服用が必要になることもあります。

回復までの期間

リンパ節郭清を含む膵臓がん手術後は、通常2週間から3週間程度の入院期間が必要です。退院後も完全に体力が回復するまでには、数か月かかることが一般的です。

影響の種類 具体的な内容 対応方法
手術侵襲の増加 手術時間の延長、出血量の増加 術前の全身状態管理、適切な輸血準備
術後合併症 膵液漏出、腹腔内感染、胃内容排出遅延 早期発見と適切な治療、ドレーン管理
消化機能の変化 消化不良、下痢、食欲低下 食事内容の調整、消化酵素剤の服用
回復期間 入院2-3週間、完全回復まで数か月 段階的な活動再開、栄養管理

リンパ節郭清の結果が示すこと

手術で切除したリンパ節は、病理検査によって詳しく調べられます。この検査結果は、今後の治療方針を決定する上で重要な情報となります。

リンパ節転移が認められなかった場合

リンパ節にがん転移が見つからなかった場合、がんの進行度は比較的早期であると判断されます。ただし、膵臓がんは再発率が高いため、リンパ節転移がなくても術後補助化学療法が推奨されることが一般的です。

リンパ節転移が認められた場合

リンパ節にがん転移が確認された場合、がんの進行度はより進んでいると判断されます。転移したリンパ節の個数や範囲によって、さらに詳しい分類が行われます。

リンパ節転移が陽性の場合、術後補助化学療法を必ず実施することが標準的な治療方針となります。化学療法により、残存している可能性のある微小ながん細胞を攻撃し、再発のリスクを減らすことを目指します。

膵臓がん手術における最近の技術的進歩

近年、膵臓がん手術の技術は着実に進歩しています。

腹腔鏡手術・ロボット支援手術の導入

一部の施設では、腹腔鏡手術やロボット支援手術が導入されています。これらの低侵襲手術は、従来の開腹手術と比較して、傷が小さく、術後の痛みが軽減され、回復が早いという利点があります。

ただし、膵臓がん手術は複雑で高度な技術を要するため、腹腔鏡手術やロボット支援手術の適応は、がんの部位や進行度、施設の経験などを慎重に考慮して決定されます。

術前化学療法の実施

従来は手術後に化学療法を行うことが標準でしたが、最近では手術前に化学療法を実施する「術前化学療法」が検討されています。術前化学療法により、がんを縮小させてから手術を行うことで、より確実な切除が可能になる場合があります。

また、術前化学療法の効果を見ることで、がんの性質をある程度予測できるという利点もあります。

手術を受ける患者さんが知っておくべきこと

膵臓がんの手術は、患者さんの身体に大きな負担をかける治療です。手術を受ける前に、以下のような点を理解しておくことが大切です。

セカンドオピニオンの検討

膵臓がん手術は高度に専門的な治療であり、施設や医師によって経験や技術に差があります。可能であれば、複数の医療機関で意見を聞き、最も適切と思われる施設で治療を受けることを検討してください。

手術の目的とリスクの理解

手術によって得られる可能性のある利益と、起こりうる合併症やリスクについて、担当医からしっかりと説明を受けることが重要です。不明な点や不安な点があれば、遠慮せずに質問してください。

術後の生活の変化

膵臓がん手術後は、消化機能の変化や糖尿病の管理など、生活面でのさまざまな調整が必要になることがあります。術前から、術後の生活について医療スタッフと相談し、準備を進めておくことが望ましいです。

家族のサポート体制

手術後の回復期間には、家族のサポートが不可欠です。入院中の面会や、退院後の生活支援について、事前に家族と話し合っておくことをお勧めします。

参考文献・出典情報

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本村ユウジ
がん治療専門のアドバイザー・本村です。

私の仕事は【がん患者さんに正しい選択を伝えること】です。

「本村さん、おかげで元気になりました」

そんな報告が届くのが嬉しくて、患者さんをサポートしています。

→200通以上の感謝の声(これまでいただいた実際のメールを掲載しています)

しかし毎日届く相談メールは、

「医師に提案された抗がん剤が怖くて、手の震えが止まらない」

「腰がすこし痛むだけで、再発か?転移か?と不安で一睡もできなくなる」

「職場の人も家族さえも、ちゃんと理解してくれない。しょせんは他人事なのかと孤独を感じる」

こんな苦しみに溢れています。

年齢を重ねると、たとえ健康であっても、つらいことはたくさんありますよね。

それに加えて「がん」は私たちから、家族との時間や、積み重ねたキャリア、将来の夢や希望を奪おうとするのです。

なんと理不尽で、容赦のないことでしょうか。

しかしあなたは、がんに勝たねばなりません。

共存(引き分け)を望んでも、相手はそれに応じてくれないからです。

幸せな日々、夢、希望、大切な人を守るには勝つしかないのです。

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経験17年以上。プロのアドバイザーによる徹底解説。

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