最初の治療(初回治療)で使った薬のうち、副作用が比較的軽いものを、期間を決めずに効果が期待できる限り、ずっと投与しつづけることを、「維持(メンテナンス)療法」といいます。
例えば肺がんでは、維持療法によって生存期間や無増悪生存期間(がんが進行しない状態)が延長したとの報告が発表されています。
具体的には、非小細胞肺がんに対する国際的臨床試験(PARAMOUNT試験)の報告によると、シスプラチン+ペメトレキセド療法を4コース実施後、維持療法としてペメトレキセド投与群とプラセポ(偽薬)投与群に分けて比較したところ、全生存期間はペメトレキセド群のほうが長くなりました。
一般的な化学療法では、投薬期間が4コースなどと決まっており、抗がん剤投与後には、多くの場合、一定の休薬期間が設けられています。これは、抗がん剤が正常細胞にもダメージを与えるため、その回復を待つことが目的です。
しかし最近は、副作用対策が進歩したことなどで、副作用の管理がしやすくなり、維持療法がさかんに行われるようになってきたのです。
もちろん抗がん剤を使うことで副作用のリスクは高くなりますので、生存期間が延びてもその間の体調は悪化するというリスクはあります。