胃がんによる死亡者数は以前より減っているものの、患者数はむしろ増えています。
つまり、それだけ早期発見が進んで、治療できる人が増えている証拠ですが、塩分の多い食生活が関係していまだに日本人に胃がんが多いことに変わりはありません。
胃がんは、ほかのがんと同じように早期のうちは症状が出ない病気です。がんが大きくなって胃の出入り口をふさいでしまったために、胃の痛みや胸焼けを訴えたり、「なんだか、この頃、食事が喉を通らなくて」というケースが多いですが、かなり進行していても自覚症状が全然ないこともあります。
「胃の痛みも圧迫感も感じないのだから、がんなどありえないだろう」「たとえがんがあったとしても早期だろう」と、検査もせずに判断することは禁物です。しかも、大腸がんなどと比べ、見つけにくいのがこのがんの特徴です。胃がんははじめ、胃袋の一番内側の粘膜の平べったいところにできます。
その段階で発見されれば、恐れることは何もないのですが扁平な場所であるうえに、ほとんどが粘膜の表面と同じように平坦か、ほんの少しだけへこんだりしていて見た目の変化に乏しいため、それだけ見つけにくいのです。
ベテランの医師でも胃がんは見つけにくく、進行が早いものもあるので怖いといえます。胃がんの小さいものは、巧みに粘膜に潜んでおり、いかに小さいうちに発見するかが重要なポイントだといえます。
胃がんの原因と症状
胃がんの患者数はこのところ減少してきていますが、いまだに日本人に多いことは確かです。
また、女性より男性に多いのですが、それでも女性のがん死の高位を占めていますので、注意すべきがんの1つです。年齢的には50~60代に発症していますが、高齢での発症も増えてきました。
原因ははっきりしていませんが、食塩の多い食品のとりすぎ、喫煙などが発症の危険性を高めていることがわかって、胃がんの発症に関係しているといわれています。逆に、ビタミンやカロテンを多く含む野菜や果物を十分食べている人には胃がんが少ないこともわかっています。
胃がんの初期には、ほとんど症状は出ません。がんが進行すると、みぞおちのあたりの痛み、おなかの張り、吐きけ、食欲不振、胸やけなどが起こりますが、これらも消化器の病気でよく起こる症状で、胃がん特有の症状とはいえません。胃がんは胃壁のいちばん内側にある粘膜上皮から発生し、しだいに粘膜の奥のほうに浸潤していきます。
胃がんが粘膜とその下の粘膜下層にとどまっているものが早期がん、それより奥に浸潤すると進行がんと分類されます。早期の胃がんであれば、手術によりほぼ完治します。ただ、スキルス胃がんと呼ばれている進行の早い胃がんもあり、その場合は治癒はむずかしいといわれています。
胃がんになるリスクが高い人
年齢的には、40歳からとよくいわれますが、20代でも30代でも胃がんになる方はいるので、20歳になったら、年に1度内視鏡検査を受けましょう。家族に胃がんが多い人や慢性的に胃炎である人など、次のチェックリストで3項目以上当てはまる人はがんになる危険が高いといわれます。
<胃がんになるリスクの高い人>
・40歳以上
・男性
・家族に胃がんになった人がいる
・タバコを吸う
・塩分の多い和食が好き(漬物など)
・魚や肉の焦げをたくさん食べている
・食品添加物の入ったものをたくさん食べている
・慢性的な胃炎の人(ピロリ菌がいる)
・ストレスが多い
以上、胃がんについての解説でした。