【レジメン】
nab-PTX(パクリタキセル:タキソール)=260mg/m2:点滴静注(30分)
【前投薬】
デキサメタゾン6.6mgIV(Day1)(省略可)
基本事項
【適応】
転移・再発症例
・StageIV、または再発症例
・一次治療およびタキサン系薬剤未使用患者に対する二次化学療法として効果が期待できる
【奏効率】
<全体>
・奏効率
24%
・無増悪期間
23週
・全生存期間
65週
<一次治療>
・奏効率
34%
・全生存期間
71週
【副作用】
・白血球減少:All Grade=71.7%、Grade3以上=6.6%
・好中球減少:All Grade=80.1%、Grade3以上=34.1%
・貧血:All Grade=46.5%、Grade3以上=1.3%
・血小板減少:All Grade=11.9%、Grade3以上=0.4%
・悪心:All Grade=29.3%、Grade3以上=2.6%
・嘔吐:All Grade=16.2%、Grade3以上=2.2%
・下痢:All Grade=24.9%、Grade3以上=0.4%
・口内炎/咽頭炎:All Grade=14.8%、Grade3以上=1.7%
・発熱(好中球数不明):All Grade=15.3%、Grade3以上=3.5%
・関節痛:All Grade=31.9%、Grade3以上=6.1%
・筋肉痛:All Grade=26.6%、Grade3以上=7.0%
・その他の四肢痛:All Grade=11.4%、Grade3以上=0.9%
・疲労:All Grade=38.9%、Grade3以上=6.1%
・神経障害:All Grade=71.2%、Grade3以上=10.5%
・脱毛:All Grade=90.4%
レジメンチェックポイント
①前投薬:省略可能
②投与量の確認
<減量・再開の目安>
・好中球数:減量基準=<500/mm3、再開基準=≧1,500/mm3
・発熱性好中球減少症:減量基準=発現、再開基準=回復
・血小板数:減量基準=<50,000/mm3、再開基準=≧100,000/mm3
・肝機能値(AST、ALT):減量基準=医師が同一用量で投与継続困難と判断、再開基準=≦ULN×2.5倍
・末梢神経障害:減量基準=≧Grade3、再開基準=≦Grade1
・皮膚障害:減量基準=≧Grade2、再開基準=≦Grade1
・粘膜炎/下痢:減量基準=≧Grade3、再開基準=≦Grade1
・その他非血液毒性(脱毛を除く):減量基準=≧Grade3、再開基準=≦Grade2
<減量の目安>
・通常投与量:投与量260mg/m2
・1段階減量:投与量220mg/m2
・2段階減量:投与量180mg/m2
<肝機能低下症例に対する減量の目安>
・AST/ALT 10×ULN未満かつT-Bil 1.26~2.0×ULN:投与量200mg/m2
・AST/ALT 10×ULN未満かつT-Bil 2.01~5.0×ULN:投与量130mg/m2
・AST/ALT 10×ULN以上またはT-Bil 5.0×ULNを超える:中止
③点滴速度の確認
1バイアルあたり20mLの生理食塩液に溶解し、30分間で点滴静注
④併用薬の確認
ビタミンA、アゾール系抗真菌薬、マクロライド系抗菌薬、ニフェジピン、シクロスポリン、ベラパミル、ミダゾラム(PTXの代謝酵素がCYP2C8、CYP3A4であるためPTXの血中濃度が上昇)
副作用対策と服薬指導のポイント
①末梢神経障害
手足のしびれ、刺痛、焼けるような痛みが出現した場合はすぐに申し出ることを伝える。ほかのPTX製剤と比べ、末梢神経障害が出やすいことが知られている
②脱毛
高頻度で発現し、治療後、1~3週間で抜け始め、全治療終了後は回復する
③本剤はヒト血清アルブミンを用いた特定生物由来製品であり、そのリスクなどを十分に説明する必要がある(特定生物由来製品のため、医薬品名(販売名)、その製造番号または製造記号(ロット番号)、使用年月日、使用した患者の氏名、住所などを記録し、少なくとも20年間保存する必要がある)
④脳神経麻痺
顔面神経麻痺、声帯麻痺などの脳神経麻痺が報告されており、異常があればすぐに申し出るよう伝える