がん専門のアドバイザー、本村です。
私はたくさんの患者さんをサポートするなかで「癌に関するお参りをしたい」「手術の成功祈願をしたい」「家族にお守りをプレゼントしたい」というメールをいただくことがあります。
そんな経緯で色々な寺社仏閣を調べたり、足を運んだりしています。
がんの治癒を祈願するがん封じの祈祷や、がんや病気平癒のお守りを購入できる寺社仏閣は全国にありますが、今回は埼玉県の神社についてまとめてみたいと思います。
おすすめしたい3つの神社があります。
埼玉県秩父市 秩父今宮神社の癌封じ
その歴史を綴った「秩父今宮神社1800年史」が刊行されるなど、秩父今宮神社はとても歴史のある神社で、西暦100年にこの地に水神を祀ったことが由来とされています。
700年頃に、起源的な社殿である八大宮が建立されたといわれています。”今宮神社”となったのは(今宮神社として創建されたのは)1535年です。
秩父今宮神社の主祭神(祀られている神)は、伊邪那岐(いざなぎ)、伊邪那美(いざなみ)です。
いざなぎ、いざなみは古事記などの日本神話のなかで、日本の国土をつくり、多くの神々を生み出した、とされている「神の神」のような存在といえます。
日本には古くから神様の格を評価する「神階、神位」の制度があり、この制度のうえでは「一品」という最上級の神と位置づけられています(神位の制度は明治時代に廃止)。
そのほか、今宮神社には宮中八神、須佐之男命、八大龍王神、天満天神など様々な神が祀られています。
総合して分かりやすくいうと、今宮神社は社格(神社の格)としては「村社」で、村や町から奉幣を受ける神社ですが、小規模の地方神社でありながら古来の主な祀られている神社、といえます。
※社格とは?
明治維新以降に神社を等級化した制度で、第二次世界大戦後に廃止されましたが今日でも「旧社格」などの名称で神社を表す目安とされています
格として一番上なのが「官社」で国から奉幣を受ける神社になります。官社の中でも最も上位なのが「官幣大社」という等級で島根の出雲大社、東京の明治神宮などがあります。なお、三重の伊勢神宮は「すべての神社の上にある」とされており、社格はありません。
村社は郷社(ごうしゃ。府県、市から奉幣を受ける神社)の下、というランクです。
病気やがんとの関係
神の根源たる神(いざなぎ、いざなみ)を祀っている神社で、その他色んな祭神がいるので、何のお願いをしてもよいと思いますが・・・
病気と関連するのは、秩父今宮神社で祀られている神の一柱である「役尊神」(えんのそんしん)」の存在があります。
修験道の開祖として知られ、悪病や災厄を降伏させることのできる神とされています。
秩父今宮神社の癌封じ祈願
病気平癒、無病息災、身体健康はもちろん「癌封じ」の祈願も受け付けています。
祈願可能な時間は9時~16時30分。電話で予約が必要のようです(0494-22-3386)。祈願の料金(初穂料)は5,000円から。
秩父今宮神社の癌封じお守り
癌封じのお守りがあります。
社務所で御守りは購入できますがの受付時間は16:30までです。
なお、龍にゆかりのある神社ですので白龍のお守りが有名です。
白龍は龍神の中でも、最も速く、最も縁起が良いといわれています。こちらは商売繁盛や財産、出世のお守りとしてプレゼントすると喜ばれるでしょう。
名所 龍神池と龍神木
神社の鳥居の右側に龍神が住んでいるといわれる龍神池があります。この池は秩父最古の泉といわれています。
龍神木には龍神が棲んでいると伝えられています。
【所在地】
埼玉県秩父市中町16-10
無料の駐車場あり。神社の裏手に入り口があり、約10台駐車が可能。
埼玉県行田市 行田八幡神社の癌封じ
行田八幡(ぎょうだはちまん)神社は、埼玉では最も有名な癌封じの神社です。私も訪問したことがあります。
東京から車で行くと1時間30分くらいで、高速を降りてからやや遠く(14kmくらい)、住宅街にある神社です。
小規模な神社ですが、丁寧な祈祷と立派な箱入りの癌封じのお守りが授与されていることで関東広くから人が訪れているようです。
「八幡」神社、と「八幡」の名がつく神社は全国に7,000社以上ありますが、これは15代天皇「応神天皇」を祀る神社になります。行田八幡神社も祭神は応神天皇=誉田別尊(ほむだわけのみこと)です。
応神天皇は古来より弓矢の神とされており、源氏(源頼義、義家)が奥州討伐のための拠点として行田に滞在した折、戦勝を祈願して創立されたといわれています。
神社の格=社格としては秩父今宮神社と同じく「村社」です。
ちなみに八幡と名がつく神社の総本社は大分県にある宇佐神宮 (宇佐八幡宮)で、宇佐神宮は官幣大社です。
がんや病気との関連
応神天皇のほか、神功皇后(応神天応の母)など他にも祭神が祀られていますが、病気平癒やがんに直接由来する由来は特にありません。
(※ちなみに、神功皇后が三韓征伐の際に、八つの旗を祀ったといわれ、それが由来で八幡という言葉が生まれたといわれています)
戦勝祈願、土地の民を守るという信仰を由来に「病にも勝つ」「病から民を救う」という信仰が生まれ、「封じの宮」としての信仰に発展してきたと思われます。
癌封じの祈願と値段
特別祈願(封じ祈願)として、癌封じ、難病封じ、悪癖封じなどの祈願が受けられます。(当日の予約も受け付け可能とのことですが事前予約のほうがよいでしょう)
癌封じの祈願は、癌の平癒はもちろん、再発や転移のないように、など幅広い意味を込めて祈願をしてもらえます。
特別祈願では心身を清めるお祓いをし、神様に願いを伝える祝詞奏上(のりとそうじょう)、神符にご神徳を授ける「お鈴の儀」を行い、神のご加護を祈願する、という流れで行われます。
祈願を受けた後に「秘伝の神符」「御守」を受け取ることができます。
なお、癌封じ特別祈願の値段(初穂料)は、1年祈願で7,000円、3年祈願で10,000円、5年祈願で20,000円となっています。
祈願は、対象となる患者さんの氏名、生年月日などを記入して、家族が代理して受けることができます。
癌封じのお願い文
「お願い文」は、社頭に用意されており、祈願を受けずともお願い(お供え)することができます。
癌封じお守り
特別祈祷を受けずに癌封じのお守りだけ購入することが可能です。値段(初穂料)は1,000円です。なお、郵送でも発送してもらえ、送料込みで1,200円だそうです。
乳がんの方に「みむね守り」というお守りもあります。こちらの初穂料は600円。
【所在地】
埼玉県行田市行田16-23
無料の駐車場が併設されています。約17台駐車可能。
埼玉県さいたま市 武蔵一宮氷川神社(大宮氷川神社)
癌や病気の平癒で、参拝や祈願に行くなら埼玉県内で一番格式の高い神社に行きたい、と希望される方もいると思います。
先に挙げた今宮神社、行田八幡神社はともに「村社」という社格でした。
信じる神は人それぞれですし、社格だけで神社のことをランク付けするのはよくないと思いますが、どこに行くか選ぶ基準としては要素の1つになると思います。
埼玉県下で最も社格が上位の神社は武蔵一宮氷川神社(大宮氷川神社)です。
氷川神社は「官幣大社」です。
順番でいうと・・・
官幣大社>国幣大社>官幣中社>国幣中社>官幣小社>・・・郷社>村社>無社格
という形になります。
大宮氷川神社は、2400年以上の歴史をもつといわれています。「大いなる宮居」として大宮の地名の由来にもなったとされています。
また、東京、埼玉近辺に約200社ある「氷川神社」の総本社でもあります。
大宮氷川神社は境内の中に数多くの摂社(本社に付属し、その祭神と縁の深い神を祭った社(やしろ))があり、摂社ごとに異なる神を祀っています。
そのため、主祭神がどの神であるかは多くの議論がなされてきたようですが、現在、主祭神とされているのは、
・須佐之男命 (すさのお のみこと)
・稲田姫命 (いなだひめ のみこと)
・大己貴命 (おおなむち のみこと)
です。
がんや病気との関連
上記三柱のうち、大己貴命は、島根の出雲大社の祭神でもある大国主命(おおくにぬしのみこと)の別名です。
大国主命は健康祈願の神でもあり、ご利益には「病気平癒」も含まれていることから、大宮氷川神社で病気やがんの平癒の祈願をするのは適していると思います。
また摂社である天津神社を祀っているのは医学薬学の神とされている「少彦名命(すくなひこなのみこと)」です。
参拝の際には本殿の拝殿はもちろん、天津神社にも参拝されるとよいと思います。
癌や病気平癒に関する祈祷
赤い楼門をくぐると御祈祷の受付窓口があります。ここでは「癌封じ」と病気の名前を指定した祈願は特に設けられていませんが、「病気平癒」でお願いすることができます。祈祷後にはお札をもらえます。
予約はできず、当日受付となります。祈祷可能時間は9:00~16:00で、15分前に受付をする必要があります。
祈祷料は5,000円からとなっています。
お守り
癌封じや病気平癒のお守りはないですが、通常の「お守り」があります。
値段(初穂料)は700円です。
【所在地】
埼玉県さいたま市大宮区高鼻町一丁目407番地
専用駐車場(無料)あり。
それぞれの神社に特徴がありますね。参拝の参考になれば幸いです。