・一般名:レトロゾール
・商品名:フェマーラ
・投与経路:経口
・血管外漏出による皮膚障害のリスク:なし
・催吐リスク:なし
<特徴>
作用機序:乳がん組織や脂肪組織で、アロマターゼ(アンドロゲンからエストロゲンヘの変換に関与)の活性を阻害することでエストロゲン生成を阻害し、乳がんの増殖を抑制する。
※非ステロイド性の選択的アロマターゼ阻害薬。
代謝経路:肝代謝、腎排泄
<主に使われるがんのタイプ>
閉経後乳がん:単剤投与
・使用時の注意点
投与方法:経口投与
投与量:1日2.5mg
投与期間:以下を参照(効果が実証されている投与法を示す)
(術後補助療法の場合)
①アロマターゼ阻害薬5年間の内服
②抗エストロゲン薬(タモキシフェン)2~3年内服後、アロマターゼ阻害薬2~3年内服(計5年間)
③抗エストロゲン薬(タモキシフェン)5年内服後、アロマターゼ阻害薬3~5年内服
併用注意:肝代謝酵素CYP3A4およびCYP2A6の活性に影響を及ぼす薬剤(アゾール系抗真菌薬、リファンピシン、タモキシフェン、メトキサレンなど)
慎重投与:重度の肝機能障害、腎機能障害
・重大な副作用
血栓症・塞栓症
心不全・狭心症
肝機能障害・黄疸
・その他注意が必要な副作用
ほてり
関節痛・頭痛
悪心
発疹
めまい
血中コレステロール増加
肝酵素(AST、ALT等)上昇
・投与に関するポイント
骨粗しょう症予防のための食事・生活を意識する。定期的なウォーキング、日光浴、カルシウムなどビタミンやミネラルの摂取などが重要。
フェマーラを含むアロマターゼ阻害薬の代表的な副作用は、関節痛と、骨密度低下による骨粗しょう症である。なかでも、関節痛や関節のこわばり感による不快感は、患者の内服継続の意欲を妨げる。明確な原因はわかっていないが、関節周囲の浮腫・腱鞘の肥厚、関節包内への関節液貯留などによるものとされている。
対策としては、NSAIDS(非ステロイド性消炎鎮痛薬)やCOX2阻害薬の内服、アロマターゼ阻害薬の種類変更などを行う。関節のこわばり感は、動かしていると軽減するので、入浴中のマッサージや、手指の曲げ伸ばし運動などが有効。水泳やウォーキングなどの運動もよいとされる。