食物繊維とは?
食物繊維は、1970年頃までは「何の栄養も機能もない、意味のないもの」とされてきました。しかし様々な研究により、人間の腸内環境に大きく関わることが明らかになり、今では重要な栄養素として位置づけられています。
【がんと食物繊維の関係性とは】
胃から腸までの消化排泄機能と関わりがあり、大腸がんや直腸がんのリスク低減に効果があるのは明白です。日本人の食物繊維の摂取量は低下傾向にありますが、同時に大腸や直腸がんの発生頻度や死亡率は上昇しています。
【食物繊維の働き】
食物繊維は大きく分けると水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維があります。
不溶性食物繊維は、大腸の中で周辺の水分を吸収し便を排出しやすい形状にします。同時に腸壁を刺激して蠕動をうながします。それによって自然で定期的な排便や、下痢や便秘の防止に繋がります。
がん予防として重要なのは、不溶性食物繊維によって便が早く、しっかりと排泄されることで腸内(腸壁)が発がん物質や腐敗物質などの有害物質にさらされる時間が短くなることです。
水溶性食物繊維は一緒に食べたものと混ざり合ってゲル状となり、栄養素を吸収する役割を持つ「小腸」へゆっくりと食べたものを提供します。
それによって消化吸収をゆるやかにし、必要な栄養素をきちんと吸収するとともに、血糖値の急激な上昇を和らげます。
さらに、コレステロールの原料となる成分を排出、再吸収を防いだりして動脈硬化や高血圧などの生活習慣病を予防します。
なお、大腸に存在する善玉菌のうち、乳酸菌などは食物繊維を分解することで増殖することができます。食物繊維を日常的に摂取することで常に腸内の環境をよい状態に保つことができるといえます。
食物繊維がよく摂れる食品
・不溶性食物繊維
干しシイタケ、きくらげ、しめじなどの菌類。豆類、ゴボウ、セロリ、玄米など。
・水溶性食物繊維
りんご、みかん、柿などの果物。昆布、ワカメ、もずくなどの海藻類。
以上、がん(癌)と食物繊維に関する解説でした。
がんと闘うには、人間の体のことや栄養素についてもある程度理解しておくことが大切です。
何をすべきか、正しい判断をするためには正しい知識が必要です。