放射線治療は放射線の関係者だけでなく、外科医や腫瘍内科医のようなほかの分野の専門家と相談したうえで実施されます。
治療に直接的に関係する人たちは、責任者の放射線治療医、線量の計算をし、放射線治療医といっしょに最適の照射方法を考える医学物理士、じっさいに照射する診療放射線技師、患者のケアを担当する看護師などです。
治療を受けるまえに、
(1)どんな放射線を、どんな方法であてるのか、
(2)治療の期間はどれだけか、
(3)どんな副作用があり、それにはどんな対応策があるのか、
(4)ふだんの生活で、どんなことに注意するか、
を理解しておきましょう。
内部照射には入院が必要ですが、外部照射は原則的に通院でおこなわれます。治療中には体調の維持が重要ですから、その意味では、むりをしないようにします。疲れを感じたら休養をとることが大切です。
放射線のあたる部分の肌は、どうしても敏感になるので直射日光を避け、ゆったりとした衣類をつけるようにします。入浴やシャワーは短時間ですませ、お湯の温度はぬるめにしましょう。放射線のあたる箇所をこすったりしないで、刺激の少ない石けんを使用し、さっと流す程度ですませます。
放射線のあたる肌に、化粧品をつけることも避けたいところです。放射線治療は何週間もかかることが多く、とくに後半になると、からだのだるさ、疲労感、熱っぽさ、食欲の減退を感じることがあります。
これらは治療がおわったあと、しばらくたつと解消されるのが一般的です。吐き気や下痢がおこることもありますが、こんなときは医師に相談して、必要ならば治療薬を処方してもらいましょう。
治療のあと、しばらくたってから障害がおこることがあり、これは「晩期障害」と呼ばれる合併症です。いまでは照射が正確になっているので、晩期障害はかなり避けられますが、異常が生じれば医師に相談する必要があります。また頭頸部のがんの治療を受けると、唾液がでなくなったり、のみこみにくくなったりする口内炎がおこりやすくなります。
こんなときには炎症を抑える、うがい薬や塗り薬を処方されますが、アミノ酸などを配合した成分栄養剤「エレンタール」(味の素製薬)を飲用すると効果があります。「エレンタール」はまた食欲と体力を失った患者にも効果がありますので、医師に相談しましょう。
放射線があたる皮膚に赤みやかゆみがでたら、濡れタオルで冷やすとらくになります。ただし、冷やしすぎないことが大切です。かゆみどめの軟膏を使用するときは、医師に相談してからにしましょう。頭に照射されたときは毛がぬけることがありますが、照射がおわれば、また生えてきます。
以上、放射線治療についての解説でした。