アメリカに「国立がん研究所」という、世界で有数のがん研究機関があります。この研究機関が、がんをどう定義しているのかというと、「細胞が増殖する過程で生じる100種類以上の病気の総称」です。
がん細胞が生まれるきっかけは様々ですが、外部からやってきたものではなく、自分自身の体が生み出したものです。
もとは自分自身の細胞ではあるものの、もはやコントロールがきかない細胞になってしまったのががん細胞です。
体にどんなダメージを与えてでも、自分(がん細胞)が生き延びるために増殖を続けます。
一般に、がん細胞は塊を形成しそれを悪性腫瘍(しゅよう)と呼びます。
がん=悪性腫瘍ですが、いっぽうで良性の腫瘍もあります。良性腫瘍はとてもゆっくり成長したり、ある一定の大きさで成長を止めます。そして、体の他の部分に転移することはありません。
がんを悪性と呼ぶのは、悪性腫瘍が非常に早く増殖し、増殖を止めようとしないだけでなく、周囲、あるいは遠く離れた臓器にまで広がっていき、そこでも成長して組織の機能を脅かすためです。
がんと闘ううえでやっかいなことは、
・がん細胞は非常に小さく、5mm未満は発見できない。
・小さながんでも、やがて大きく成長する可能性が高い。
・一度がんを発症した体は、その後もがんを発症しやすい。
ことにあります。
目に見えるがんだけを切り取るのは比較的簡単なことですが、目に見えないがんを切り取ることはできません。目に見えないがんを攻撃できるのは抗がん剤などの薬剤だけですが、現時点でがんだけを攻撃し、正常な細胞には影響しない薬は存在しません。
がんを攻撃する薬を使い続けても人体に影響がなければよいのですが、多大な悪影響(副作用)があるため、それができません。
それゆえ、人類はまだがんに勝てないのです。