
こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。
子宮体がんは、初回治療が終了しても再発や転移のリスクが存在します。
再発の早期発見と適切な治療選択のためには、再発しやすい時期、転移しやすい部位、そして再発時の症状や治療法について正しく理解しておくことが重要です。
この記事では、2026年現在の最新情報をもとに、子宮体がんの再発・転移について詳しく解説します。
子宮体がんが再発しやすい時期
子宮体がんの再発には、明確な時期的傾向があります。
再発・転移症例の約80%は、初回治療後2年以内に発見されています。特に最初の1年間は再発リスクが高く、この時期には慎重な経過観察が必要です。
一方で、治療後5年以降に再発する症例も全体の約10%存在します。中には10年以上経過してから再発・転移が見つかる例もあるため、長期的な経過観察が推奨されています。
このような再発時期の特徴から、子宮体がんの経過観察は通常5年以上継続されます。
| 治療後の期間 | 再発の割合 | 経過観察の頻度 |
|---|---|---|
| 1年以内 | 約40% | 1〜3か月ごと |
| 2年以内 | 約80%(累計) | 1〜3か月ごと |
| 3年以内 | 約90%(累計) | 3〜6か月ごと |
| 4〜5年 | 残り約10% | 6〜12か月ごと |
| 5年以降 | 少数だが存在 | 1年ごと |
子宮体がんが転移しやすい臓器と部位
子宮体がんは、特定の臓器や部位に転移しやすい傾向があります。
局所転移しやすい部位
子宮体がんが最も転移しやすいのは、子宮周辺の組織です。卵巣、子宮頸部、腟、直腸、膀胱などへの浸潤がよく見られます。
特に腟断端(手術で切除した腟の切り口)は再発しやすい部位として知られており、定期的な腟断端細胞診による確認が重要です。
リンパ節転移
がん細胞が内膜下のリンパ系に侵入すると、子宮の外側のリンパ管に流れ込みます。骨盤リンパ節や傍大動脈リンパ節への転移が起こることがあります。
遠隔転移しやすい臓器
リンパ管や血管を介して、がん細胞が離れた臓器に到達することがあります。
子宮体がんの遠隔転移で多いのは、肺、肝臓、骨、脳などです。また、腹腔内に広がる腹膜播種も見られることがあります。
| 転移のタイプ | 主な転移部位 |
|---|---|
| 局所再発 | 腟断端、骨盤内、卵巣、子宮頸部 |
| リンパ節転移 | 骨盤リンパ節、傍大動脈リンパ節 |
| 遠隔転移 | 肺、肝臓、骨、脳 |
| 腹膜播種 | 腹腔内、腹膜 |
骨盤内に再発した場合の症状
子宮体がんが骨盤内に再発した場合、さまざまな症状が現れることがあります。以下のような変化に気づいた場合は、速やかに担当医に相談することが大切です。
性器からの出血やおりものの変化
手術後しばらく続くおりものは正常な反応ですが、注意が必要なのは、ある時期から急におりものが増えてきたり、悪臭が強くなったり、うみのようなおりものが出るようになった場合です。
また、性器から出血がある場合も要注意です。これらの症状は、子宮頸部や腟の粘膜などに再発している可能性があります。
血尿や血便
がんが膀胱や直腸の粘膜にまで進行すると、血尿や血便が出ることがあります。
ただし、放射線治療を受けた患者さんの場合、再発とは別の理由で長期にわたって血尿や血便が続くことがあるため、症状の原因を医師に確認する必要があります。
痛みの症状
骨盤神経や坐骨神経などが腫瘍によって圧迫されると、腰や足に鈍痛を感じることがあります。進行すると、かなり強い痛みになることもあります。
また、腫瘍が尿管を圧迫することで尿が出にくくなり、腎臓が腫れる水腎症を起こすこともあります。この場合、おなかが張っている感じがすることがあります。
骨盤外に転移した場合の症状
骨盤の外へ転移するということは、がんが全身に広がった状態を意味します。
しかし、遠隔転移は、がんが大きくなっても症状が出ないことが多く、自覚症状だけで判断することは困難です。
そのため、定期的な画像検査や血液検査による確認が重要になります。転移した臓器によって、呼吸困難、腹部膨満感、骨の痛みなど、さまざまな症状が出現する可能性があります。
再発・転移を早期発見するための経過観察
子宮体がんは初回治療後5年以降も再発する可能性があるため、5年以上の経過観察が推奨されています。
経過観察の検査内容
治療後の経過観察では、以下のような検査が組み合わせて行われます。
問診による症状の確認、内診(直腸診を含む)、腟断端細胞診、経腟超音波断層法検査、腫瘍マーカー測定、胸部X線検査などが基本となります。
再発リスクの高い患者さんに対しては、CT、MRI、PET-CTなどの画像検査が必要に応じて追加されます。
経過観察のスケジュール
一般的な経過観察のスケジュールは次のとおりです。
治療終了から1〜3年までは3〜6か月ごと、4〜5年までは6〜12か月ごとを目安に検査を行います。6年目以降は1年ごとの検査が推奨されています。
ただし、患者さんの進行期や再発リスク分類によって検査の頻度や内容は異なるため、担当医とよく相談することが大切です。
再発・転移した場合の治療法
子宮体がんが再発・転移した場合の治療は、再発した場所、がんの広がり、これまでの治療内容、患者さんの全身状態などを総合的に考慮して決定されます。
腟断端再発の治療
手術で切除した腟の断端に再発した場合には、放射線治療が選択されることが多くあります。
放射線治療歴がない場合は、外部照射と腔内照射を組み合わせた治療が検討されます。
骨盤内再発の治療選択
腟断端以外の骨盤内に再発した場合、がんが手術で完全に取り切れると判断されれば手術を検討します。
ただし、手術が生活の質を損なう可能性がある場合や、切除が困難な場合には、化学療法や放射線治療が選択肢となります。
近年では、強度変調放射線治療(IMRT)や体幹部定位放射線治療(SBRT)などの高精度放射線治療も選択肢として検討され、傍大動脈リンパ節の再発などに対して良好な成績が報告されています。
遠隔転移・多発性再発の化学療法
2023年版の子宮体がん治療ガイドラインでは、再発がんに対する化学療法について以下のように記載されています。
プラチナ製剤を含む化学療法歴がない場合は、TC療法(パクリタキセル+カルボプラチン)の2剤併用療法が推奨されます。
プラチナ製剤を含む化学療法歴がある場合は、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法が推奨されています。
また、プラチナ製剤を含む化学療法歴があり、MSI-High、dMMR、またはTMB-Highの場合は、ペムブロリズマブによる治療が提案されています。
| 治療歴 | 推奨される治療法 |
|---|---|
| プラチナ製剤未使用 | TC療法(パクリタキセル+カルボプラチン) |
| プラチナ製剤使用歴あり | レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法 |
| プラチナ製剤使用歴あり かつMSI-High/dMMR/TMB-High |
ペムブロリズマブ単剤治療 |
レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法
2021年12月に日本で承認されたレンバチニブ(商品名:レンビマ)とペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の併用療法は、がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の子宮体がんに対する新しい治療選択肢です。
この併用療法は、KEYNOTE-775試験の結果に基づいて承認されました。同試験では、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法により、従来の化学療法と比較して無増悪生存期間と全生存期間が有意に延長することが示されています。
レンバチニブは血管新生を阻害する働きとがん細胞の増殖を抑える働きを持つ分子標的治療薬です。ペムブロリズマブは免疫チェックポイント阻害薬で、T細胞を活性化してがん細胞を攻撃します。
この2剤を組み合わせることで、異なる作用機序からがんに対抗する効果が期待されています。
ホルモン療法
検査の結果、がんがエストロゲン受容体やプロゲステロン受容体陽性であることがわかれば、ホルモン療法も選択肢の一つとなります。
ホルモン療法は、血栓症以外には目立った副作用が少ないため、高齢者や全身状態の悪い患者さんに対して選択しやすい治療法とされています。
プロゲステロン製剤を使用することで、がんの成長を抑える効果が期待できる場合があります。
再発部位が限局している場合
肺のみに小さながんが再発した場合など、再発が一つの部位に限局している場合には、手術による切除を検討することもあります。
手術後には化学療法や放射線治療を追加する場合があります。
緩和的放射線治療
子宮体がんは骨などに転移しやすく、その場合、患者さんは強い痛みを感じることがあります。
また、がんが大きくなると、骨盤内の臓器や腟から出血することもあります。
こうした症状を抑えるには、再発部位への放射線照射が有効とされています。腟壁からの出血、骨転移による痛みの緩和、脳転移による症状の悪化の予防などに対して、放射線治療が役立つ場合があります。
治療方針を決める際の重要なポイント
再発・転移した子宮体がんの治療を選択する際には、いくつかの重要なポイントがあります。
まず、患者さんの生活の質(QOL)を維持することが重視されます。治療効果が高い化学療法ほど副作用も強くなる傾向があるため、患者さんの全身状態や希望を考慮して治療法を選択することが大切です。
また、初回治療でどのような治療を受けたか、特に化学療法や放射線治療の有無は、再発時の治療選択に影響します。
さらに、がんの組織型や受容体の状態、MSI-HighやdMMRなどのバイオマーカーの検査結果も、治療法を決定する上で重要な情報となります。
まとめ
子宮体がんの再発・転移は、約80%が治療後2年以内に起こりますが、5年以降も約10%の症例で再発が見られます。
転移しやすい部位は、腟、骨盤内臓器、リンパ節、肺、肝臓、骨などです。再発時には、おりものや出血の変化、痛みなどの症状が現れることがありますが、遠隔転移では症状が出にくい場合もあります。
治療法は再発の部位や広がりによって異なり、手術、放射線治療、化学療法、ホルモン療法などが選択されます。2021年に承認されたレンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法は、化学療法後に増悪した患者さんに対する新しい選択肢となっています。
定期的な経過観察を継続し、気になる症状があれば速やかに医療機関を受診することが、再発の早期発見と適切な治療につながります。
担当医とよく相談しながら、自分に合った治療法を選択していくことが大切です。
参考文献・出典
1. 転移と再発 | 子宮体がん | MSD oncology がんを生きる
2. 子宮体がん治療ガイドライン2023年版 | 日本婦人科腫瘍学会
4. 子宮体がん(子宮内膜がん) | 国立がん研究センター がん情報サービス
5. 子宮体癌に対するペムブロリズマブとレンバチニブメシル酸塩による併用療法の解説 | 日本婦人科腫瘍学会
6. 進行子宮内膜癌に対するレンバチニブとペムブロリズマブの併用療法 | NEJM日本語版

