
こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。
がん治療では「セカンドオピニオンを受けましょう」とよく言われますが、実際にいつ、どのタイミングで受けて、どんな質問をすればよいのかは悩ましい問題です。
セカンドオピニオンは公的医療保険が適用されず、基本的に全額自己負担となります。2026年時点では、30分あたり約10,000円から50,000円程度の費用がかかります。国立がん研究センター東病院では30分以内33,000円(税込)、国立がん研究センター中央病院では44,000円(税込)といった料金設定になっています。
せっかく費用と時間をかけて受けるのですから、有意義な時間にしたいものです。
この記事では、上手なセカンドオピニオンを受けるコツや準備、受けるべきタイミングや状況別の質問例について解説します。
セカンドオピニオンとは何か
セカンドオピニオンとは、現在診療を受けている担当医とは別の医療機関の医師に「第2の意見」を求めることです。
転院や担当医を替えることではありません。あくまで、別の医師の意見を聞くことで、自分の病気や治療についての理解を深め、納得して治療を受けるための仕組みです。
2026年現在、セカンドオピニオンは患者さんの権利として広く認められており、多くのがん診療連携拠点病院で「セカンドオピニオン外来」が設置されています。担当医に気を遣ったり遠慮したりする必要はありません。
セカンドオピニオンでできること・できないこと
セカンドオピニオンは診察や検査、治療を行うものではありません。医師が検査データや画像データなどの診療情報を見て、第三者として診断や治療についての意見を述べたり、情報を伝えたりすることです。
セカンドオピニオンを受けた医療機関で実際に診察・検査・治療を受けるためには、転院が可能かどうかの確認を含め、転院の手続きや初診の予約など別の手順が必要になります。
インフォームド・コンセントの重要性
がんの検査から治療に入る段階において、主治医となる医師は患者さんに十分な説明をしなければなりません。これをインフォームド・コンセントといいます。
インフォームド・コンセントとは、医師が患者さんに診療目的や内容などを十分に説明し、患者さんが理解・納得した上で、患者さんの承諾を得てから治療にあたることを指します。
医療従事者からは以下のような情報が説明されます。
- 診断に基づいた患者さんの病状
- 治療内容・方法
- 検査の目的・意味
- 治療の問題点・危険性
- 治療の効果や治癒する確率
- その治療以外の選択肢と予想される結果
- 経費
これらの説明が足りていないときや分からない場合は、患者さんはそれを伝えて医師は回答しなければなりません。まずは主治医からきちんと説明を受けることが第一で、分からないことがあれば主治医に確認するのが基本です。
しかし、治療法の特徴を理解できても、いざどの治療法にするかを選べといわれて悩んでしまうこともあります。そんなとき、第三者の意見を聞く行為がセカンドオピニオンです。
セカンドオピニオンのメリットとデメリット
メリット
セカンドオピニオンを受けることには以下のようなメリットがあります。
第一に、担当医とは異なる見解や治療方法が示された場合に選択肢が広がります。近年は医師の専門分野が細分化されており、自身の病気の治療に特化した専門家に意見を求めることで、より効果的な治療方法を提案してもらえるかもしれません。
第二に、担当医と同じ意見であったとしても、セカンドオピニオンを受けることで病気や治療への理解がより深まり、納得して治療に臨むことにつながります。「どの病院でも同じ対応になるのだ」と確認できることも、患者さんにとっては重要な安心材料となります。
デメリット
一方で、セカンドオピニオンにはデメリットもあります。
最大のデメリットは、医療費の負担が増えることです。セカンドオピニオンの受診に必要な費用は、公的医療保険制度が適用されない自由診療扱いで全額自己負担になります。遠方の場合は交通費の負担も考えておかなければなりません。
また、セカンドオピニオンの受診には手間と時間がかかります。病気の種類や進行の状況によっては、治療の選択を迷っている間に病状が進行する場合があることなども理解しておく必要があります。
複数の医師の意見を聞き、かえって混乱してしまうこともあります。メリット・デメリットをよく考えて受けるかどうかを決めましょう。
セカンドオピニオンを受ける準備
効果的なセカンドオピニオンを受けるためには、事前の準備が重要です。
ファーストオピニオンを十分に理解する
複数の医師の意見を聞き、どれを選んでよいか分からなくなってしまうことのないように、最初に求めた担当医の意見(ファーストオピニオン)を十分に理解しておくことが大切です。
ファーストオピニオンで、「自分の病状、進行度、なぜその治療法を勧めるのか」などについて理解しないまま、セカンドオピニオンを受けてもかえって混乱してしまいます。これまでの検査結果と説明を振り返ってみましょう。
準備の手順
セカンドオピニオンを受ける準備は以下の手順で進めます。
- 現在の担当医の説明をよく聞き、自分の症状や提案された治療法について、よく理解する
- 「なぜ別の医師の意見を聞きたいのか」を考え、その理由をあげてみる
- セカンドオピニオンを受けたい理由と、他の医師に質問したい事柄を箇条書きにしてメモにまとめる
- 質問したい内容に適した病院を選ぶ
- 申し込み方法(予約の取り方)、費用などを問い合わせる
- 現在の担当医師に申し出て、資料(紹介状、検査結果など)を用意してもらう
必要な資料
セカンドオピニオンを受けるには、以下の資料が必要です。
| 必要書類・資料 | 詳細 |
|---|---|
| 紹介状(診療情報提供書) | 現在の担当医が作成。セカンドオピニオンの依頼が記載されていることが必要 |
| 検査結果のデータ | 血液検査、病理検査・病理診断などの記録、CT・MRIなどの画像データ(通常はCD-ROMなどにコピーしたもの) |
| 身分証明書 | 患者さん本人の公的身分証明書。保険診療ではないが身分確認のために必要 |
| 同意書 | ご家族のみで来院する場合、患者さん本人の同意書が必要 |
これらなしではよいセカンドオピニオンは得られません。手ぶらで突然行くことは避けましょう。
紹介状の作成には保険が適用されますが、セカンドオピニオン受診そのものは全額自己負担となります。
セカンドオピニオンを受けるタイミング
セカンドオピニオンを受けるタイミングは基本的に「いつでもよい」です。特にこの時期やタイミングでないとダメ、ということはありません。
とはいえ、いくつか適切なタイミングがあります。
タイミング1:検査結果が出たとき(診断について)
「がん」と診断されるときは、ほとんどのがんの部位で「細胞診」を行い、病理検査(採取した細胞を調べてがんかどうか判断する)を実施します。この検査を担当するのが病理医です。
病理医の数は不足しており、なおかつ病理医すべてが全身どの臓器にも精通しているというわけにもいきません。よって病理診断には、どうしてもある程度の幅が生じます。
がんの臨床試験の調査では、中央病理診断といって、数人の病理医が臨床試験に登録された摘出標本を見直して診断を確認します。ここで診断名が変わることや病理医の中で意見が分かれるのも珍しくないといわれています。
がんか前がん病変か、浸潤があるかないか、その程度は浅いか深いかの診断によって手術の切除範囲が異なります。標本に特徴的な所見があれば診断は容易ですが、特徴に乏しい症例などでは診断も難しくなり、迷いが出てきます。
このような診断の難しい症例は、より詳しい病理医によって確認が行われます。治療のセカンドオピニオンも重要ですが、病理診断のセカンドオピニオンのニーズも高まっています。
2026年時点では、国立がん研究センター中央病院などで「病理相談外来」が設置されており、他の病院での病理診断に疑問をお持ちの患者さんは、主治医にお問い合わせの上、病理相談外来に申し込むことができます。
タイミング2:治療方針が示されたとき
もっとも多いのがこのタイミングです。「手術になる」場合でも、手術の範囲はどこからどこまでなのか、どんな術式で手術をするのか、などの詳細があります。
基本的な手段はガイドラインで定められていますが、どこの病院でも全く同じというわけではありません。主治医が外科医なら基本的に手術が前提ですが、放射線治療も可能な場合があります。
また、手術の前に化学療法をやるのかなど前後の手段も異なる場合があるので、「結果は同じだとしてもセカンドオピニオンは受けておきたい」というニーズが生まれます。
タイミング3:入院中や治療中
セカンドオピニオンは治療前だけではなく、入院中や治療中であっても利用できるもので、疑問があって他の意見を求めたいのであれば、他の病院を訪ねることができます。
たとえば、以下のような場合です。
- 進行がんで抗がん剤治療を行っているが、別の治療法はないのだろうか
- 手術前の入院が決まったが放射線治療の可能性はないのだろうか
- 積極的な治療はせずに、痛みの治療だけをするにはどうしたらよいだろうか
セカンドオピニオンを求める際には、「何が疑問なのか」「何が納得できないのか」を事前に整理して、相談の場に臨むことが大事です。
主治医の紹介状やこれまでの治療に関する情報は必要なので、必ず主治医に相談しましょう。治療進行中であっても「今の治療方法も良いと思いますが、いろいろ納得したいので、他の病院の意見も聞いておきたいのです。紹介状を書いてくださいますか?」と医師の立場を尊重したうえで依頼すれば、ほとんどの医師は対応してくれます。
セカンドオピニオンでの質問の準備
セカンドオピニオンを効率的に受けるためには、何が疑問点か、何を知りたいか、明確にしておくことが重要です。
セカンドオピニオンを求められる医師は、言ってみれば、ぶっつけ本番で医師としての意見を求められるのです。担当医として最初からつきあってきた患者さんであれば、短い期間ではあっても、何回か接する間に「あなたの場合にはこの治療法が向いていて、こちらの方法は向いていないかもしれない」などというアドバイスができますが、その場限りの患者さんにはそこまで踏み込んだアドバイスはできません。
その違いを分かったうえで、当日に臨みましょう。質問したい内容に適した病院を選び、セカンドオピニオンを受けるときに伝えたいこと、聞きたいことを整理し、自分の病気の経過と質問事項をメモしてから行くと、限られた時間を有効に使えます。
状況別セカンドオピニオンの質問例
聞きたいと思っていることを聞いてみるのがセカンドオピニオンです。
診断に関する質問例
- がんという診断がありましたが、希少なタイプのがんなので、別の専門医にも病理の結果を見てもらいたいと思いました
- A病院では、このように診断されました。今の状態では、このような可能性と危険性があると言われましたが、どう思いますか
- 病理診断で○○と診断されましたが、この診断は確定的なものでしょうか
治療方針に関する質問例
治療法を患者さんが考えるうえで必要な情報は以下のとおりです。基本的には主治医に説明を求めれば分かるものが多いですが、セカンドオピニオンで聞くことが多いのが「他の治療・検査の可能性」です。
| 確認項目 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 現時点での病名 | 正確な病名と分類 |
| 現時点でのがんの病期判定 | ステージや進行度 |
| 治療の目的 | 根治を目指すのか、症状緩和なのか |
| 治療のリスク | 合併症や副作用の可能性 |
| 治療成績 | 成功率、合併症発生率など |
| 予測される治療期間 | 入院期間、通院期間など |
| 治療を実施した場合の予後 | その後の経過予測 |
| 治療後の定期的な検査とケア | 二次的な治療の有無 |
| 予測される医療費 | 概算金額と保険適用の有無 |
| 他の治療・検査の可能性 | 代替となる治療法 |
| 提案した治療を実施しなかった場合の予後 | 治療を受けない選択肢の場合 |
他の治療法の話が出れば、その治療に関して「目的、リスク、治療成績、治療期間、予後」などを確認していく、というのが上手な質問の仕方だといえます。
具体的な治療選択に関する質問例
- 主治医からは手術を勧められていますが、放射線治療という選択肢はありますか
- 化学療法を勧められていますが、他にどのような治療法が考えられますか
- 提案された治療法のメリット・デメリットを教えてください
- この治療を受けた場合、日常生活への影響はどの程度ですか
- 臓器を温存する方法はありますか
治療中の質問例
- 現在の抗がん剤治療を続けていますが、効果が感じられません。他の薬剤や治療法はありますか
- 副作用が強く出ていますが、軽減する方法や代替治療はありますか
- 再発の可能性を下げるためにできることはありますか
セカンドオピニオンを受ける病院の選び方
2026年現在、がん医療を行っている病院では「セカンドオピニオン外来」を設置しているところが増えています。
セカンドオピニオンをどこで受けるか迷う場合には、がん診療連携拠点病院の「がん相談支援センター」に問い合わせると、その地域のセカンドオピニオン外来を行っている病院や専門領域などの情報を得ることができます。
また、「手術を勧められているけれども、放射線治療を検討したい」といった具体的な治療方法に関する希望がある場合には、がんの放射線治療を専門とする医師にセカンドオピニオンを受けるという方法もあります。
どの医療機関でセカンドオピニオンを受けるのか決まったら、その医療機関の窓口に連絡して、セカンドオピニオンを受けるために必要な手続き(受診方法、予約、費用、診察時間、必要な書類など)を確認しましょう。
セカンドオピニオンの費用
セカンドオピニオン外来は基本的に公的医療保険が適用されない自費診療で、病院によって費用が異なっています。
2026年時点での主要病院の費用例は以下のとおりです。
| 医療機関 | 料金(税込) | 時間 |
|---|---|---|
| 国立がん研究センター東病院 | 30分以内 33,000円、30分超過時15分毎に11,000円加算 | 最大90分 |
| 国立がん研究センター中央病院 | 44,000円 | - |
| 大阪国際がんセンター | 2025年1月6日より料金改定 | 45分限度 |
| 静岡がんセンター | 22,000円(病理セカンド追加時+7,000円) | - |
| 一般的な相場 | 10,000円~50,000円程度 | 30分程度 |
病理診断のセカンドオピニオンを希望する場合は、別途料金が必要になることがあります。また、遠方の場合は交通費の負担も考えておく必要があります。
セカンドオピニオンを受けた後の行動
セカンドオピニオンを受けた場合には、セカンドオピニオンを担当した医師から主治医にその内容を記した回答書が送られますので、その結果を基に主治医と今後の治療方針を相談して決めることになります。
セカンドオピニオンを受けたら、別の医師の意見を聞くことによって、あなたの病気や治療方針についての考えが変化したかどうか、もう一度現在の担当医に報告した上で、これからの治療法について再度相談しましょう。
セカンドオピニオンに対する担当医の意見を聞くことで、治療への理解がより深まり、納得する治療を選択することができるようになります。
もしセカンドオピニオンと主治医の方針とが違った場合には、さらに第3の専門医の意見を聞く、あるいは主治医とよく相談して自分が納得できる方法を選ぶことになります。
セカンドオピニオンの結果、セカンドオピニオン先の病院で治療を受けることになった場合には、あらためてこれまでの治療内容や経過などを紹介状などで引き継ぐのが一般的です。治療はセカンドオピニオン先の病院で行い、紹介元医療機関では治療後の経過観察を行う場合もあります。
そのため、紹介元の担当医はあなたの治療を支援してくれる、身近な医療者の1人であることに変わりありません。
場合によっては主治医に紹介してもらって病院を変わることもあります。セカンドオピニオンが必ずしも正しいとは限らないので、それを判断するだけの知識も必要になります。
セカンドオピニオンを主治医に伝える方法
セカンドオピニオンを受けたいときは、主治医に紹介状を書いてもらうことと資料を貸し出してもらうことが必要になるので、はっきりと「セカンドオピニオンを受けたい」と申し出ることになります。
セカンドオピニオンを主治医に内緒で受けることはお勧めできません。担当医との信頼関係を損なうだけでなく、客観的な情報がないまま受けることになるため、誤った情報をセカンドオピニオンの医師に伝える可能性もあります。
現在では、セカンドオピニオンは日常的に行われるようになってきましたので、担当医に気を遣ったり遠慮したりする必要はありません。セカンドオピニオンを受けるのは患者さんの権利です。
医師の立場を尊重したうえで、率直に気持ちを伝えることが大切です。何故セカンドオピニオンを受けたいのかということを素直に伝えましょう。
オンラインセカンドオピニオンの活用
2026年現在、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、遠方からの移動が難しい状況に対応するため、オンラインによるセカンドオピニオンを受け付けている医療機関も増えています。
国立がん研究センター中央病院では希少がんを中心にオンライン・セカンドオピニオンを行っており、静岡がんセンターなどでもオンラインセカンドオピニオンの予約を受け付けています。
遠方の専門医の意見を聞きたいが移動が困難な場合、オンラインセカンドオピニオンの利用も検討してみましょう。
セカンドオピニオンを受ける際の注意点
セカンドオピニオンを受ける際には、以下の点に注意しましょう。
- 病状や進行度によっては時間的な余裕がなく、なるべく早期に治療を開始した方がよい場合もあります。セカンドオピニオンの準備は現在の担当医に現在の病状と治療の必要性について確認するところから始めます
- できるだけひとりではなく信頼できる人に同行してもらうとよいでしょう
- セカンドオピニオンの面談時間は30分から60分程度が一般的で、資料閲覧や書類作成時間も含まれます
- セカンドオピニオンの予約から面談まで、通常10日から14日程度かかります
- 医療機関によっては、患者さん本人とご家族が面談を受ける場合の人数制限があります
まとめ:納得できる治療選択のために
セカンドオピニオンは自分らしく納得できる選択をするために有用な仕組みです。
検査結果が出たとき、治療方針が示されたとき、治療中のいずれのタイミングでも受けることができます。大切なのは、「何が疑問なのか」「何を知りたいのか」を明確にして、準備を整えてから臨むことです。
費用や時間はかかりますが、自分の治療について理解を深め、納得して治療を受けるための投資と考えることもできます。
インターネットや書籍などには信頼できる医療情報もある一方で、効果が科学的に証明されていない治療に関する情報もあるため、慎重な確認が必要です。情報の取捨選択に迷ったときは、ひとりで悩まず担当医やがん相談支援センターに相談しましょう。

