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MRガイド下集束超音波療法(FUS)とは
こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。
乳がん治療における「切らない治療」として注目されてきたMRガイド下集束超音波療法(FUS)について、2026年時点での最新情報をお伝えします。
MRガイド下集束超音波療法は、体外から複数の超音波ビームを集束させてがん組織を焼灼する治療法です。MRI(磁気共鳴画像装置)で病変部位をリアルタイムに確認しながら、ピンポイントで超音波エネルギーを照射することで、がん細胞を熱凝固させます。
この治療法の最大の特徴は、皮膚を切開することなく、針も刺さないという点です。従来の手術と比べて体への負担が少なく、乳房の外観を保ったまま治療できることが期待されていました。
乳がん治療におけるFUSの現状と課題
2004年から臨床試験がスタートしたFUSですが、2026年1月現在、日本において乳がん治療としての保険適用は実現していません。脳神経疾患である本態性振戦やパーキンソン病に対しては2019年6月に保険適用となりましたが、乳がんに対する適用については承認されていない状況です。
一方で、同じく「切らない治療」として開発されてきたラジオ波焼灼療法(RFA)は、2023年12月に早期乳がんに対して保険適用となりました。RFAは針を刺して電磁波で加熱する治療法で、国立がん研究センターを中心とした臨床試験により有効性と安全性が確認されています。
FUSが乳がん治療で保険適用に至っていない背景には、治療効果の確認が難しいという課題があります。がん組織を切除しないため、焼灼が確実に行われたかどうかの病理学的な確認ができず、長期的な治療成績のデータが十分に蓄積されていないことが要因として考えられます。
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FUSの治療メカニズム
MRガイド下集束超音波療法では、208本から1000本以上の超音波ビームを1点に集束させることで、焦点部分の温度を60度から80度程度まで上昇させます。この熱により、がん細胞を死滅させる仕組みです。
治療は以下のような流れで進められます。
まず、MRIを使って乳がんの正確な位置と範囲を確認します。コンピュータで超音波エネルギーを集束させる最適な位置を計算し、照射を開始します。照射中はMRIでリアルタイムに温度を監視しながら、照射とクールダウンを繰り返して治療を進めます。
治療時間は2時間から3時間程度です。患者さんは鎮痛剤や鎮静剤の投与を受けますが、全身麻酔は必要ありません。この点で、全身麻酔が必要な手術と比べて体への負担が少ないとされています。
適応条件と治療の制限
FUSの臨床試験で適応とされていた条件は、以下のようなものでした。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 腫瘍の大きさ | 1.5センチメートル以下 |
| 診断 | 針生検で乳がんの確定診断がなされている |
| 腫瘍の位置 | 皮膚から5ミリメートル以上離れている |
| リンパ節転移 | 転移がないこと |
| 術後治療 | 放射線治療が必須 |
これらの条件は、保険適用されたラジオ波焼灼療法の適応条件とほぼ同様です。しかし、FUSの場合、治療後の病理学的な確認が困難であることが、適用拡大への障壁となっています。
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他の非切除治療法との比較
現在、乳がんの「切らない治療」として実用化が進んでいる治療法を比較すると、以下のような特徴があります。
| 治療法 | 方法 | 保険適用 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ラジオ波焼灼療法(RFA) | 針を刺して電磁波で加熱 | 2023年12月から適用 | 全身麻酔下で実施、治療効果の確認が比較的容易 |
| MRガイド下集束超音波療法(FUS) | 体外から超音波を集束照射 | 適用なし | 針を刺さない、治療効果の確認が困難 |
| 凍結療法 | がん組織を凍結 | 研究段階 | 一部の施設で実施、データ蓄積中 |
ラジオ波焼灼療法は、国立がん研究センターを中心とした多施設共同臨床試験(RAFAELO試験)により、短期成績で標準治療である乳房部分切除術に劣らない結果が示されました。この成果により保険適用が実現し、日本乳癌学会が認定した施設で治療を受けることができます。
一方、FUSは臨床試験が2004年から開始されたものの、十分なデータが蓄積されず、保険適用には至っていません。2026年時点では、脳神経疾患の治療に使用されているFUS装置が存在しますが、乳がん専用の治療としては実施されていない状況です。
FUSのメリットとデメリット
メリット
FUSの理論的なメリットとして、以下の点が挙げられています。
針を刺す必要がないため、出血や感染のリスクがラジオ波焼灼療法よりもさらに低いと考えられます。体への侵襲が最小限で済むため、高齢の患者さんや、持病により全身麻酔が困難な患者さんにも適用できる可能性があります。
また、MRIでリアルタイムに温度を監視しながら治療を進めるため、周囲の正常組織への影響を最小限に抑えられる点も利点とされています。治療中に患者さんと対話しながら進められるため、異常があればすぐに治療を中断できます。
デメリット
FUSの最大のデメリットは、治療後にがん細胞が確実に焼灼されたかどうかを病理学的に確認できない点です。手術であれば切除した組織を顕微鏡で詳しく調べられますが、FUSではがん組織を取り出さないため、残存がん細胞の有無を正確に判断することが困難です。
また、超音波の到達範囲や焼灼範囲が限定的であるため、腫瘍の大きさや位置によっては適用できないケースがあります。皮膚に近い部分や、乳房の形状によっては超音波の集束が難しい場合もあります。
さらに、治療に2時間から3時間という長時間を要するため、患者さんの体力的な負担も考慮する必要があります。治療後も放射線治療が必須とされているため、治療の負担がゼロになるわけではありません。
保険適用と治療費用について
2026年1月現在、乳がんに対するMRガイド下集束超音波療法は日本で保険適用されていません。そのため、この治療を希望する場合は自費診療となります。
過去の情報では、FUS治療の費用は約150万円とされていましたが、現在は乳がんに対する治療として実施している医療機関がほとんどないため、正確な費用情報は確認できません。
一方、2023年12月に保険適用となったラジオ波焼灼療法の場合、保険診療として受けることができます。保険適用により、高額療養費制度も利用できるため、患者さんの自己負担額は所得に応じて一定の上限内に抑えられます。
高額療養費制度について
保険適用の治療であれば、高額療養費制度を利用することで医療費の自己負担を軽減できます。この制度は、同一月(1日から末日まで)に支払った医療費が一定額を超えた場合、その超過分が払い戻される仕組みです。
自己負担の上限額は年齢や所得によって異なります。事前に「限度額適用認定証」を取得しておけば、医療機関の窓口での支払いを上限額までに抑えることができます。
現在の乳がん治療における選択肢
2026年時点で、乳がん治療における「切らない治療」として実用化されているのは、主にラジオ波焼灼療法です。この治療法は以下のような条件を満たす早期乳がんの患者さんが対象となります。
腫瘍径が1.5センチメートル以下であること、腋窩リンパ節転移および遠隔転移を認めない限局性早期乳がんであること、浸潤性乳管がんなど一般的なタイプの乳がんであることなどが条件とされています。
ラジオ波焼灼療法は、日本乳癌学会が認定した医療機関で受けることができます。治療を希望される場合は、日本乳癌学会のホームページで実施施設を確認し、担当医に相談することをお勧めします。
また、従来からの標準治療である手術も、より低侵襲な方法が開発されています。内視鏡を使った乳房温存手術や、単孔式手術支援ロボットを用いた手術など、傷を小さくし整容性を保つ技術が進歩しています。
治療法を選択する際の考え方
乳がん治療の選択は、がんの状態、患者さんの年齢や体力、ライフスタイル、価値観など、様々な要素を総合的に考慮して決定されます。
「切らない治療」は魅力的に思えますが、現時点では適応できる患者さんが限られており、長期的な治療成績のデータも蓄積中です。標準治療である手術は、長年の実績があり、治療効果も確立されています。
新しい治療法を選択する際は、その治療法のメリットとデメリットを十分に理解し、長期的な視点で判断することが重要です。治療後の経過観察や追加治療の必要性についても、事前に確認しておくべきでしょう。
また、複数の医療機関の意見を聞くセカンドオピニオンも、治療法を選択する上で有効な手段です。異なる専門医の意見を聞くことで、自分の状況に最も適した治療法を見つけやすくなります。
今後の展望と研究動向
乳がんの「切らない治療」の研究は世界中で進められています。海外では、化学療法に良好な反応を示した早期乳がん患者さんで、手術を省略できる可能性を検討する臨床試験も行われています。
MRガイド下集束超音波療法についても、技術の改良や治療効果の評価方法の開発が続けられています。将来的には、より多くの患者さんに適用できる治療法として発展する可能性もあります。
しかし、新しい治療法が標準治療として確立されるまでには、多くの臨床試験を経て、長期的な安全性と有効性を証明する必要があります。現時点では、既に確立された標準治療を基本としながら、新しい治療法の選択肢について主治医とよく相談することが大切です。
参考文献・出典情報
国立研究開発法人国立がん研究センター「早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法による切らない治療が薬事承認・保険適用を取得」
社会医療法人 熊谷総合病院「MRガイド下集束超音波治療(FUS)について」
一般社団法人 日本定位・機能神経外科学会「MRガイド下集束超音波療法(MRgFUS,FUS)」


