
こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。
佐賀県と長崎県でサイバーナイフやトモセラピーなどの高精度放射線治療を受けることができる病院について、2026年時点の最新情報をまとめました。
近年、がん治療における放射線療法は飛躍的な進歩を遂げており、サイバーナイフやトモセラピーといった高精度な放射線治療装置が全国的に普及してきています。
これらの治療装置は、従来の放射線治療と比較して、がん病巣に対してより正確に放射線を集中させることができ、周囲の正常な組織へのダメージを最小限に抑えることができます。
一方で、すべての医療機関がこうした高精度放射線治療装置を導入しているわけではなく、地域によって治療を受けられる施設には差があります。佐賀県と長崎県にお住まいの患者さんやそのご家族にとって、どこでどのような治療が受けられるのかを知ることは、治療の選択肢を広げるうえで重要です。
サイバーナイフとは
サイバーナイフは、産業用ロボットアームの先端に小型の直線加速器を搭載した、定位放射線治療専用の装置です。この装置は、X線でがんの位置を確認しながら、1mm未満の高い精度で放射線を照射することができます。
治療中は患者さんの体の微細な動きを自動的に検知し、随時補正・追尾する機能を備えています。特に呼吸によって動く肺がんや肝臓がんなどの治療に対応できる呼吸追尾機能は、サイバーナイフの大きな特徴の一つです。
サイバーナイフの主な対象疾患は、頭蓋内病変(脳腫瘍、脳転移など)、頭頸部がん、原発性肺がん、転移性肺がん、原発性肝がん、転移性肝がん、前立腺がん、すい臓がん、転移性脊椎腫瘍、5個以内のオリゴ転移などです。
治療回数は病変の大きさや部位によって異なりますが、1回から5回程度で完結することが多く、1回の治療時間は約30分程度です。治療中に痛みや熱さを感じることはありません。
トモセラピーとは
トモセラピーは、CTスキャンと放射線治療装置を組み合わせた、強度変調放射線治療(IMRT)とい う治療法の専用装置です。ドーナツ型の装置が回転しながら、細い放射線ビームを照射します。
この装置の最大の特徴は、複雑な形状をしたがん病巣に対しても、その形に沿って正確に放射線を照射できることです。治療の前に毎回CT撮影を行い、計画時の画像と比較しながら位置の誤差を補正するため、計画した場所へ正確に治療を行うことができます。
サイバーナイフが小さな病巣へのピンポイント照射を得意とするのに対し、トモセラピーは大きく複雑な形の病巣に対して威力を発揮します。頭頸部がん、食道がん、膵臓がん、前立腺がん、直腸がん、後腹膜リンパ節転移などの治療に有用です。
1回の照射時間は5分から10分程度、トータルの治療時間は20分から30分程度です。従来の放射線治療と比較して、副作用が軽減されています。
長崎県でサイバーナイフが受けられる病院
長崎県内でサイバーナイフによる治療を実施している施設は、現在1か所です。佐賀県には、サイバーナイフを導入している施設はありません。
長崎みなとメディカルセンター(長崎市)
長崎みなとメディカルセンターは、長崎県で唯一サイバーナイフを導入している医療機関です。2014年(平成26年)にサイバーナイフVSIを導入し、現在も治療を継続しています。
所在地:長崎県長崎市新地町6-39
アクセス:長崎電軌5系統「メディカルセンター」電停から徒歩1分
同院のサイバーナイフは、治療台もロボット制御になっており、高い精度で微調整が可能です。また、呼吸追尾機能を搭載しているため、肺がんや肝臓がんなど呼吸で動くがんへの治療にも対応しています。
前立腺がんについては、前立腺内に金マーカーを挿入して動きの確認と位置合わせを正確に行い、さらに前立腺と直腸の間にスペーサー(ハイドロゲル)を留置して距離を作ることで、直腸への副作用を回避しながら治療を行っています。
対応している主な部位は、頭蓋内病変(脳腫瘍、脳転移、AVMなど)、頭頸部がん(鼻腔・咽頭・口腔の腫瘍、再発・転移)、原発性肺がん、転移性肺がん、原発性肝がん、転移性肝がん、前立腺がん、膵臓がん、椎骨骨転移、オリゴ転移などです。
費用については保険適用となっており、高額療養費制度を利用することで負担を軽減できます。治療に入院が必要な場合は、別途入院費用がかかります。
長崎県・佐賀県でトモセラピーが受けられる病院
2026年1月時点の調査では、長崎県および佐賀県において、トモセラピーを導入して稼働している施設の公開情報は確認できませんでした。
過去に長崎北徳洲会病院が新築移転に伴いトモセラピーの導入を予定していたという情報がありましたが、現時点での導入状況については公式な発表が見つかっていません。
トモセラピーによる治療を希望される場合は、九州内の他県や全国の施設を検討する必要があります。九州では、沖縄県の南部徳洲会病院などがトモセラピーを導入しています。
佐賀県の重粒子線治療施設:サガハイマット
サイバーナイフやトモセラピーとは異なりますが、佐賀県には日本でも数少ない重粒子線治療施設「サガハイマット(九州国際重粒子線がん治療センター)」があります。
九州国際重粒子線がん治療センター(サガハイマット)
所在地:佐賀県鳥栖市原古賀町3049番地
アクセス:九州新幹線「新鳥栖駅」から徒歩数分
サガハイマットは2013年に治療を開始し、2024年10月には治療患者数が1万人を突破しました。民間主体で運営される重粒子線治療施設として、患者さんに寄り添った柔軟な運営を行っています。
重粒子線治療は、炭素イオンを光速の約70%まで加速し、がん病巣に狙いを絞って照射する放射線治療法です。従来のX線やガンマ線と比較して、がん病巣に集中して高線量を照射でき、正常組織へのダメージを最小限に抑えることができます。
重粒子線は、陽子線やX線、ガンマ線と比べて、がん細胞を殺傷する能力が2倍から3倍ほど高く、一回の照射で得られる効果が大きいため、治療期間を短くすることができます。
主な対象疾患としては、頭頸部がん、肺がん、肝臓がん、前立腺がん、膵臓がん、直腸がん術後の骨盤内再発、骨軟部腫瘍などがあります。また、転移性腫瘍(肺・肝・リンパ節の少数個転移)も対象となる場合があります。
治療費については、保険適用となる疾患と先進医療として扱われる疾患があります。佐賀県および鳥栖市では、県民・市民に対してがん先進医療にかかる治療費の一部を助成する制度を設けています。
サガハイマットには入院施設がなく、通院での治療が基本となります。これは重粒子線治療が痛みがなく、身体への侵襲がほとんどないためです。患者さんは日常生活を送りながら治療を受けることができます。
重粒子線治療と陽子線治療の違い
粒子線治療には、重粒子線治療と陽子線治療の2種類があります。どちらも、がん病巣にピンポイントで高線量を集中させることができる高精度な放射線治療です。
| 項目 | 重粒子線治療 | 陽子線治療 |
|---|---|---|
| 使用する粒子 | 炭素イオン | 陽子(水素の原子核) |
| がん細胞への殺傷能力 | X線の2から3倍 | X線の1.1倍程度 |
| 照射の自由度 | 主に水平・垂直方向 | 360度回転ガントリーで多方向から可能 |
| 治療回数 | 少ない(1回から12回程度) | やや多い(15回から30回程度) |
| 国内施設数 | 6施設 | 19施設 |
重粒子線は粒子が重く、がん細胞を殺傷する能力が高い一方で、ビームを曲げにくいという特徴があります。陽子線は粒子が軽く、360度の方向から照射できる回転ガントリーが使用できるため、周囲の重要臓器を避けながら治療しやすいという利点があります。
どちらの治療が適しているかは、がんの種類、部位、大きさ、周囲の臓器との位置関係など、患者さん個別の状況によって異なります。
九州での陽子線治療
九州では、鹿児島県指宿市に「メディポリス国際陽子線治療センター」があり、陽子線治療を受けることができます。福岡市内には相談窓口も設置されており、九州各県からの相談に対応しています。
2024年6月から陽子線治療の保険適用範囲が拡大され、早期肺がん(切除不能のもの)が新たに対象となりました。これまでに保険適用となっている疾患には、小児腫瘍、骨軟部腫瘍、頭頸部腫瘍、前立腺がん、肝細胞がん(長径4センチメートル以上)、肝内胆管がん、局所進行性膵がん、局所大腸がん(手術後に再発したもの)などがあります。
高精度放射線治療の保険適用について
サイバーナイフによる定位放射線治療は、対象となる疾患について保険適用となっています。主な保険適用疾患には、頭蓋内腫瘍、肺がん、肝がん、前立腺がん、脊椎腫瘍、5個以内のオリゴ転移などがあります。
トモセラピーによる強度変調放射線治療(IMRT)も、多くのがん種で保険適用となっています。
治療費は、保険適用の場合、高額療養費制度を利用することで自己負担額を軽減できます。高額療養費制度では、年齢や所得に応じて自己負担額の上限が設定されており、それを超えた分は払い戻されます。
治療を受けるための流れ
サイバーナイフや重粒子線治療を受けるためには、まず現在通院している医療機関の主治医に相談することが必要です。一般的な流れは以下のとおりです。
1. 主治医に相談し、治療の適応について検討してもらう
2. 主治医から治療施設への紹介状を作成してもらう
3. 治療施設で診察を受け、治療の適応を判定してもらう
4. 適応と判断された場合、治療計画を立てる
5. 治療を実施する
6. 治療後は、紹介元の医療機関で経過観察を行う
サガハイマットの場合、地域連携窓口(電話:0942-50-8812)で相談を受け付けています。また、九州大学病院、久留米大学病院、佐賀大学医学部附属病院、福岡大学病院には重粒子線治療相談窓口が設置されています。
セカンドオピニオンの活用
がん治療において、複数の医師の意見を聞くセカンドオピニオンは重要な選択肢です。サイバーナイフや重粒子線治療などの高精度放射線治療が自分の病状に適しているかどうか、別の医師の意見を聞くことで、より納得のいく治療選択ができます。
多くの医療機関でセカンドオピニオン外来を設けていますので、主治医に相談のうえ、活用することをお勧めします。セカンドオピニオンを受けることは、現在の主治医との関係を損なうものではなく、患者さんの権利として認められています。
まとめ:佐賀県・長崎県での高精度放射線治療の選択肢
佐賀県と長崎県における高精度放射線治療の状況をまとめると、以下のようになります。
長崎県では、長崎みなとメディカルセンターでサイバーナイフによる治療を受けることができます。九州では、北九州、大分、熊本、宮崎、沖縄の一部の医療機関にもサイバーナイフが導入されています。
トモセラピーについては、両県とも公開されている導入施設の情報は確認できませんでした。九州内では沖縄県などに施設があります。
佐賀県には、日本でも数少ない重粒子線治療施設であるサガハイマットがあり、九州全域をはじめ、中国・四国地方からも患者さんが訪れています。
がん治療の選択肢は、患者さん一人ひとりの病状、がんの種類や進行度、全身状態、年齢、希望する生活の質などによって異なります。高精度放射線治療は、すべての患者さんに適しているわけではありません。
治療方法を選択する際には、主治医とよく相談し、必要に応じてセカンドオピニオンを活用しながら、自分にとって最適な治療を選ぶことが大切です。
また、医療技術は日々進歩しており、新しい治療法や装置の導入状況も変化します。最新の情報については、各医療機関に直接問い合わせることをお勧めします。

