前立腺がんでは「手術」と「放射線」の治療成績に大きな差かないため治療法の選択には悩むことが多いはずです。
選択のキーになるのは「再発の有無」ですがどちらも再発するケースはあります。
第1選択が手術の場合、手術後の再発ケースには2種類あり、ひとつは前立腺周辺にがんの取り残しがあり、そこから再発するケースです。これはいわゆる局所再発といえます。もうひとつは、骨など他臓器への転移(遠隔再発)です。
骨への転移では放射線治療は痛みを軽減する緩和目的であり、「ホルモン療法」が主な役割を果たします。ただしこのホルモン療法も根治的治療ではなく進行を抑えることが目的になります。
いっぽう、第1選択が放射線治療の場合、再発が起こると再度放射線治療を行うことはできません。放射線は同じところに二度は照射できないからです。
そうなると手術、ということになりますが手術をするのは厳しいといえます。それは、すでに放射線療法で正常組織もダメージを受けており、手術をしたときに合併症が起こる可能性がとても高いからです。そのため手術以外の方法であるホルモン療法を選択することになります。
50代から60代半ばの方に対して「手術が第一」とよくいわれるのは、平均余命が20年以上と長いので、再発したときの選択肢が手術の方がひとつ多い(放射線が使える)からです。ただし、前立腺がんの再発は、即、生命にかかわるとは限りません。特に高齢者ではそのまま"経過観察"をしても天寿をまっとうするケースも少なくないのです。
これらの特徴を理解したうえで最初の治療選択に手術を選ぶか、それとも放射線を選ぶかは、最終的には患者さん自身が選択することになります。
以上、前立腺がんの治療についての解説でした。