前立腺がんの死亡者数は右肩あがりに上昇しています。1990年が3460人、00年が7514人、10年が1万722人です。
つまり、ここ20年で約3倍に増加しており、罹患者は06年が4万2517人、2011年では5万人前後です。罹患者に対する死亡者の比率は約20%で、肺がんの約80%と比べると、すぐに命の危機に直結しにくいがんだといえるかもしれませんが、進行すると日常生活に多大な影響をおよぼす厄介ながんだといえます。
なお、前立腺がん増加の原因は、①日本人の食事の欧米化、②前立腺特異抗原(PSA)検査の普及、③高齢男性の増加という3点が挙げられます。
①食事の欧米化
前立腺がんは欧米諸国に多く、その要因のひとつとして食事があげられています。肉、乳製品脂肪の摂取量の多さが関係しているのです。これが同じ日本人でも米国在住の日本人と米国人も加えて比較すると、前立腺がんの発生率は高い方から米国在住の米国人、米国在住の日本人、日本在住の日本人の順です。食事を見直すと前立腺がんの増加にブレーキがかかる可能性はあります。
②PSA検査の普及
前立腺がんの腫瘍マーカーのPSAの測定が、健康診断、人間ドックのみならず、個人クリニックのような小さな病院でも行っているので、前立腺がんの発見に貢献しています。
基本的には「頻尿」「残尿感がある」「尿の勢いが弱い」など前立腺肥大症の症状を訴えて患者が受診したときに、PSA検査を行います。しかしこの時に前立腺がんが発見されるケースが最も多いのです。
③日本人の高齢化
前立腺がんは年をとるに従って比例的に増えていきます。他のがんと比べてより高齢者に罹患率の高い病気だといえるでしょう。
このほか、「男性ホルモン」「遺伝」など多くの要因が関係していると考えられています。
以上、前立腺がんについての解説でした。