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カドサイラ(トラスツズマブエムタンシン)とは
こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。
カドサイラは、HER2陽性の乳がんに対する治療薬として2013年に承認された抗体薬物複合体(ADC)です。一般名はトラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)で、中外製薬から販売されています。
この薬剤の最大の特徴は、抗HER2抗体であるトラスツズマブと、チューブリン重合阻害薬であるエムタンシン(DM1)を結合させた構造にあります。抗体薬物複合体という新しいタイプの分子標的薬として、従来の治療法とは異なるアプローチでがん細胞を攻撃します。
カドサイラの作用メカニズム
カドサイラは、トラスツズマブとDM1という2つの異なる作用を持つ成分が結合した薬剤です。
トラスツズマブは、がん細胞の表面に過剰に発現しているHER2タンパクに特異的に結合します。HER2は細胞の増殖に関わる受容体型チロシンキナーゼで、乳がん患者さんの約20%でこのタンパクの過剰発現が認められます。
トラスツズマブがHER2に結合すると、以下の作用が働きます。
細胞内のシグナル伝達を阻害することで、がん細胞の増殖を抑制します。また、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC活性)を誘導し、免疫細胞ががん細胞を攻撃する反応を促します。
さらに重要なのは、トラスツズマブとDM1が結合した状態でHER2陽性のがん細胞内に取り込まれると、細胞内でリンカーが加水分解され、DM1が遊離する点です。
遊離したDM1は、細胞分裂に必要なチューブリンの重合を阻害することで、がん細胞の分裂を停止させ、細胞死を引き起こします。この仕組みにより、がん細胞に選択的に細胞傷害性薬剤を送達できるため、正常細胞への影響を抑えながら抗腫瘍効果を発揮します。
対象となるがんの種類と適応
カドサイラは、HER2陽性の乳がんに対して使用されます。具体的な適応は以下の通りです。
HER2陽性の手術不能または再発乳がんに対して、カドサイラは単剤で投与されます。特に、トラスツズマブとタキサン系抗がん剤による治療を受けた後に病勢が進行した患者さんが対象となります。
また、2020年8月からは、HER2陽性の乳がんにおける術後薬物療法にも適応が拡大されました。これは、術前薬物療法を受けた後、手術の結果、病理学的完全奏効(pCR)が認められなかった患者さんが対象です。
HER2タンパクの発現は、免疫組織化学染色法(IHC法)やFISH法などによって判定されます。IHC法で3+、またはIHC法で2+かつFISH法で陽性と判定された場合に、HER2過剰発現と診断されます。
カドサイラの治療効果と臨床試験データ
カドサイラの有効性は、複数の臨床試験で確認されています。
国内臨床試験での結果
日本人のHER2陽性進行・再発乳がん患者さん73例を対象とした国内第II相臨床試験(JO22997試験)では、カドサイラを3週間間隔で投与した結果、奏効率は38.4%でした。
奏効率とは、治療によってがんが縮小した患者さんの割合を示す指標です。約4割の患者さんで腫瘍の縮小効果が認められたことになります。
海外臨床試験での長期成績
タキサン系薬剤およびトラスツズマブ既治療のHER2陽性進行・再発乳がん患者さんを対象とした海外第III相試験(EMILIA試験)では、カペシタビン+ラパチニブ併用療法と比較して、カドサイラ群で無増悪生存期間と全生存期間の有意な延長が認められました。
術後薬物療法での効果
術前薬物療法後に浸潤性残存病変を有するHER2陽性早期乳がん患者さんを対象としたKATHERINE試験では、長期追跡データ(追跡期間中央値8.4年)において、カドサイラ単剤群はトラスツズマブ単剤群と比較して浸潤性病変のない生存率を改善しました。
7年間浸潤性病変のない生存率は、カドサイラ群で80.8%、トラスツズマブ群で67.1%と、13.7%の差が認められています。また、7年全生存率においても、カドサイラ群が89.1%、トラスツズマブ群が84.4%と、カドサイラ群で死亡リスクが低いことが示されました。
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カドサイラの投与方法とスケジュール
投与経路と投与量
カドサイラは点滴静注により投与されます。通常、成人には体重1kgあたり3.6mgを3週間間隔で点滴静注します。ただし、術後薬物療法の場合には、投与回数は14回までとされています。
投与は他剤と混注せず、ブドウ糖溶液と同じ点滴ラインでの同時投与も避けます。
投与時間
初回投与時は90分かけて点滴静注を行います。これは、投与時反応(インフュージョンリアクション)の発現を慎重に観察するためです。
初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分まで短縮できます。
用量調整が必要な場合
副作用の発現状況に応じて、休薬や減量が必要となる場合があります。
| 対象 | 基準 |
|---|---|
| 通常投与量 | 3.6mg/kg |
| 1段階減量 | 3.0mg/kg |
| 2段階減量 | 2.4mg/kg |
| 3段階減量 | 投与中止 |
左室駆出率(LVEF)の低下、肝機能検査値(AST・ALT)の増加、高ビリルビン血症、血小板減少症、末梢神経障害などの副作用が認められた場合には、それぞれの重症度に応じて休薬や減量を検討します。
減量後に再度増量することはありません。
カドサイラの主な副作用
重大な副作用
カドサイラの投与により、以下の重大な副作用が報告されています。
インフュージョンリアクション(発現頻度:5.4%)
呼吸困難、低血圧、喘鳴、気管支痙攣、頻脈、紅潮、悪寒、発熱などの症状が現れることがあります。これらの症状は、投与中または投与開始後24時間以内に多く報告されており、特に初回投与時に発現しやすい傾向があります。
異常が認められた場合には投与を中止し、症状が回復するまで患者さんの状態を十分に観察します。重度のインフュージョンリアクションが現れた場合には直ちに投与を中止します。
血小板減少症(発現頻度:28.0%)
血小板数の減少が高頻度で認められます。頭蓋内出血など重度の出血(0.2%)により死亡に至った例も報告されているため、注意が必要です。
投与開始前および投与中は定期的に血小板数を測定し、出血に関する症状の有無を確認します。鼻出血や歯茎からの出血、青あざができやすいなどの症状が現れた場合には、速やかに医療機関に連絡してください。
血小板減少症の程度に応じて、以下のような対応が取られます。
| 重症度 | 血小板数 | 対応 |
|---|---|---|
| Grade3 | 25,000~50,000/mm³ | 休薬後、75,000/mm³以上に回復すれば減量せず再開可能 |
| Grade4 | 25,000/mm³未満 | 休薬後、75,000/mm³以上に回復すれば1段階減量して再開 |
肝機能障害(発現頻度:28.2%)、肝不全
AST増加(23.2%)、ALT増加(18.5%)、血中ビリルビン増加(5.1%)などの肝機能障害が発現することがあります。肝機能検査値異常を伴う重度の肝機能障害や肝不全が認められ、死亡に至った例も報告されています。
投与開始前および投与中は定期的に肝機能検査を実施し、異常が認められた場合には休薬や減量を検討します。疲労感、食欲不振、黄疸などの症状が現れた場合には注意が必要です。
間質性肺疾患(発現頻度:1.3%)
呼吸困難、咳嗽、疲労、肺浸潤、急性呼吸窮迫症候群などの症状を伴う肺臓炎または間質性肺炎が発現することがあり、死亡に至った例も報告されています。
初期症状の確認および胸部X線検査の実施など、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与中止などの適切な処置を行います。
心障害(発現頻度:2.4%)
左室駆出率(LVEF)の低下、うっ血性心不全などの心障害が現れることがあり、重度の心障害に至った例も報告されています。
投与開始前には患者さんの心機能を確認し、投与中は心症状の発現状況や重症度に応じて適宜心機能検査(心エコーなど)を実施します。
末梢神経障害(発現頻度:13.8%)
手足のしびれ、痛み、脱力感などの末梢神経障害が発現することがあります。Grade3以上の重度の症状が現れた場合には休薬し、Grade2以下に回復後、減量せず再開可能です。
過敏症(発現頻度:1.7%)
アナフィラキシーなどの重度の過敏症が現れることがあります。
その他の注意が必要な副作用
国内臨床試験では、副作用が91.8%の患者さんに認められました。主な副作用として、倦怠感(43.8%)、鼻出血(41.1%)、悪心(39.7%)、発熱(31.5%)、食欲減退(28.8%)などが報告されています。
これらの副作用は、適切な支持療法や対症療法により管理可能な場合が多いですが、症状が持続する場合や悪化する場合には医療機関に相談してください。
慎重投与が必要な患者さん
以下のような状態にある患者さんには、慎重に投与する必要があります。
安静時呼吸困難などの症候性肺疾患のある方、左室駆出率が低下している方、アントラサイクリン系薬剤の治療歴がある方、胸部放射線照射中(または治療歴を含む)の方、うっ血性心不全または治療を要する重篤な不整脈(既往を含む)がある方などが該当します。
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カドサイラの費用と保険適用
薬価
カドサイラの薬価(2025年時点)は以下の通りです。
| 製品名 | 規格 | 薬価 |
|---|---|---|
| カドサイラ点滴静注用100mg | 100mg 1瓶 | 235,820円 |
| カドサイラ点滴静注用160mg | 160mg 1瓶 | 377,312円 |
体重50kgの患者さんの場合、1回の投与量は3.6mg/kg×50kg=180mgとなります。160mg製剤1瓶と100mg製剤の一部を使用することになり、1回あたりの薬剤費は約40万円程度となります。
これを3週間間隔で投与するため、1か月あたりの薬剤費は約60~70万円と高額になります。
保険適用と自己負担額
カドサイラは保険適用となる薬剤です。医療費の自己負担は、加入している健康保険の種類や年齢によって異なりますが、一般的には3割負担となります。
ただし、医療費が高額になる場合には、高額療養費制度を利用することで、自己負担額を軽減できます。
高額療養費制度の活用
高額療養費制度とは、同一月(月の1日から末日まで)に支払った医療費が一定額(自己負担限度額)を超えた場合、その超えた金額が払い戻される制度です。
自己負担限度額は、年齢や所得によって異なります。70歳未満の方の場合、以下のような区分があります。
| 所得区分 | 自己負担限度額(月額) | 多数回該当 |
|---|---|---|
| 年収約1,160万円以上 | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% | 140,100円 |
| 年収約770~約1,160万円 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% | 93,000円 |
| 年収約370~約770万円 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 44,400円 |
| 年収約370万円以下 | 57,600円 | 44,400円 |
| 住民税非課税世帯 | 35,400円 | 24,600円 |
多数回該当とは、過去12か月間に3回以上高額療養費の支給を受けた場合、4回目以降の自己負担限度額がさらに軽減される仕組みです。
限度額適用認定証の活用
医療費が高額になることがあらかじめわかっている場合には、「限度額適用認定証」を事前に取得することをお勧めします。
限度額適用認定証を医療機関の窓口に提示すると、支払額そのものを自己負担限度額までとすることができます。一時的に高額な費用を立て替える必要がなくなり、後で払い戻しの申請をする手間も省けます。
限度額適用認定証は、加入している健康保険(協会けんぽ、健康保険組合、国民健康保険など)に申請することで取得できます。
また、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる医療機関では、オンライン資格確認により、限度額適用認定証の提示なしで自動的に自己負担限度額までの支払いとなる仕組みも導入されています。
カドサイラ投与時の注意点
他剤との取り違えに注意
カドサイラは、トラスツズマブ(ハーセプチン)やトラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)と一般名が類似しているため、取り違えに注意が必要です。
海外では、トラスツズマブとの取り違えによる過量投与が報告されています。過量投与の主な症状は血小板減少症であり、死亡例も報告されています。
処方や調剤の際には、製品名および用法・用量を十分に確認する必要があります。
妊娠・授乳中の使用
カドサイラは、妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与できません。胎児への影響が報告されているためです。
妊娠可能な女性には、投与中および投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導されます。
また、授乳中の使用についても、治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続または中止を検討する必要があります。
日常生活への影響
カドサイラ投与中は、定期的な血液検査や画像検査が必要となります。通院スケジュールを確認し、検査を受けることが重要です。
倦怠感や悪心などの副作用が現れた場合には、無理をせず休息を取るようにしてください。食欲不振がある場合には、少量ずつ頻回に食事を摂る、好きな食べ物を選ぶなどの工夫が有効です。
血小板減少に伴う出血傾向がある場合には、転倒や打撲に注意し、歯磨きの際には柔らかい歯ブラシを使用するなどの配慮が必要です。
治療を受ける医療機関の選択
カドサイラを含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師のもとで実施されます。
治療開始に先立ち、医師から有効性と危険性について十分な説明を受け、同意したうえで投与を受けることになります。
HER2陽性乳がんの治療については、乳腺専門医や腫瘍内科医が在籍する医療機関での治療が推奨されます。がん診療連携拠点病院などでは、多職種による包括的なサポート体制が整っていることが多いです。
また、治療方針に迷う場合や、より詳しい説明を希望する場合には、セカンドオピニオンを受けることも一つの選択肢です。がん相談支援センターなどで相談することもできます。
カドサイラと他の治療法の位置づけ
HER2陽性乳がんの治療では、複数の抗HER2療法薬が使用可能です。
トラスツズマブ(ハーセプチン)は、HER2陽性乳がんの標準治療として長く使用されてきました。通常は化学療法薬と併用して使用されます。
カドサイラは、トラスツズマブと化学療法薬を受けた後に病勢が進行した場合の選択肢として、また術前療法後に残存病変がある場合の術後療法として位置づけられています。
近年では、トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)など、より新しい抗体薬物複合体も登場しており、治療の選択肢が広がっています。
個々の病状、治療歴、全身状態などを総合的に評価し、最適な治療法を選択することが重要です。
参考文献・出典情報
カドサイラ点滴静注用100mgの基本情報(日経メディカル処方薬事典)
カドサイラ(トラスツズマブ エムタンシン)|がん情報サイト「オンコロ」
医療費の負担を軽くする公的制度|国立がん研究センター がん情報サービス
高額療養費制度とは?~治療費の支援制度|がんを学ぶ|ファイザー
Q13 乳がん治療に際して受けられる経済面や生活面での支援制度はありますか|患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版

