前立腺がんが進行したときは、痛みを伴うことが多くあります。
骨転移していれば、骨や脊椎の圧迫などで、強い痛みを伴います。リンパ節に転移している場合も、転移がんが神経を圧迫していれば痛みが出る可能性があります。
前立腺に限らず、がんの末期になると、ほとんどの人が中等度~高度の痛みを感じます。特に再発時は、がんがある程度広がっていることが多く、痛みを伴うことが少なくありません。
痛みが1日中続くと、十分な睡眠がとれなかったり、食欲も低下、ストレスによって免疫力も落ちるなど、がんに立ち向かう体力や気力を消失させることがあります。生活の質は著しく低下してしまいます。
WHOが推奨する3段階方式で痛みを抑制
がんの痛みをとる治療は、ある程度確立されています。がまんせず、医師にどこが痛いのか、どのように痛いのかなど具体的に伝えましょう。
対処法は、WHO(世界保健機関)により、痛みの強さに応じて3段階で行うように示されています(3段階除痛ラダー)。
各段階で使用される薬は決まっており、段階が上がるにしたがって、強い薬を組み合わせます。この方法で8~9割の患者さんは、痛みをとり除くことができます。第2~3段階になると、モルヒネなどに代表される「医療用麻薬(オピオイド鎮痛薬)」が使われます。
医療用麻薬とは、法律で医療用に使用が許可されている麻薬のことです。医師の管理のもとに使用すれば、麻薬中毒や依存症になることはありません。
また、モルヒネには、極量(使用の上限量)がありません。適宜、量を増やしていくことができるので、将来、薬が増量できずに痛みがとれなくなるということはありません。
しびれを伴うような「神経障害性疼痛」に有効な薬が処方されることもあります。痛みの治療は進んでいるので、あきらめずに主治医に相談しましょう。
3段階除痛ラダー
第1段階では、医療用麻薬ではなく、非オピオイド鎮痛薬などが処方され、NSAIDs(非ステロイド消炎鎮痛薬)が多く使われます。第1段階の薬に弱いオピオイド鎮痛薬を追加するのが第2段階。第1段階の薬に強いオピオイド鎮痛薬を追加するのが第3段階です。
主治医に痛みを伝えるときは、こんな言葉で
・痛みの強さ
強い、中くらい、軽い
・痛みの経過や性質
いつから、どの部位に
どんな性質(うずく、だるい、押さえつけられる、刺すような、ズキズキ、しびれる、キリキリ、ビリビリ、チクチクなど)
持続しているか、ときどきか
どんなときに悪化するか、軽くなるか
・痛みの影響
眠れない、食欲がわかない、不安になる、イライラするなど
・痛み止めの副作用
吐きけがした、便秘、眠け、胃の痛みなど
以上、前立腺がんの痛みについての解説でした。