前立腺がんに限らず、がんのように治療がむずかしく、治療の選択肢がいろいろある病気にかかれば、不安感がつのるものです。
主治医の診断、治療方針、説明などを受けたあと、それらに納得できなかったり、あるいは納得できたとしても、ほかの医師の意見を聞きたいと思う人は多いです。
そんなとき、別の医師に「第二の意見」を聞き、自分の判断の参考にするのがセカンドオピニオンです。
セカンドオピニオンでは、検査や診察はせず、患者さんが持参した情報だけで主治医以外の医師が第三者としての意見を述べます。受ける前に、現在の病状、これまでの経過、治療方針などを記した紹介状(診療情報提供書)を主治医に書いてもらいましょう。
通常は、画像診断(CT、MRI)などのデータや検査結果のコピーも持参します。最近では、情報を記録したDVDを渡されることもあります。
前立腺がんについて事前に勉強しておく
セカンドオピニオンを聞くときは、事前に主治医とよく話し合っておくことがたいせつです。また、患者さんや家族が、前立腺がんの診断法や治療法について、ある程度の知識を得たうえで臨むようにしましょう。
「診断が正しいか聞きたい」「自分の年齢で、この治療法は適切か知りたい」など、できれば具体的な質問ができればベターです。
セカンドオピニオンを聞いたあとは、もう1度、元の病院の主治医と相談して治療を検討します。主治医と同じ意見を提示されて、安心・納得して主治医のもとで治療を始めることもよくあります。セカンドオピニオンを聞くことは、転院することが前提ではなく、納得して治療を受けるための一段階です。
がんの冶療をしている病院では「セカンドオピニオン外来」を設置しているところが増えています。がん診療連携拠点病院に併設されている相談支援センターに問い合わせるのもいいでしょう。
セカンドオピニオンの料金は医療機関によって異なりますが、時間制料金のところが多くなっています。事前に確認しておくとよいでしょう。
前立腺がんのセカンドオピニオンに必要な資料
必要な資料は、病院によって違います。どのような資料をそろえるのか、セカンドオピニオンを受ける病院に事前に確認しておきましょう。次のものは、最低限必要と思われます。
・診断の経緯や治療方針などをくわしく記載した主治医の紹介状(診療情報提供書)
・診断の根拠となったCT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像撮影)などの画像情報
主治医からデータをもらうことは大切
ときどき、セカンドオピニオンを受けることに後ろめたさを感じて、主治医に内緒で受けてしまう人がいます。そのような場合、患者さんが持参するのはグリソンスコアなどを自分で書いたメモだけということもあります。それでは、セカンドオピニオンを担当する医師は、正確な意見を述べることはできません。
セカンドオピニオンは近年医療現場に浸透しているので、主治医も慣れています。紹介状(診療情報提供書)と必要なデータの提供を主治医に依頼しましょう。セカンドオピニオン用の診療情報提供書の作成は健康保険が適応されます。
以上、前立腺がんのセカンドオピニオンについての解説でした。