前立腺がんは、病期や悪性度、年齢や基礎疾患(持病)の有無などによって、治療方針が患者さんそれぞれで異なります。十分な情報を得たうえで、治療法を決めなければなりません。
医師には、患者さんに診断や病状とそれに必要な治療法、その効果や副作用をわかりやすく説明する義務がありますし、納得してもらってから治療を始めなければなりません。
以前は、すべて医師にまかせる「おまかせ医療」の時代がありました。しかし、病院や治療法の選択肢が広がったことで、患者自身が勉強して医療情報を蓄積する傾向が強くなると、従来の「おまかせ医療」では患者さんも納得しなくなりました。
治療にあたって、医師は患者さんから生活の様子、仕事の内容や状況などを聞き、年齢や体力、病歴などを考慮したうえで、治療法を提案します。
病期や患者さんの状態によっては、治療の選択肢が1つしかない場合もあります。しかし、通常はいくつかの選択肢があり、患者さんは医師や家族と相談したうえで、最もよいと思う治療法を選ぶことが大切です。
信頼できる人といっしょに医師の話を聞く
医師に「前立腺がんです」と言われると、頭が真っ白になってしまう人も少なくありません。ですから、家族やパートナーなど、信頼できる人といっしょに説明を受けるようにしましょう。
しかし時に配偶者は、夫ががんと聞いて取り乱すことがあるので、子どもも同席するのが理想的です。グリソンスコアなど大事なことは、家族のだれかがメモしましょう。わからないことは、納得いくまで質問することも重要です。
最近では診断結果を書面にして渡してくれる病院も増えていますが、同席した人の1人でも冷静に医師の説明を聞き、後日「そんな話は聞いていない」という事態にならないように心がけましょう。
主治医に確認すべきこと
・今の体の状態や検査結果について
・どのくらい進行しているか、病期は?悪性度は?
・どのような治療の選択があるか
・治療法により成績が違うか
・治療の副作用や後遺症について
・治る確率は?
・治療後の生活は治療前と同じに戻るか
・予想される再発率や生存率は?
以上、前立腺がんの診断についての解説でした。