前立腺がんは、血液中の腫瘍マーカーを調べることで、比較的早期に見つけることができます。腫瘍マーカーとは、体内に腫瘍(がんを含む)が発生したときに、腫瘍の細胞組織が血液中に放出するタンパク質などのことです。
健康な人でもわずかに出ていますが、特定の腫瘍ができると増加するため、がんの有無や進行度などの推測、治療法の効果の判定、がんの再発を発見する目安となるのです。
前立腺がんの場合は、血液中の「PSA」という腫瘍マーカーの数値(濃度)が高くなります。PSAとは、Prostate Specitic Antigen(プロステート・スペシフィック・アンティジェン)の略で、日本語では「前立腺特異抗原」といいます。
PSAは、前立腺上皮から分泌されるタンパク分解酵素で、正常であれば精液中に分泌されます。しかし、前立腺がんにかかるとPSAが血液中に混じるようになるのです。PSA値が高いほど前立腺がんの可能性が高まり、がんが発見されたときの進行度も高くなります。
一般に、1mlの血液中に含まれるPSAは4.0ng以下が基準値と設定されていて、前立腺がんの人の90%はこれより高い値を示します。ただし、PSA値が高いからといって、必ず前立腺がんと診断されるわけではありません。
年齢が上がるだけでも数値は高くなるし、前立腺の病気である前立腺肥大症や前立腺炎、尿閉(尿がまったく出なくなる)が起こったときでも上昇します。前立腺がんであるかどうかの判定は、生検など、ほかの精密検査と組み合わせて総合的に判断します。
一般検診や人間ドックで活用されている検査法
前立腺がんは、初期にはほとんど自覚症状がありませんが、がん細胞があると、症状がなくてもPSA値が上昇します。そのためPSA検査は、初期の段階から前立腺がんの可能性をチェックできる検査法です。
以上、前立腺がんの検査についての解説でした。
がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。
納得できる判断をするためには正しい知識が必要です。