子宮体がんのうち、タイプ1のホルモン依存性のがんでは、端的にエストロゲンなどの女性ホルモンの絶対値(曝露量・ばくろりょう ともいいます)が、高いことがリスクになります。
メタボリック症候群もリスクですが、これは脂肪組織でエストロゲンが産生されることによります。その意味で、肥満の原因となる、糖尿病や運動不足などの生活習慣、動物性脂肪の多い食事内容などもリスクを高めます。
そのほかの要因としては、特定の病気、特定の家系(稀です)、服用している薬品なども含まれます。特に「胎盤エキス」にはエストロゲンが豊富に含まれているものもあり、注意が必要です。
子宮体がんの前触れとなる可能性がある病気
子宮内膜増殖症や子宮内膜異型増殖症は、その一部が子宮体がんになると考えられています。
エストロゲン曝露が多くなる要因
妊娠・出産未経験または少ない、不妊症(無排卵周期症など)、生理不順、閉経した人、閉経が遅い人などエストロゲンが過剰な状態が続くことや、肥満、高血圧、糖尿病などの生活習慣病や脂肪やコレステロールの多い食生活もリスクになります。
閉経後でも脂肪細胞でエストロゲンがつくられているので、動物性脂肪のとりすぎは要注意です。
特定の病気
エストロゲン産生腫瘍・・・粒膜細胞腫などや多嚢胞性卵巣症候群(排卵が起きない)
家族や近親等の女性に大腸がん、子宮体がんや乳がんの人がいる
子宮体がんの多い家系の統計的調査が進み、色々なことが分かってきています。家族など近親女性に、子宮体がんのほか乳がんの既往者がいると、子宮体がんの確率は高くなります。
乳がんは子宮体がんとは関係の深いがんです。リンチ症候群は、DNAミスマッチ修復関連遺伝子の異常が原因とされています。生涯のがん発症率は、大腸がんが最も高く、女性では30~52%、子宮体がんが28~60%、卵巣がんが6~7%といわれています。
その他、胃がんも多いといわれています。該当者は定期的に、子宮体がんの検査を受けたほうがいいでしょう。なお、こうした家系に特有な遺伝子もある程度解明されていて、遺伝子診療科がある病院などで検査することができます。ただし検査には保険がきかないので、私費となります。
服用している薬
・エストロゲン製剤の長期摂取
・乳がん治療薬のタモキシフェンの摂取(エストロゲンと同じ効果)
・ホルモン補充療法でのホルモン剤(多少のリスクに)
これらはタイプ1の子宮体がんのリスク要因です。タイプ2のホルモン非依存性がんのリスク要因は、実証性のある研究・調査では、まだ解明されていません。タイプ2は比較的高齢者に多いので、老化が間接的に何らかのリスクを誘引すると考えられています。
以上、子宮体がんの要因についての解説でした。
がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。
納得できる判断をするためには正しい知識が必要です。