卵巣にできる腫瘍のうち85%は良性ですが、のこりが悪性(がん)です。
卵巣がんは、卵巣の表面の細胞にできる上皮性がんが90%を占め、次に卵子を作る細胞にできる胚細胞性がんが多くなります。その他、卵子のまわりの細胞から発生する性索(せいさく)間質性腫瘍や胃がん、大腸がん、乳がんなどから卵巣に転移した転移性卵巣がんもあります。
卵巣がんは、初期にはほとんど症状がなく、医師が検診や他の病気の診察などで、たまたま発見したというケースがほとんどです。以下のような症状は、かなり進行してから出ることが多くなります。症状の中で、卵巣がんだけに固有で、それとすぐ判断できるものはあまりありません。
腹部の膨満感、その他卵巣がんを疑う症状
進行して卵巣がんの塊が大きくなると、お腹がはったり、腫れたり、しこりや痛みを感じます。今までのスカートやズボンなどが入らなくなったりしますが、自分では太ったと錯覚する人もいます。なかには腹水(お腹の中に水)が溜まったせいで20kgも体重が増えたのに、肥満と思い放置していた人もいるそうです。
また膀胱や腸が圧迫されて、排尿困難、頻尿、便秘などが起きます。ほかに吐き気や嘔吐、食欲減退などの症状も出ます。
腹水と胸水
腹膜に転移すると、播種(はしゅ)転移(作物の種子を播いたような状態で転移すること)となって点状に広がります。腹水は播種転移で多くなり、腹部が膨満します。また横隔膜や胸腔内に転移すると、胸水が溜まります。
以上、卵巣がんについての解説でした。
がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。
納得できる判断をするためには正しい知識が必要です。