子宮がんや卵巣がんで、リンパ節を切除する手術や放射線治療を行うと、リンパ管やリンパ節がダメージを受けて、足から心臓に戻るリンパ液の流れに障害が起きやすくなります。
リンパ管はひと言で言うと、体の老廃物を運ぶ「排水管」の役割を果たしています。このリンパ管の働きが障害されると、皮膚組織に体液がたまり、むくみが起こります。これが下肢の「リンパ浮腫」です。
リンパ浮腫は、生命にはかかわりませんが、放置しておくと日常生活に著しく支障をきたしたり、細菌感染などによる合併症の危険があります。
痛みのないむくみがリンパ浮腫の症状
リンパ浮腫の主な症状はむくみです。子宮がんや卵巣がんなどの手術でリンパ節が切除または破壊された場合は、切除された側の脚だけが健康な側よりやや白っぽくむくんできます。
多くの場合、痛みはありませんが、感覚が鈍ったような違和感、重くだるい感じなどの不快感や苦痛を伴います。また、外見の変化に強いストレスを感じて、うつ状態になる場合もあります。
油断大敵なリンパ浮腫
リンパ浮腫の初期の症状はむくみが主なものです。痛みやかゆみなどがないので、靴が履きにくくなったり、靴下のゴムの跡が皮膚に残ったりして気がつくまで、自分で気がつかないことが多いのです。
早めに対処すればひくこともありますが、放置すると数日で急激に進むこともあります。油断がいちばんの大敵なので、脚の状態を1日1度チェックしましょう。
リンパ浮腫の重症度分類
・ステージ0~Ⅰ
手術の直後で、わずかに浮腫を感じるが、ひと晩寝ると翌朝に消える
・ステージⅡ
むくんでいる部分を押すと、凹んだまま戻らない。晩期には皮膚が硬くなることがある
・ステージⅢ
皮膚が硬くなり変形し、象皮病とも呼ばれるイボなどの合併症を発症することがある
■リンパ浮腫の広がり方
①浮腫は初期には鼠径周辺、とくに太もも内側、下腹、外陰、太もも外側に見られる
②下方に向かい、太もも(とくにひざ上内側)に目立つようになる
③さらに下方に向かい、ふくらはぎが腫れる
④最終的に足首、足部に及ぶ
以上、リンパ浮腫についての解説でした。