子宮がんの手術で行う、広汎子宮全摘出術の後遺症として多く見られるのが、排尿障害です。
手術によって膀胱につながる神経の一部が傷つくために起こります。また、術後に放射線療法を行った場合、膀胱や周囲の組織がダメージを受けることも症状を重くする原因になります。
手術後の入院期間中には、排尿の練習(膀胱訓練)も行います。排尿障害は時間とともに改善されていくことが多いのですが、回復の時期や度合いには個人差があります。
骨盤底筋をきたえる体操
排尿障害の症状には、尿意がなくなる・弱まる、尿を出しきれない、残尿感、頻尿、尿もれなどがあります。排尿障害があると日常生活の快適さが損なわれるだけでなく、細菌感染を起こしやすくなるため、膀胱炎などのリスクも高まります。
尿が出にくい場合は時間を決めてトイレに行く、尿もれがある場合は専用のパッドを使う、といった生活上の工夫も必要です。尿漏れの改善には骨盤底筋をきたえる体操も有効とされています。
自己導尿を行うことも
ある程度時間がたっても排尿がうまくいかないときは、尿道にカテーテルを入れる「自己導尿」が必要になることもあります。自己導尿は、主治医や泌尿器科の医師の指導を受けて行います。
尿路感染症を防ぐため、器具は常に清潔に保ち、器具を扱う際はきちんと手を洗いましょう。尿路感染症は、抗生物質による治療が必要です。高熱が出る、排尿時に痛みがある、尿がにごるなどの症状が出たときは、すぐに受診しましょう。