卵巣がんの場合、事前に細胞をとって検査をすることができないため、がんのタイプや進行度が確定するのは手術後になります。
卵巣がんの治療は手術療法が基本。両側の卵巣、卵管と子宮の摘出、大綱(胃から垂れ下がっている網状の組織)の切除、後腹膜リンパ節郭清(または検査用に組織を採取)を行います。転移が起こっている場合は、腸管や脾臓も切除が提案されることがあります。
もっとも初期のステージⅠa期で年齢が若く(40歳以下)、妊娠を希望している場合は、片側の卵巣と卵管、子宮を残すことも可能です。
再発予防や治療のために化学療法を併用
ステージⅠb期以降は、手術に加えて化学療法を行うのが標準です。Ⅲ期以降では、抗がん剤が効くタイプのがんの場合、化学療法でがんを小さくしてから手術を行うこともあります。
卵巣がんの90%は上皮性・間質性腫瘍ですが、これらはさらに細かい組織型に分かれており、薬への反応が異なります。そのため、手術後の検査で組織型を確定してから化学療法の計画が立てられます。
卵巣かんの転移のしかた
転移の有無は、がんの進行度を見極める際の大切なポイント。卵巣がんの転移は、おもに3つの経路で起こります。
1つめが「直接浸潤」。がんの卵巣の表面まで浸潤し、卵管や子宮などに広がっていくものです。2つめが「播種」。卵巣の表面まで浸潤したがんが副腔内にこぼれ、腹膜などに転移します。3つめが「リンパ行性」。がんがリンパ管に入り込んでリンパ節で増殖し、全身に広がっていきます。
卵巣がんの進行期
・Ⅰa期:がんが片側の卵巣だけにとどまっている
・Ⅰb期:がんが両側の卵巣だけにとどまっている
・Ⅰc期:がんが片側または両側の卵巣にあり、がんが卵巣の表面に出てきている。または腹水などにがんが見られる
・Ⅱa期:がんが子宮または卵管に広がっている
・Ⅱb期:がんが、骨盤内にあるその他の臓器に広がっている
・Ⅱc期:がんが子宮、卵巣、その他の骨盤内臓器などに広がっており、腹水などにがんが見られる
・Ⅲa期:顕微鏡で調べると、がんが骨盤外の腹膜に広がっている
・Ⅲb期:肉眼で、直径2cm以下のがんが骨盤外の腹膜に広がっていることを確認できる
・Ⅲc期:直径2cm以上のがんが骨盤外に広がっている。後腹膜や足の付け根のリンパ節などにも転移がある
・Ⅳ期:がんが遠くの臓器、または肝臓に転移している
以上、卵巣がんの治療についての解説でした。
ステージ3、4と進行してくると、病院でできる治療法の選択肢は少なくなります。しかし、病院で受ける治療法は、がんと闘うための手段の一部にすぎません。
卵巣がんを克服するためには、病院での治療より重要なことがあります。