大腸がんなど一部のがんでは転移(遠隔再発)したとしても、転移臓器の切除など積極的な手術を選択する場合があります。
しかし、膵臓がんの場合、再発は局所(手術部位)や肝臓、腹膜などに重複して起こることがほとんどであるため、再手術ができる人は極めて少ないといえます。多くの場合、化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療を受けることになります。
膵臓がん再発の症状は?
膵臓がん再発の初期症状はほとんどないか、あるいはほとんど気にならない程度のものです。多くの場合、定期的に行うCT検査などで再発が発覚します。逆に言えば、はっきりとした症状が出現するようなときは、多くの場合でかなり深刻な状況といえます。
症状も再発の部位によってさまざまです。肝転移による黄疸や腹痛、骨転移による痛み、局所(手術部位)再発による背部痛などの痛み、腹膜転移による腹痛や腹部膨満感、腸閉塞症状(嘔気や嘔吐、おならが出ないなど)といった具合です。また、食欲不振や全身倦怠感、体重減少、痩せなどはよく見られる症状です。
代替医療に再発治療の効果はあるのか
代替医療には、漢方療法、中国医学(鍼灸、指圧、気功)などの伝統医学や、種々の免疫療法、精神・心理療法、温泉療法、ビタミン療法などがあります。これらは、その効果が科学的に実証されていません。
・免疫療法
「免疫療法」とは、人間の本来持つ自然治癒力を強化して、病気を治療するという治療法です。人間には、本来からだに備わっている免疫細胞という細胞が、日々がん細胞を排除してくれています。
免疫療法とは、その免疫細胞を人為的に大幅に強めて、この力のバランスを免疫細胞のほうに傾けてやる方法です。しかし理論とは裏腹に免疫療法の効果が挙がっているかというとそこまでのレベルではないのが現実です。
効果が実証できない=保険診療では認められていないため、数百万円単位での治療費が実費となる場合も少なくないようです。免疫療法と称して高額な治療費をとる施設もあり、注意が必要だといえます。
膵臓がん手術後の定期的検査の必要性
外科治療によってがんを切除しても、再発の危険性がゼロになったわけではなく、むしろ高率に再発してしまうのが膵臓がんの現実です。
そのため再発の早期発見のための定期的な検査の大切さが重要視されています。膵臓がん再発の初期症状はほとんどなく、はっきりとした症状が出現するようなときは、多くの場合でかなり深刻な状況であることが理由です。
一般的には術後3~4か月に1回、診察や血液検査と必要に応じて超音波検査、CT、MRIの画像検査などが行われます。診察では、貧血や黄疸の有無、体重の変動、腹部の張りやしこりの有無などに注目します。
血液検査では、主に栄養状態や貧血の有無、腫瘍マーカー(CA19-9やCEAなど)を調べます。腫瘍マーカーが高値(異常値)でも、必ずしも再発が生じたというわけではありません。腫瘍マーカーの相対的変動に注目していきます。
以上、膵臓がんの再発についての解説でした。