膵臓がんは、初期にはほとんど自覚症状がなく、しかも、がんの進行が早いために、早期発見が非常に難しいという特徴があります。
また、膵臓自体が薄くて小さいため、がんが膵臓外に出やすく、周囲のリンパ節や他臓器に転移しやすいという特徴もあります。
そのため、膵臓がんが発見された段階ではすでに進行していることが多く、摘出手術が行えない例が多々あります。実際、膵臓がんと診断されて手術ができる人は20~40%のみというのが現状です。
膵臓がんの約80%はステージⅣ期の最も進んだ状態で見つかり、ステージⅠ期で診断されるのは2%にも満たないのが現状です(日本膵臓学会膵癌登録20年総括)。さらに、ステージⅠ期の状態で診断されてもその治療成績はよくありません。
日本膵臓学会の「膵癌登録過去20年間の膵臓がんの治療成績(5年生存率)」をステージ別に示すと、ステージⅠ期:57%、ステージⅡ期:44%、ステージⅢ期:24%、ステージⅣa期:11%、ステージⅣb期:3%となっています。
がんが膵管上皮に限局している場合(ステージ0期)は、5年生存率は、ほぼ100%期待できますが、このような状態で見つかるのはとても稀なケースです。
以上、膵臓がんの5年生存率についての解説でした。
がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。
納得できる判断をするためには正しい知識が必要です。