腎臓がんの治療は、手術が基本です。腎臓は2つあるため、がんを患っていない側の腎臓が健全であれば、1つをとってもすぐに腎臓の機能が失われるわけではありません。
また部分的な切除によっても、他の箇所からまた再発するといったこともあまり多くありません。
そのため腎臓にがんが留まり、かつ大きさがあまり大きくなければ、まず腎細胞がんの治療は手術して取るというのが医療現場での大原則となります。
しかし、進行度がT3以上になると、手術しても予後不良となります。これは、この時点で、がんが他の部位に転移していることを意味します。
抗がん剤が効きにくいため、手術以外の選択肢があまり多くないということもありますが、ある程度ステージが進んでも手術を提案されることがあります。肺などの他の臓器に転移があっても、腎臓を摘出することがあります。
腎臓がんには免疫に関する治療法が有効
腎臓がんは、抗がん剤や放射線治療が効かないという性質があるため、これまで抗がん剤などを使った化学療法は積極的に行なわれてこなかったのですが、その代わり、免疫を活性化させる治療法が効果を示すという大きな特徴がありました。
特に行われているのはサイトカイン療法という免疫細胞を活性化させるインターフェロンやインターロイキン2を定期的に注射する方法です。この療法が転移以後の標準的な治療法として長く勧められてきました。
また、近年では、遺伝子に関連する免疫療法も研究されています。患者さん自身のがん細胞からワクチンを作って身体に戻し、がん細胞を攻撃させるというものですが、残念ながらこれは、まだ正確な臨床試験の証明ができておらず、一般に使用される治療法とはいえない段階です。
腎臓がんに対する分子標的薬
進行した腎細胞がんの治療の状況を大きく変えつつあるのが分子標的薬の登場です。
分子標的薬は2010年前後から急激に発展してきました。なぜ腎細胞がんが成長するのかという遺伝子レベル、分子レベルでの解明が進み、「がんの成長に関与するこの部分を抑えたらいいだろう」といったピンポイントの治療法が生まれてきています。
ただこういった新しい薬が出てきてはいるのですが、効果という点では、飛躍的とまではいえません。
以上、膀胱がんの治療法についての解説でした