子宮頸がんの薬物療法の軸は、プラチナ製剤のシスプラチンです。
シスプラチンは抗がん剤でも強力な部類に入る薬で、効果が高い一方、吐き気やおう吐をはじめ、腎機能障害、骨髄抑制などさまざまな副作用が出やすく、症状も強いという難点があります。したがって、シスプラチンを用いる場合は入院治療で行うのが一般的です。
子宮頸がんでは、シスプラチンを単独で用いる場合と併用する場合があります。併用薬には多くの場合、パクリタキセル、フルオロウラシル、イリノテカンなどが選ばれます。
組み合わせる抗がん剤として最も有効とされているのは、パクリタキセルです。比較的副作用が少なく、QOLがさほど低下しないことから、シスプラチンとパクリタキセルを併用する「TP療法」が世界的に推奨されています。
シスプラチンの代わりにカルボプラチンを併用する「TC療法」も臨床試験の結果、標準治療になりました。このほかに、イリノテカンを併用する「CPT-P療法」も一部の施設では行われています。
転移・再発がんでも手術や放射線療法で病巣が抑えられるなら、それらの治療をします。それが難しい場合で全身状態が悪くないときは全身化学療法が行われます。その場合、シスプラチンを含む2剤併用療法か単剤での治療となります。
最近では内服薬のS-1も子宮頸がんに過応が拡大されて使えるようになり、少しずつですが選択肢の幅が広がっています。
同時化学放射線療法で使う抗がん剤も、シスプラチンが標準治療になっています。通常量より少ない量を用いるので、副作用は比較的軽くてすみます。
パクリタキセルについては、日本では長らく健康保険の適用となっておらず、使うことができませんでしたが、TPUSTU比較試験の結果をふまえ、標準治療と位置付けられました。シスプラチンの代わりに、同じプラチナ製剤のカルボプラチンやネダプラチンが使われることもあります。
子宮頸がんによく使われる薬
<抗がん剤>
・プラチナ製剤
シスプラチン(CDDP):製品名ブリプラチン、ランダ
カルボプラチン(CBDCA):製品名パラプラチン
ネダプラチン(NDP):製品名アクプラ
・代謝拮抗薬
フルオロウラシル(5-FU):製品名5-FU
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(S-1):製品名ティーエスワン
・植物アルカロイド
イリノテカン(CPT-11):製品名カンプト、トポテシン
パクリタキセル(PAC):製品名タキソール
以上、子宮頸がんの抗がん剤治療についての解説でした。