精巣がんが見つかったら、まずセミノーマか非セミノーマかを判定することが重要です。
というのも、セミノーマは化学療法と放射線治療のいずれでも治療効果を期待できますが、非セミノーマには放射線治療が有効ではなく、治療法が限られるからです。精巣がんは非常に速く増殖し、転移します。
そこで、精巣がんが発見されたら、ただちに精巣を摘出します。このとき、まず(陰嚢ではなく)鼠径部を切開して、精巣に通じるすべての血管をしばっておき、精巣からがんが転移しないように予備処置を施しておきます。
転移がまったくなければ、がん病巣を摘出するだけの場合もあります。このがんは精巣の摘出によって根治する可能性が高く、5年生存率は95パーセント以上です。
また他の組織へ転移している場合でも、精巣がんからの転移がんは、プラチナ製剤の「シスプラチン」という抗がん剤にとてもよく反応し、この抗がん剤を中心とする化学療法だけで80パーセントが目に見えない状態までになるとされています。
転移が広範囲のときには治癒率は低下するものの、それでも、さまざまながんの中では治療の成功率は高いがんです。ただし、精巣がんの外科治療では生殖能力が失われることが多いので、将来子どもがほしいときは事前に医師と十分に話し合っておく必要があります。
以上、精巣がんについての解説でした。