透析を受けている人は高頻度に腎臓がんを発症することが分かっています(透析腎臓がん)。
透析腎臓がんは比較的若年で発症し、男性が約80%を占めます。透析腎臓がんは透析期間と密接な関係があり、長期透析例では、後天性嚢胞性腎疾患(ACDK)にともなって発症する例が多いことが分かっています。
診断には超音波検査など定期的な画像検査が行われます。検査は一定期間で行われるため無症状で早期に発見される症例が比較的多いのが特徴です。
透析腎臓がんに対しては根治的腎摘除術(全摘出)が標準的治療で、最近では腹腔鏡手術が積極的に行われています。早期に発見できれば治療例の予後は悪くありません。
日本では透析を受けている人の2~3%に腎臓がんを発症するとされており、透析患者数の増加に伴い、腎臓がん症例も増加しています。なお「透析腎臓がん」については明確な定義はなく、透析患者に発症する腎臓がんすべてを総称することが一般的です。
透析腎臓がんの治療法
腎臓がんに対する唯一の根治的な治療は手術治療であり、透析患者においてもこの条件は同じです。透析を受けている人が腎臓がんと診断された場合は全摘出手術が第一選択肢となります。
長期に渡って透析を受けている人は組織が脆弱であり、動脈硬化も強いため止血に十分注意しなければなりません。術後の合併症として、後腹膜血腫、消化管合併症に注意する必要があります。そのほか、両側腎摘除術のリスクがあるため、可能な限り副腎を温存すること、腹膜透析が可能なように腹腔を温存すること、に配慮されます。