肺がんは胃がんなどのがんと異なり、多彩なあらわれ方をするがんです。
一般に「肺がん」と一括りでいわれますが、実際にはさまざまな種類があります。発生しやすい場所や拡がり方、病理組織像、発見や治療の方法など、いろいろな観点から分類されます。
肺がんは大きく4種類に分けられる
肺がんは通常、10種類以上に分けられます。そのなかで、頻度の高いものは腺がんと扁平上皮がん、小細胞がん、大細胞がんの4種類です。これらは、病理組織上の違いによる分類です。
日本でもっとも多い肺がんは、腺がんです。すべての肺がん罹患数の過半数を占めています。腺とは胃腺など分泌液を出す細胞で、がんの細胞がそれによく似ているため腺がんと呼ばれます。ほかの種類の肺がんと比べても、腺がんはあらわれる症状がとても多いがんです。
つぎに多い肺がんは扁平上皮がん(約30%)で、タバコを吸う人がよく発症します。扁平上皮は皮層などの細胞とよく似ています。
残りの、小細胞がんは約20%、大細胞がんは数%を占めます。この2つのがん細胞は正常な細胞とは似ていない細胞で、大きさの違いで小細胞がん、大細胞がんに区別されます。
肺がんが発生しやすい場所
肺がんが発生しやすい部位や発見方法などを基準として、肺門型(はいもんがた)と肺野型(はいやがた)の2つに大別する分類法があります。肺門型は中心型とも呼ばれ、気管に近い位置にある太い気管支にできるがんです。それに対し、肺野型は末梢型とも呼ばれ、肺の奥のほうの細い気管支や肺胞にできるがんです。
病理組織の分類との関連では、扁平上皮がんと小細胞がんは肺門型が多く、腺がんと大細胞がんは肺野型が多くなります。
■治療効果を基準とした分類も
治療の効きやすさを基準にして、小細胞がんとそれ以外の非小細胞がんの2つに分類することもあります。
小細胞がんは進行速度が早く、転移もしやすいために悪性度が高いがんですが、非小細胞がんと比べると、抗がん剤や放射線治療などが効きやすいという特徴があります。反対に、非小細胞がんはゆっくりと進行しますが、抗がん剤や放射線治療などが効きにくいという特徴があります。
以上、肺がんについての解説でした。